同じような話が二個あるって話(その①)
夕づとめの時、祖霊殿に拝をしていると蚊が耳元で羽音を立てた。不快な音に集中力が少し削られる。手で追い払おうとした瞬間に蚊に纏わる、こんな先人のエピソードを思い出した。
船場大教会初代会長であられた梅谷四郎兵衞先生のお話である。
蚊程度に気をとられるようでは、本当の神様のお話を取り次ぐことはできないというのである。この時の様子は山本順司著『静かなる炎ー梅谷四郎兵衞伝ー』207頁に詳しい。
これとまったく同じような話が桝井伊三郎先生にもある。
特筆すべきは、当時のおやしきでも、抜群に教理に深かったお二人の先生のエピソードとして残っていることである。
少し余談になるが、梅谷先生は"純教理の梅谷"、桝井先生は"教理の達人"と言われることもあるし、清水与之助先生、平野楢蔵先生と並んで「お道(本部)の四天王」にも選ばれている。
理に厳しかったと言われる梅谷先生は分かるが、温厚なイメージの桝井先生の話としても残っている点は興味深い。先生の教理へ対する態度や人格を偲ばせていただく上でまた新しい色合いのピースである。
そんなわけで状況は全然違うけど、手を振り上げそうになるのを抑え、自分自身の教理に対する気持ちを自省すると共に、そんな当時の熱烈な信仰の息吹を感じる逸話を残してくれた尊い先人のご生前をお偲びし、さらに深く拝をさせていただかずにはおれなかった。
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