高麗手指鍼 手のひら先生スタイルとは その1
高麗手指鍼は50年前に柳泰佑さんが、手のひらにも12の経絡が完結していることを発見し、そこから治療法などを考えました。
身体に流れる気の流れは経絡と言われ、二千年以上まえから東洋医学の理論として知られています。
気の流れは1本の輪のように繋がっていて、その中を気が流れていると考えられています。
その途中肺に関係が深いツボが並んでいると肺経、腎臓と関係するツボがあれば腎経と呼ばれています。
気が流れる速度は秒速50センチともいわれています。
その経絡のほかに気脈と呼ばれる気の流れが、手のひらにも存在するという発見は二千年の東洋医学史の中でも、初めてのことでした。
日本には50年弱と比較的初期から伝えられてきていました。
しかしご存知のように日本には中国伝来の鍼治療が、1500年以上前から存在する上に鍼灸師の数も7,8万人存在していたはずです。
その中で目新しいというだけでは普及することは出来ませんでした。
いかに小さい鍼とは言え手のひらや指に鍼を打つと、強い痛みを起こします。
伝統的な鍼だと治療家の技術で痛みを起こさせないようにすることは可能です。
高麗手指鍼はピストンで鍼を打つので、技術を駆使することは出来ません。
日本では西洋医学のほかは医療類似行為としてまとめられています。
その中にどのようなものがあるかと言うと、国家資格としてあるのは、整骨院(柔道整復師) 鍼灸あんまマッサージ指圧があります。
国家資格ではないもののとして、整体・カイロプラクティック・レイキ療法・心理療法(医療のカウンセリングではない)など無数の療法が存在します。
その中で目新しいだけの鍼治療では普及できないのです。
日本国内では鍼治療と言うのは腰痛肩こりの治療と言う概念が人々の間に知れ渡っています。
それ以外の疾病を治せることが広く知れ渡らないと、高麗手指鍼は珍しいというだけでは普及はおぼつかなかったわけです。
そこに野村監督が連れてこられた金成万先生が、末期の肺がん患者を元気にさせたとテレビで紹介されたことは、千載一遇のチャンスだったはずでした。
しかし先生の鍼はならっても生徒が簡単にできる治療法ではなかったし、そのすべてをを教える気はなかったのでした。
もっとも気で治す方法は理論的に口で教えることは出来なかったでしょうし、どの国の鍼灸師でも同じでしょうが、簡単に自分の技術を教えることはしないのです。
教えたとしてもこの世界では自分の利益にはならないどころか、様々の不利益が生ずる可能性があるからです。
このことはまたほかで取り扱いましょう。
生徒に理論立てて教えることが出来なければ、それは誰にも伝わることは出来ないでしょう。
さて高麗手指鍼は他の療法を押しのけて様々な疾病を完治させる鍼治療でしょうか。
韓国では2年ごとに韓日学術大会が開催されています。
私は20年弱前から招かれて何度も行っていますが、果たして学術と言う文字が当を得たものであるかどうか?
確かに2001年に招かれて参加した時は、私も驚くことばかりでした。
ロッテホテルの大広間で開催されましたが、5000人以上も参加人数がありました。
もうあふれるばかりの上、たった一人ぼっちで心細かったことも覚えています。
あとで聞きましたが、前年は一万人以上集まってホテルから溢れかえったそうです。
その数年後からは大学の講堂を借りて開催されています。
初めてなので緊張しました。「発表のテーマは関節リウマチ治療」でした。
第二会場での発表で行いましたが暗闇の中を第1会場から日本人が聞きに来ていたのを見て、リウマチは治せないんだなと分かりました。
発表するのにビビっていたのに、案外と冷静だった自分にも驚きまましたが。
前回参加した友人から、その時参加した日本人治療家の発表テーマと治療法のコピーを貰っていました。
それでは治せないと感じていたのですが、韓国の治療家を見ても日本人の発表を見ても、学術とははるかに遠いものでした。
「学会員の慰安会ですよ」とささやかれましたが、まさにその通りかもしれませんでした。
ただその頃は盛大な催し物で、日本からテーマに沿って実績のある医療関係の研究者が招かれていました。
彼が言うには「ちょっと参加してくるかと思ってきたが、驚くほど盛大だったので驚きました」と言ってました。
それが今は見る影もないと言えるのは、どこに問題があったのか?
その当時盛んに発表していた方も、今では高麗手指鍼事態を止めている現実が、すべてを表しているのです。
そこのところを「手のひら先生スタイル」の中で扱ってみましょう。
ちなみに「手のひら先生」は私の商標登録です。
「高麗手指鍼」は韓国手指鍼学会の商標登録です。
高麗手指鍼では区別できないので、手のひら先生を取得しました。
手のひら先生スタイルのスタイルとは、独自に研究した理論と鍼の刺し方を含めたものです。
それを昨年「手のひら先生の高麗手指鍼療法」として出版しましたが、中身は免疫調整にはこのツボを使うとか、自律神経調整はこのようにするとか、具体的なことは書いていません。
私の理論を構築するまでの経緯を書いています。
その中に特筆されるべきところは、人間の進化とツボの現れ方ではないでしょうか。
人間の身体には進化の歴史が刻みこまれているのです。
このことをつまり鍼灸治療に、進化論を持ち出したことは鍼灸の歴史でも初めてのことです。
ノジェ式の耳鍼も進化を耳たぶのツボで表していますが、ノジェ博士はそれが進化の過程で次々と現れたツボであることは理解していなかったのではと思います。
手のひらに現れるツボは、進化とともに出るツボであると気が付かせてくれたのは、三木茂夫著「生命形態学序説」でした。
手のひら先生スタイルは単に新しいツボを見つけ出したというのではなく、人間が進化してきた4億年間の時間をなっぞって治療することなのです。