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手の間
2024年1月21日 17:12
私の場合、自身が運営する出版業だけで食べて行ければそれが一番ですが、そううまくいった試しはありません。だから、クライアント仕事、つまり他人様の制作物を受注してお金を稼ぎ、それを印刷代につぎ込んでは本を作るという自転車操業です。クライアント仕事は、引き受けて楽しい企画のこともありますが、だいたいは正直、苦痛です。それなのに、根を詰める性分が災いして、上手く手を抜けません。他人の制作物で
2024年1月15日 13:44
この言葉は、長崎県は江島に暮らす北村キナさんが、取材の最中におっしゃった言葉です。20年前私は、〝まぼろしの醤油〟と呼ばれる琥珀色に輝く醤油を取材するため、佐世保からフェリーで2時間半ほどの沖合に浮かぶ小島を訪ねました。島の加工場では、5人のお母さんたちが昔ながらの製法で、しょっぱくて透明感のある醤油を、賑やかに楽しく造っていました。原料は国産大豆、大麦、塩、水。琥珀色に仕上がる理由を
2024年1月15日 13:33
前回に続き、これも珈琲美美創業者の森光宗男さんから伺った言葉です。お客さんがいない、ある日の午後でした。珍しくカウンターではなく、緑が美しい窓辺の席に向かい合わせに座り、雑談を終えた頃。森光さんが席を立ちながら、「感動を呼ぶには、初心であることが大事だと思うんだよね」とおっしゃいました。「うぶ」という言葉の響きが新鮮で、私はハッとさせられました。半世紀以上も生きていると、知った
2024年1月15日 13:29
これは、故森光宗男さんから伺った言葉です。福岡市内に自家焙煎コーヒー専門店を開き、日々、ていねいな仕事をクリカエスことに倦むことがなかった森光さん。モカにこだわり、ネルドリップにこだわり、熊谷守一を好み、ライカで遊び…。自分が愛すべきものを、よくご存知でした。ふわふわと曖昧なもので隙間を埋めるようなまねはせず、真実を求めてずんずんと進んでいく方でした。その先には、多分、一