映画『ブラッド・ダイヤモンド』が教えてくれる真実
指輪などのジュエリーの元となっているダイヤモンドを、どこでどのような人たちが採掘しているか知っていますか?
レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ブラッド・ダイヤモンド(Blood Diamond)』は、直訳すれば『血塗られたダイヤモンド』と訳されますが、この映画は、結婚指輪などに用いられるダイヤモンドの裏側を描いた衝撃的な作品で、アカデミー賞やゴールデングラブ賞を獲得しています。
今も世界の何処かで、ダイヤモンドを巡って血が流れている、そんな現実を描いた作品『ブラッド・ダイヤモンド』について今日はご紹介します。
あらすじ
舞台は、1990年代後半、終わることのない激しい内戦が繰り広げられているアフリカのシエラレオネ。
『ブラッド・ダイヤモンド(血塗られたダイヤモンド)』というダイヤモンドの不正な取引が原因で勃発する争いを描いた社会派サスペンス映画です。
ダイヤモンドの密売人(レオナルド・ディカプリオ)、ダイヤモンドの裏側の真実を暴こうと奮起しているジャーナリスト(ジェニファー・コネリー)、家族と引き裂かれた漁師の男(ジャイモン・フンスー)が、運命的な出会いを果たし、この3人の出会いをきっかけに、ダイヤモンドの裏側に隠された真実が明らかになっていきます。
紛争ダイヤモンド
この映画の鍵となっているブラッド・ダイヤモンドは、紛争ダイヤモンドとも呼ばれています。
一般的に、ダイヤモンドなどの宝石は、国際的に非常に価値が認められ、高価な価格で売買されているので、紛争の当事者たちはダイヤモンドを国際市場に流して、紛争の資金調達源の一つとしている事実があります。
ダイヤモンドと引き換えに武器などを手に入れるため、紛争が長期化するなどの被害の拡大につながっています。
また、ダイヤモンドの採掘場で働かされている人々は、過酷な労働を強いられており、国際的な問題になっていて、アンゴラ、シエラレオネ、リベリア、コートジボワールなどの国で、実際に問題視されています。
これらの問題を解決するために、キンバリープロセス認証制度が制定されました。
キンバリープロセス認証制度とは
キンバリープロセス認証制度は、主にアフリカで、ダイヤの原石が武装勢力の資金源となることを防ぐ目的で、違法ダイヤを国際市場から排除しようと始まった原産地証明を義務づける制度。
コトバンク 参照
このキンバリープロセスが制定されたおかげで、紛争地域のダイヤモンドの裏側の多くの問題解決につながりました。
しかし、全ての地域の問題が解決されているわけではありません。
キンバリープロセスが適用される地域(紛争地域)で、「ダイヤモンドの採掘は、武器調達の資金になるからしてはいけない!」と言っても、ダイヤモンドの採掘で生計を立てている人たちは、採掘以外に職がないケースが多く、生きるために採掘を続けます。
彼らは、採掘したダイヤモンドを、非公式ルートで販売して収益を得ているのです。
さらに詳しい紛争ダイヤモンドについて知りたい方は、以下の記事をオススメします。
禁止されているはずの紛争ダイヤモンドが、なぜ私たちの手元に届いているの? ――「クモの巣」状のサプライチェーン
消費者の購買が、投票につながる
『ブラッド・ダイヤモンド』について紹介しましたが、全てのダイヤモンドがこれらの問題に関わっているわけではなく、ダイヤモンドを買ってはいけないという事ではありません。
実際に私も、綺麗なジュエリーのアクセサリーなどを大切な人にプレセントしたいと思った時があります。
大切なのは、そのジュエリーにどのような背景があるのか、知ろうとすることです。
多くの人が、ブラッド・ダイヤモンドのようなダイヤモンドを購入せず、正当に取引されたダイヤモンドを購入することで、紛争や不当な労働を無くしていくことができます。
エシカルジュエリー
「幸せの象徴であるジュエリーや指輪の裏側で、人が犠牲になっている」という問題に取り組む『HASUNA』という企業があります。
『HASUNA』では、宝飾品の製作過程に児童労働や紛争などを介在させない、公正なプロセスを経て作られたエシカルジュエリーを販売しています。
不当に働いて作られたジュエリーではなく、エシカル(公正なプロセスを経て作られた)ジュエリーの方が買う側も気持ちがいいです。
エシカルについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
『HASUNA』代表の白木夏子さんも、映画『ブラッド・ダイヤモンド』を見た時に初めてジュエリー業界の真実を知り、衝撃を受けたそうです。
公正なジュエリーをきちんと判断して購入する、それがジュエリーを取り巻く環境の改善に投票することに繋がります。
まとめ
『ブラッド・ダイヤモンド』は、生まれた環境も、境遇も、行動する目的もそれぞれ違う3人の関わり方がとても興味深い映画です。
3人それぞれの視点で映画を見ると、それぞれ違った捉え方ができ、ダイヤモンドのことに関心のない人でも、飽きずに見ることのできる映画でした。
人生に意味を持たせるのは自分だ、ということに気付かされました。
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