映画 『ブラッド・ダイヤモンド』 感想 【ネタバレあり】
以前、映画『ブラッドダイヤモンド』についての記事を書きました。
今回は、自分が映画を見てどう思ったのか感想を書きたくなったので、ネタバレ全開でシェアしたいと思います。
『ブラッドダイヤモンド』は、今まで見た映画の中でも、確実に上位に入る映画の1つです。
個人的に好きなレオナルドディカプリオが主演の映画ということもあり、悲惨な事実を伝えるだけの映画にはなっておらず、ストーリー性もあり面白く、終始考えさせられる映画でした。
あらすじ(ネタバレ含む)
アフリカで違法に生み出されるダイヤモンドは、密輸業者を通して合法なマーケットに紛れ込み、反政府組織の資金源となっていました。
過去5年間のダイヤ輸出実績を見ると、シエラレオネの輸出はゼロに近く、隣のリベリアはほとんど産出していないにも関わらず、20億ドルもあります。
ということは、そこで密売が行われている証拠。シエラレオネからリベリアへ密輸した後、ダイヤは仲介者の手に渡ります。
そして、その仲介者は税関を買収しているので、リベリア産の偽造書類を作って、合法的に輸出することができるのです。
ダイヤがアントワープ(ベルギー)に到着し、選別台に上がれば何も聞かれることはなく、インドへいって世界中の合法的なダイヤに紛れ込めばもう誰も疑いません。
バンデガープ(大手ジュエリー会社)は、儲けることが出来るので紛争ダイヤのことを知っていても隠し通します。
会社は、ダイヤが値崩れしないように買い占めて貴重さを人々に宣伝します。給料の3ヶ月分を婚約指輪に使う連中(消費者)に買わせたいからです。
ダイヤの貴重さを宣伝するためには、反政府組織にダイヤをばら撒かれると困るので、会社は紛争ダイヤでも買い取ります。
紛争ダイヤを買い取れば、反政府組織にお金が流れ、武器を手に入れることが出来るということ。
直接手は出していないものの、結果的に内戦を長引かせているのは、大手ジュエリー会社だったというわけです。
目的が違う3人の出会い
違法なダイヤモンドを巡って、国家間で違法に大金が動いてるのに、おかしいと思う人は少なく、思ったとしても危険地帯にわざわざ調査しにいきたいと思う人もいません。
仮に行ったとしても手がかりがあるかすら分からない、しかしそんな状況でも命をかけて現地に乗り込んだのがジャーナリストの女性マディーでした。
ジャーナリストには、知っていても伝えられること(現地の状況や手足がない人の写真など)と、伝えられないこと(ダイヤを獲得する背景に戦争があること)がありました。
なぜ紛争ダイヤについて伝えられないかと言うと、記事にするためには徹底的な証拠(不正取引者の名前、日付、銀行口座など)が必要だからです。
そんな中、彼女は現地でダイヤモンド密輸人のダニーアーチャー(レオナルド・ディカプリオ)に出会い、ダニーは息子を探す漁師ソロモンをダイヤを入手する目的で利用しようとしていました。
3人はそれぞれの思惑がありながらも、利害が一致しているので行動を共にしていきます。
・ダニーは、ダイヤを探すためにソロモンを利用。(ソロモンが高級ダイヤのありかを知っているから)
・ソロモンは、生き別れの息子(反政府組織で子ども兵として働いてる)を探し出すため。
・マディーは、紛争ダイヤの真実を世に知らせるカギ(証拠)を見つけるため。
途中で休憩するために、3人はある学園にたどり着くのですが、その学園にいる先生はダニーにふとこんな言葉を投げかけます。
「善悪は行動で決まるんだ。悪人でさえ一瞬の愛情があれば人生に意味を与えられる。正しい道の選択は難しい。」
この言葉を聞いたダニーは、何かを考えます。
そしてその夜、初めてジャーナリストの女性に自分の過去を打ち明けます。
自分の両親が若い頃に殺されたこと、その時に神はこの地を見捨てるんだ、と思ったことを。
さらにストーリーは終盤に進みます。
ソロモンは息子を取り返し、ダニーは横腹を撃たれながらもダイヤを手に入れることに成功しました。(この時マディーは既に帰国している)
ダニーは負傷していたのでソロモンが彼を背負いながら丘を登っていたのですが、途中で肩から下ろしてもらいます。
そして、ダニーはあれだけ命からがら欲しがっていたダイヤをソロモンに渡して、俺を置いていけと言います。
そして、追っ手が来ないように迎え討ち、帰国したジャーナリストのマディーに電話します。
ソロモン達2人を助けること、ジュエリー会社の陰謀を写真に納めることを伝えました。
学園の先生がダニーに言っていた言葉が伏線となっていました。
自分の利益のためにしか動かなかった密売人が死を直前にして、一瞬の愛情で人生に意味を与えたのです。
それぞれが全く違う境遇で行動を共にしていたのに、最後には何か絆のようなものを感じました。
個人的には、ダニーとマディーが最後の電話をしている時に、3人がもう一度出会って再開を喜ぶシーンが頭に浮かび、余計悲しくなりました。
まとめ
戦争や貧困の問題をただシリアスに映画にすると、見たくない人と見たい人にはっきり分かれてしまいます。
しかし、この映画はストーリーがあるので、見る人はただ単に映画が面白そうという理由で見ることができます。
この映画が、自分たちの身近にあるダイヤの背景を知るきっかけになって、「こんな問題が世の中にはあるんだ」と興味を持ってくれたら良いですね。
特に日本では、こういった問題についてのニュースはあまり流れないので、そういった意味でもオススメしたい映画です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?