【アマとプロを分ける!?】コード進行のブラシュアップ術
こんにちは。
作曲家の天休です。
本日は「コード進行のブラシュアップ術」というテーマでお話させていただきたいと思います。
作曲を勉強している方が、おそらく一番最初に覚えるのはコード進行のパターンだと思います。
やはり王道のコード進行というのは決まっており、そのコード進行でいくつもの名曲が作り出されてきました。
しかし、ただ覚えたコード進行を使うだけでは、なかなかクリエイティブになりません。
特に、使い古されたコード進行は聴きなじみは良いですが、下手すると何も新しさがない退屈な曲になってしまいます。
そこでやるのが、コード進行のブラッシュアップです。
よくあるコード進行の一部を違うコードに置き換えることで、ちょっと変わったコード進行を生みだすのです。
どのコードをなんのコードに変えるかによって、作曲家の個性を出すこともできます。
そして、コード進行をブラッシュアップしているか、していないかが、アマチュアとプロを分ける大きな差だったりもします。
とは言っても、なかなか最初のうちはコード進行の変化のさせ方が分からないという方も多いと思います。
そこで今回は、コード進行のブラッシュアップのさせ方を5つご紹介させていただきます!
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
それではいってみましょう!
1.転回形
これは、ほとんどのアマチュア作曲家が積極的に使わない技術だと思います。
アマチュア作曲家ほど、根音をベースに持っていきがちです。
例えば、CというコードをあえてC/Eという転回形にするだけで、機能は同じでも全く違う響きにすることができます。
転回形を使うには、大きく2つのパターンがあります。
①ベースを固定した転回形
②機能を固定した転回形
順番に解説していきます。
まず①ベースを固定した転回形は、コード進行のベースの音をそのままに、そのコードを転回形にしてしまうという手法です。
例えば、王道コードF→G→Em→Amというコード進行があったとします。
このEmのベースの音をそのままに、転回形の和音に置き換えます。
F→G→C/E→Am
という感じです。
そうすることで、Emのときにアヴォイドノートだったドの音が使えるようになります。
また、マイナーコードではなくメジャーコードを使うことによって少しだけ明るいコード進行にすることができます。
次に、②機能を固定した転回形ですが、これは先ほどのCをC/Eに置き換えるというような感じです。
これはサビの2週目や、最後サビなどでよく使われます。
例えば、僕の「The Best Stage!」という曲。
転調後の最後サビ「心に瞬く~」の部分は
F→C/E→Am→~
というコードですが、「素顔のまんまで~」のところは
F/A→C→A/C#→~
という風に、最初のコードを転回形にしています。
そうすることで最後サビの推進力を後押しすることができます。
他にも、F→G7→Em→Amというコードを
F→G/F→Em→Am
とベースの音を動かさないだけで、オシャレ感を出すことができます。
また、Gsus4→G7を
C/G→G7
にするだけで変化をもたらすことができます。(ちなみにこのコード進行はクラシックでは頻出ですが、ポップスではあまり見かけません)
このように、コード進行の一部を転回形にするだけで結構プロっぽくなるのでオススメです!
2.マイナーコードのメジャー化
コード進行の中のマイナーコードをメジャーコードに置き換えるだけでも、プロっぽいコード進行にすることができます。
例えば先ほどのF→G→Em→Amという進行。
これを……
F→G→E7→Am
にするだけで、少し高級なコード進行にすることができます。
メジャー化のときに気をつけたいのは、7thコードは次のコードの性質を強調するという特徴があることです。
例えば、今の例、F→G→Em→AmよりもF→G→E7→Amの方が、Amの暗さが強調されます。
なので、コントラストをハッキリつけたいときにメジャー化する、浮遊感のある雰囲気のときにはマイナーのままのように、メリハリをつけて使った方が良いと思います!
3.メジャーコードのマイナー化
これは先ほどの逆ですね。
メジャーコードをマイナー化すると、一気にオシャレな雰囲気を演出することができます。
一番やりやすいのはツーファイブ進行を取り入れることです。
例えばC→F→G→C→Fというようなコード進行を
C→F→G→Gm→C7→F
のようにツーファイブを入れることで、シ♭の音が良い味を出してくれます。
他にも、先ほどのF→G→Em→Amにツーファイブを取り入れて……
F→G→Bm7→E7→Am
にするのも面白いです。
更にマイナーのメジャー化を取り入れて……
F→G→B7→E7→Am
このように、複合して取り入れることで、よりプロっぽいサウンドにすることができます。
また、メジャーコードのマイナー化で、次に取り入れやすいのがサブドミナントマイナーです。
サブドミナントマイナーとは、サブドミナントの和音を同主短調から借用したコードのことです。
例えば、CメジャーにおけるFmやDm(♭5)がサブドミナントマイナーです。
先ほどのF→G→Em→Amをサブドミナントマイナー化して、
Fm→G→Em→Am
が一番簡単な取り入れ方です。
ただ、サブドミナントマイナーはトニックに進行しやすいという性質があるので、
F→Fm→Em→Am
の方が聴いたことのあるコード進行かもしれません。
先ほどのツーファイブを取り入れた
F→G→Bm7→E7→Am
もサブドミナントマイナー化して
F→G→Bm7(♭5)→E7→Am
こんな感じでいろいろと変化させて実験してみるのがオススメです!
4.ベースの半音進行
こちらも大事なテクニックです。
コードとコードの間に、ベースの半音進行を挟むことによって推進力と高級感を与えることができます。
例えば先ほどのF→G→Em→Amを
F→G→G#dim→Am
こうすることで、強い推進力を作ることができます。
特にdimの和音はプロっぽいサウンドに聴こえやすいので、積極的に取り入れてみることをオススメします!
ただ、このdimの和音も元をただせば7thコードなので、次の和音の性質を強調させてしまう特徴があります。
使い時には注意しましょう!
下行系の半音進行の例も見てみましょう。
よく使われるのは
Am→Em/G→F#m7(♭5)→F→G7
(もしくはAm→Em/G→D/F#→F→G7)
のような使い方です。
先ほどご紹介させていただいた「The Best Stage!」のAメロ部分もこの進行が使われています。
E→E/G#→A→B→
C#m→E/B→F#/A#→AM7→C#m7/B→C→Bsus4→Baug/F
このように半音を挟むことによって、その音階にはもともとない音が出現し、聴いている人を注目させることができます。
5.保続低音
これはちょっとオマケですが、保続低音を使うことでも、コード進行を差別化することができます。
保続低音とは、ベースの音を同じ音にしたまま、上のコードを進行させていくテクニックのことです。
例えば、僕の「星空探検隊」という曲のサビ。
E→B/E→C#m7/E→A→G#→C#m
このように保続低音を使うと、独特の浮遊感を与えることができます。
そこからいきなりC#mのマイナー感を強調するG#→C#mという進行を入れることで、「僕らはただ~」という部分にカタルシスを発生させることができます。
ただ保続低音はやや劇伴チックで、ポップスに取り入れるのは難易度が高いです。
しかし、ハマると強烈なカタルシスを生みだすことができるので、ぜひチャレンジしてみてください!
おわりに
いかがだったでしょうか?
今日は「コード進行のブラシュアップ術」というテーマでお話させていただきました!
これらのテクニックを複合して使うことで、オリジナリティのあるコード進行を生みだすことができます。
コード進行にマンネリを感じてしまっている方は、是非取り入れてみてください!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!
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