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動画配信を「保育の質向上」につなげる方法|とある神奈川県の幼稚園

 2020年7月、てのりののインタビューに答えてくださった園長先生が、再びインタビューに協力してくださいました。てのりのを使い始めてもうすぐ1年。使い始めた当初は、「動画配信をうまく習慣化していくことで、保育の質向上につなげられる」と手応えを感じていたN先生。1年、てのりのを使っていただくなかで、その手応えは確かなものとなったのか。いざ!聞いてみました(取材/てのりのチーム 今井)。

動画配信を保育の質向上につなげる!
てのりのがつくる保育の未来を考えてみた

N先生

-- てのりのを始めていただいた当初は、保育の質向上にも期待してくださっていましたが、そちらは何か変化がありましたか?

そう。今日はね、保育の質向上に向けた取り組みの中で、てのりのができる可能性っていうのもお話したいなと思っていて。

今、「ICT」とか「DX(「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方)」とか、言われているじゃない?

保育の質向上のためのICT化も、いろんなところで進んでいる。
この動画配信も、あくまでも、いわゆる保育記録や指導要録につながっていくような、子どもの育ちや発達を伝えるための手段として使っていきたいと思っています。

結局さ、てのりの何がいいかって、「手軽さ」なんですよ。
職員がiPhoneで撮った動画をAirDropで共有して、投稿できる。

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そういう手軽さがあるからこそ、「動画」というものに対して、保育者自身が抵抗感なく、関心をもって取り組むことができる。保育の一部に、「動画」が当たり前の日常として組み込まれたというのは、てのりのさんがもたらしてくれた大きなメリットなのかなと思っています。

ただ、その先の保育の質向上に向けた園内研修のあり方とか、そういったところを広げていきたいなというのは(今後のテーマとして)思っている。

キーワードは「子どもの発語と保育者の応答性」
保育者目線はそこに表れる

-- 以前、お話を伺った際も動画と写真の違いは「その前後の変化を見られること」とおっしゃっていましたね。

そう。何を保育の質の向上につなげるのかというと、やっぱり子どもの発語だったり、保育者の子どもに対しての応答性だと思うんですよ。

つまり、子どもの投げかけたことばに対して、保育者がどう返して、その結果、子どもの行動がどう変わっていったのか。そして、それを園内研修につなげる。こういった研究って、結構おもしろいなって思ってるんだよね。

ホームページ運用の実態に見る
動画配信の次なる課題

Twist iOS アップロード (1)

今まではホームページでの情報発信が中心だったけど、実はホームページの更新は、ほぼ毎日の時代から2、3日の時代になって、今では週1回くらいになってきた。ほとんど動画配信なんだよね。

なんでかっていうと、ホームページは保護者が能動的にアクセスしないと見られない

加えて、静止画で伝わるものはもちろんあるんだけど、どちらかというと先生たちも、例えば陶芸作品をつくっている1人1人の写真をアップする。なるべく全員分アップしようとすると、数十枚になるよね。

親は喜ぶんだけど、果たして、本来の保育の質向上につながるような情報発信ができているのか。「こういうところが育っています」という子どもの育ちを伝えるために使いたかったんだけど、どちらかといえば、「個別の記念写真を載せてますホームページ」に成り下がっちゃっている。

だから、本当は、動画を配信することによって、

・ここではこんなやり取りがありました
・保育者のこういった環境設定によって、こういう活動が広がりました
・明日はこうなるだろう

みたいな、子どもの育ちが樹形図みたいに広がっていく。
そういうことが、てのりのでできればいんだけども、今は実際、動画を撮るので精一杯。

たとえば、「〇〇先生(英語の先生)が来ました」とか、タイトルしかないときもある。

保護者としては様子がわかってうれしいし、担任としても「うちのクラスの動画を配信できた」っていう安心感がある。

でも、本当はそこで終わらせちゃいけなくて、

・〇〇先生と子どもたちがどういうような活動を繰り広げたのか
・〇〇先生のこの行動から子どもたちの興味が広がった
・英語のレッスンのあとで、〇〇先生の行動を園庭で再現する子どもがいた

というようなことを添える。
そうすると、保育が広がっていくのが見て取れるじゃないですか。

だから、続けていく中で気をつけなくてはいけないのは、動画を配信することが義務・目的になってしまっていないか?ということ。動画はあくまで手段として活用して、保育の意味を問うことが大事だと思います。

動画の意味付けに!
保育の質向上につながるハッシュタグ

てのりのハッシュタグ

-- 意味付けをするには、動画をアップロードする際の「コメント」が重要になるでしょうか?

そうですね。あとは、僕が使いきれていないのは「ハッシュタグ」。
つまり、保育の質向上につながるようなハッシュタグをいくつか用意しておいて、そこから選べるようにしておく。たとえば、「#やりとり」「#発見」「#感動」とかね。

ハッシュタグであれば、動画もカテゴライズできるじゃない?
「#発見」で検索したら、いろんな子どもたちの発見が動画ででてくる。
多分、どんなハッシュタグをつけるかだけでも、動画に意味を持たせられると思う。

僕のてのりのの原点は、「こんなにてのりので、手軽に保護者に伝えられるんだ!」なのよ。それを原点とすると、こういうふうに「もしかしたら子どもの育ちとか、保育の質向上につながるんじゃないか」っていう新たな思いみたいなのがふつふつと湧いてくる。

今日、話さなきゃわかんなかったことだよね。
話しながら気づいたことだもん。

-- 保育の質向上につながるハッシュタグ、いいですね!コメントまで書く時間が取れないという先生にとっても手軽です。

多分、今は、クラス名でハッシュタグを付けているところが多いと思う。
そこに加えて、ハッシュタグを5つくらい用意しておくのはいいと思います。

「#何かに興味をもつ」
「#ちょっと発見」
「#ちょっとチャレンジ」

やっぱり、何かに挑戦している姿って子どもの育っている場面なんですよ。
そういったハッシュタグの付け方研究はやってみるとおもしろいんじゃないかな。

西山先生2

-- 現場の先生や専門家の声を聞きながらのハッシュタグ研究、おもしろそうです。最後に、もうすぐ年度更新の時期ですが、継続して「てのりの」をお使いいただく中での工夫を教えてください。

うちの園の場合ですが、今は、園で1つの施設コードを使っているんです。まず、その施設名を「2020(令和2)年〇〇〇〇園」という名前に変更して、2021年4月1日からは「2021(令和3)年〇〇〇〇園」という名前の施設コードを新たに発行する予定です。

4月になったら、新しい年度の施設コードを保護者に案内して、その施設コードを追加登録してもらう。

あとは、新年度に向けてとは異なりますけど、卒園児向けの施設コード(あるいはグループコード)をつくりたいですね。本当は、卒園年度ごとに単年度にしてあげたいけど、管理を考えるとまとめて1つのコードを検討中です。

卒園児向けにバザーや行事の案内をしたりして、卒園してもなんらかの形でつながっている関係をつくりたいですよね。ホームページは自分で見に行かないといけないけど、てのりのであればアプリを消さない以上は自動通知がきますから。

そういった形で、入園児、在園児、卒園児に向けて、年度更新をしていければいいなと思っています。

-- N先生、ありがとうございました!てのりのをより園の先生に役立てていただくために、今後取り組んでいきたいヒントをたくさんいただきました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!