劇伴音楽の作り方実践編③サスMID編【動画解説あり】
こんにちは。
作曲家の天休です。
今回は劇伴音楽の作り方実践編の3回目!
「サスMID」編やっていきましょー!
まだ「劇伴音楽の作り方」を呼んでいない方は、先にそちらをお読みください!
1.おすすめの「サスMID」
それでは、いつも通りサスMIDの参考曲から、サスMIDとはどういう雰囲気のジャンルなのか紐解いていきましょう。
まずは巨匠マルコ・ベルトラミの「Underworld: Evolution」より2曲目「Ol' Timey Music」。
4曲目「Previously...」や5曲目「Safehouse 2 Crypt」などもサスMIDです。
サスMIDはミドルテンポのサスペンス曲のことです。
第1回目で取り上げた「サスSLOW」との違いは、緊張感の違いです。
具体的にいうとリズムが入っているか、いないかの差が大きいでしょう。
また、テンポもサスSLOWは60~80程度、サスMIDは80~120程度であることが多い気がします。
ちなみに今後やるサスFASTはテンポ144~180くらいです。
ハード目なサスMIDだとハンスジマー&ジャンキーXLの「バットマンvsスーパーマン」より5曲目「Must There Be a Superman?」。
カッコよすぎるでしょ……!!
特に1:10~のブレイクとノイズの使い方が神がかっています。
1:33~のシンセのリフも、8分音符と3連符の複合形でめちゃくちゃイケてます。
ここまでハードでも、まだ敵(ライバル)との対峙までいっていないので、サスFASTではなく、サスMIDと分類しています。
日本の劇伴だとここまでハードなサスMIDはあまり見かけません。
SFやハードなアニメは別ですが、日本のドラマやアニメはより日常に近い題材が多い傾向にあるからです。
セオドア・シャピロの「Collateral Beauty」(邦題:「素晴らしきかな、人生」)の4曲目「Whit Follows Amy」を聴いてみてください。
日本の劇伴だとこれくらいの緊張感のものが多くなると思います。
スケールやコード、シンセの音色などで緊張感を調整してみましょう。
ですが、初めてサスMIDを作る際は激し目なものを作るようにしてみましょう。
その方が簡単で作りやすいためです。
慣れてきたら徐々に要素を削っていき、使いやすいサスMIDに落とし込んでいくのが良いと思います。
実際に日本の劇伴のサスMIDも挙げておきます。
Face 2 fAKEさんの「ルパンの娘」より21曲目「Voleurs」。
このようにメインテーマのモチーフを使ってサスMIDを作る手法もあります。
この曲の場合はIm→VIm→Imのような少しブルースっぽいコード進行を使うことでややコミカルに寄せ、ラブコメの範囲を出ないようにしています。
冒頭のピッツィカートの音域や音色といった面でも、重くなりすぎないようにしていますね。
日常アニメの劇伴だと神前暁さんの「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」より32曲目「緊迫」。
海外サントラに比べ圧倒的に軽いです。
編成やコード感もまるで違います。
このように、サスMIDを作る際も、その番組にあった緊張感を逸脱しないように十分注意しましょう。
最後にブライアン・タイラーの超名盤「The Fast and the Furious: Tokyo Drift」(邦題:「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」)の3曲目「Saucin'」を聴いてみてください。
マイナー調でテンポも中庸、リズムも入っていますが、これは「行動(捜査)」です。
一番の違いはコード感ですが、バンド形式でノリノリな感じだと「行動」になってしまいます。
同アルバムの4曲目「Neela Drifts」はどうでしょうか?
こちらもマイナー調でテンポ中庸、リズム有です。
ですが、こちらは「前向き」です。
ドリアン旋法っぽい長和音が出てくること、アコースティックギターなど心情に寄り添った楽器が出てくることなどが特徴的です。
このように、自分が作っている曲がどのジャンルか分からなくなってしまったら、実際に映像に合わせて聴いてみてください。
それをするだけでグッと芯のある曲になると思います!
2.制作例
さてここからは僕が実際に制作した「サスMID」を解説しながら、具体的にどのように作っていくのか、どのような音源が必要なのか、動画で解説していきます。
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