私がリギル・ケンタウルスの声の人になるまで
https://x.com/TenryuRiver/status/1782327023131885818
このツリーに書いたことを、字数制限なしに書ける環境でまとめ直した記事。
配布リンクはこちらから。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm43669373
1.UTAU音源になりたかった
ずっとUTAU音源を作ることへの憧れがあった。
UTAU獣人という存在に出会って、使う側になってそれが楽しくて、いつしかそういう気持ちを抱くようになった。
しかしここで2つの壁が立ちはだかる。
1つ目はキャラクター設定をどうしたいという部分がなにも思いつかないこと。
2つ目は録音した自分の声を聞くことに耐えられないこと。
そんなわけでUTAU音源を作ってもそれを愛することができるか不安で、
原音設定とかUTAU音源としての梱包とか立ち絵どうするのとか機材はとか
考えれば考えるほど課題が山積みで、行動に移せずにいた。
2.リギルさんと出会う
そんなこんなで二の足を踏んでいるところにリギル・ケンタウルスの声の人募集があった。
狼獣人のイケオジである。「これだ!」と思った。
オーナーのめーぷるさん曰く「優しい低音募集します」とのことで、
地声が高めの自分が見た目にふさわしい声が出せるかという課題はあったけど、
バリトンやベースとしても歌えるという強みを活かせばできるんじゃないかと思って応募。
……しようとしたのだが、先に立候補した人がいたらしい。無念。
ここで話が終わっていれば私がUTAU音源になることはなかった。
後に再募集がかかっていることを他の人から教えてもらった。
バリトンとしての声が出しやすいのはA♯2~D3付近だったので、
このあたりの音域で「ああいあうえあ」など3~4行ほどスマホ録音してめーぷるさんに送り、了承を得た。
これでキャラ設定が思いつかない問題はクリア。
3.機材どうするの
OREMOというUTAU音源の収録に特化したソフトがあるので、ソフト側の問題はクリア。
次は機材の準備である。PCに接続できるマイクが必要だ。
これはもうやったことがある人たちに聞くのが早いと思ってTwitter(現X)で情報を募集した。
こういう情報がほしいです!と叫べば答えてくれる親切な人たちがいることに感謝。
最終的に購入したのは以下のものである。
https://www.amazon.co.jp/SONY-エレクトレットコンデンサーマイクロホン-ゲーム用-PCV80U-ECM-PCV80U/dp/B005M2HDA6?th=1
これで機材の問題はクリア。マイクは2月頭に届いた。
4.録音しろ、録音を
ここで自分がリギル・ケンタウルスの声の人にふさわしいかが急に不安になり、2週間ほどマイクを未開封のまま足踏みした。
しかしいつまでも向こうを待たせるわけにもいかない。
開封・接続してOREMOを立ち上げても「これでRキーを押したら録音が始まる」と思うと
謎の不安に襲われてキーボードを押せず。
結局音源録音スペースを開いてフォロワーに監視してもらい、逃げられなくしてから録音スタート。
最初は巽式8モーラ連続音に挑戦したが、「ぴぇんぴぇぴぇぴゃぴぇぴゅぴぇ」で口が回らなくなったのと喉が限界を迎えつつあったため中断。
とりあえず録れた分だけでもとめーぷるさんに送ったところ「全部無音になっています」と言われてしまった。
(ここでも録音した自分の声を聞けないという悪いクセが発動している。めーぷるさん本当にごめんなさい)
原因はマイクのスイッチがオフになっていたこと。
連続音リストの物量に圧倒されていたところに全部やり直しという現実を突きつけられて、連続音を諦めてCVVCに路線変更した。
リギルさんのイメージに合わせて思いっきりドルチェで思いっきりレガートで思いっきりカンタービレでと考えてたけど、
いざ録音が始まるとガイドBGMに合わせることに必死になっていたためどこまで実行できたかは不明。
リテイクした理由は忘れたけど最初のCVVCリストでは3回やり直した。
その後めーぷるさんの提案で録音リストを変えた4回目でOKが出た。
ただ、あ行がちょっとかすれてますねということで4回目は母音だけ数回録り直している。
このときはA♯2の一音のみ。
(2024/9/29追記):リテイクの理由は1・2回目はノイズが多かったから、3回目は足りない音がいくつかあるからだった(めーぷるさん談)
5.原音設定が終わってから
自分にとって重要なターニングポイントはA♯2を録り終えて原音設定をしてもらって、エンジンを通して聞いたときだった。
なまえのないうた(DATEKENさん)を聞いたときの衝撃よ。
めーぷるさんから「歌えるようになりました」と報告があって、恐る恐るwavファイルを開いたら「これが、自分の声……?」と本当にびっくりした。エンジン通すと全然違う。
そして自分も配布動画用に準備していたリフレイン in Aを歌わせてみた
そこには確かにリギル・ケンタウルスがいた。
他にも2~3曲歌わせてみて満足したある日、めーぷるさんから「多音階にしませんか?」というお誘いが来た。
A♯2と近い音色で録れるのはD3~F3あたりでしょうと返信したら「じゃあD3とF3録りましょう」と。
A♯2だけではき、し、ち、つ、などノイズの多い音があったので了承。
A♯2を録ったのが2月後半、D3とF3を録ったのが3月になってからなので少し期間が空いていた。
齟齬が出ないよう発声練習をして響きの位置が同じになるようにして録音した。
原音設定とデモ曲の歌唱テストを終えためーぷるさんから返ってきた言葉は「すごいですよ……これ」みたいな感じだったと思う。
聞いてみたら、A♯2の1音階だった頃より遥かに綺麗に歌っている。
自分が用意したustでも歌わせてみて、再現性があることを確認した。
この頃から自分の声という感覚が薄れて、リギルさんの歌をまともに聞けるようになったと思う。
リフレインの原曲キーがCに対して配布デモ動画ではAまで下げてあるのはもともとA♯2の1音階だったから。
そこにD3,F3が加わることで今まで以上に魅力的に歌うようになった。
これはいけるのでは?
自分でもそう思うくらい出来が良かった。
6.立ち絵ができるまで
3音階CVVC音源になった後、ざっくさんに立ち絵を依頼してあることを聞き、どんなリギルさんがいいかをざっくさんのラフを元に3人で意見をまとめていった。
ざっくさんの情熱も凄まじく、立ち絵のポーズだけで何パターンも用意してくれたし光源の明るさ調整、「こうすると若く見えます」と言って毛先の向きを変えるなど本当に尽力してくれた。
立ち絵が完成するまでの間、私とめーぷるさんでいくつもカバーを制作してリギルさんのイメージを作っていった。
そうして出来上がった立ち絵は動画の通り。
頭からつま先までどこを見てもイケメンな狼獣人が立っていた。
イラストの進捗が上がる度にめーぷるさんと二人して語彙を無くしていたのは言うまでもない。
立ち絵の完成が4月上旬頃だったと思う。
7.立ち絵完成から配布開始までの間
リギルさんの誕生日は4/20とのことでこれがちょうどUTAU超投稿祭2024春の初日だったため、この日に合わせて動画を投稿することが決まった。
ちなみに私がやったのは本当に声の録音と選曲(リフレイン)だけであり、原音設定やイラストの発注やUTAU音源としてのデータ梱包などあとの諸々は全部めーぷるさんがやってくれている。
ざっくさんが命を燃やして立ち絵を描いている間も自分は楽しくカバー作っているだけ。なんとも気楽な身分である。
あとは配布動画の作成とUTAU音源のフォーマットに合わせてデータを詰め込むだけという頃に、めーぷるさんが「今回ダメだったら諦めようかとも思っていた」とこぼした。
つまり私が失敗作だったらリギルさんがUTAU獣人になることはなかったかもしれないのだ。
改めてキャラに声と命を吹き込むことの重要性を実感した。
また、声の人非公開でことを進めたいというめーぷるさんの意向に同意したにもかかわらずなにかにつけてTwitterでリギルさんの話をしまくりめーぷるさんにインタビューし、これらから関与がバレてもおかしくなかったと思う。反省はしている。
8.配布開始
そうして順調に順調を重ねたような勢いで迎えた公開の瞬間。
リギルさんの存在を知っている面々からは驚きの声が上がり、そうでない人たちからも声が良いとの評価をたくさんいただいた。
中学時代に「お前の声は誰が聞いてもこもった声なんだよ」などと歌声をボロクソに言われたときの呪縛からようやく開放された思いだった。
こんなにもたくさんの人が声を褒めてくれていることに感動した。
カバーもニコニコやYouTubeに続々と上がり、UTAU超投稿祭2024のニコ生で取り上げられるほどの勢いがあった。
声の提供者としてこんなに嬉しいことはない。
また声の人デビューしたからには迂闊に失踪・死亡できない立場になったということでもある。
自分が声の人になった以上リギル・ケンタウルスの追加音源を録れるのはもう自分しかいないのだから。
9.高音追加収録(2024/6/19追記)
配布開始からしばらく経ったある日、最高音がF3では表現の幅が狭いのではないかということが気になった。
バリトンとして歌ったことがある最高音はD4なので、理論上ここまではリギルさんの声で録音できるはずだ。F3との接続用にA3も追加しよう。
ということでA3とD4を追加で録音することにした。
もう自分の声を録音することへの恐怖心はない。大丈夫。
いざ録音してみるとD4が声が裏返るか裏返らないかの瀬戸際でギリギリの状態での発声になったが、結果的にファルセット風の声になったため大きく表現の幅が広がった。
二つ目の配布動画、Good Morning, Polar Nightを聞いてもらえればわかると思う。
10.終わりに
私の中のリギル・ケンタウルス誕生秘話はこんな感じ。
間違いや不足があればめーぷるさんかざっくさんが補完してくれるはず。
この長い長い記事を最後まで読んでくれた人に感謝を。
また、自分ひとりで作った音源だったらここまでの人気にはならなかったと思う。めーぷるさんのプロデュース、不良犬さんのデザイン、ざっくさんの立ち絵があってこその躍進だし、リギルさんとの出会いがなければ「UTAU音源を作りたい」という気持ちを燻らせたままだったと思う。四人には感謝してもしきれない。
今後ともリギルさんをよろしくお願いします。
Twitter推奨タグ↓
#リギルさん見て (通常)
#りぎるしゃんみないで (R15/18)
2024/6/11追記:好きなうたけも発表ドラゴン第二弾で紹介していただきました!
2024/7/25追記
リギルさんの公式アカウントができました。
2024/8/11 追記
リギルさんの日本名が公開されました。