高麗手指鍼 手のひら先生スタイルの鍼 その3 漢方医・漢方薬局・鍼灸師


韓国のレベルがどのくらいか分かるようになってから、自分でもっと研究をするようになりました。

それまで電話やメールを貰うと、患者さんが東洋医学に過大な期待をしていることに気づきました。それに答えるにもレベルを上げなければと考えました。

結局独自に研究するに際して、身を削るようにした結果、脳溢血を発症したりその10年後には脳梗塞を起こしたりしてしまいました。

もっと楽な方が良かったかな?と言う選択肢はおそらくなかったでしょうね。

さて東洋医学の治療と言っても、漢方薬・鍼・灸・あんまがあります。

漢方薬だと医師の診断と処方が必要です。

それは医学部卒業の後一定の研修期間を終了して、漢方専門医の看板を上げる方たちの場合です。

漢方薬局も漢方薬を処方しますが、厚生省が例外扱いをしているとかで本来医師しか診断できないのに、薬剤師が行っているのです。

これは明治以降漢方医を国が無視またはないがしろにしてきた結果、漢方に国民の目が向き始めた時漢方専門医があまりにも少なかったので、薬剤師が診断することに目をつぶったというのが真相らしいです。

漢方専門医と言えども漢方専門医学部があるわけではないので、一旦卒業し医師免許を取得した後漢方を学ぶそうです。

ただこれもハードルが高いようで、今では保険適用にはなっていますが、それまでは自費診療でした。

処方も自分の治療所内で行うので、かなりのスペースをもって多くの薬剤を管理するのが負担だったようです。

わたしも当時日本で何本かの指に入るお医者さんに行きましたが、大邸宅どころか普通の民家に治療院が併設されたところがほとんどでした。

皆さん漢方処方に魅せられてこの道に入った方ばかりでしたので、貧乏になってもかまわないと決意していたそうです。

私は紹介されて中将湯と言う漢方薬の会社が運営していた「金匱会診療所 キンキカイ」に行きました。

原因不明の蕁麻疹に長い間苦しんだ結果たどり着いたところでした。

漢方医の先生方はどなたも穏やかなお顔をしていました。

見るからに温厚な方たちでした。

民間療法を行っていたきずが残っている肌を見ても、「これは何々療法の跡だね。これはお灸の効果と同じだね」と知識が豊富で分かっていました。

患者はわらをもすがる時はすがってしまいます。

それが怪しいなと思ったとしてもです。

その時「これはこのような治療法で、根拠はこれこれと説明してくれる方は尊敬できますね」

鍼灸師になってから漢方も勉強をした方がよさそうだと思い、薬剤師が主催しているセミナーに参加させてもらいました。

百人以上集まる会に2つ通いました。

なんで薬剤師がこんなに集まるのか?漢方に熱心なのか疑問に覚え近くの方に質問しました。

「昔の個人薬局はトイレットペーパーを売っても営業できたが、今はスーパーやドラッグストアで安売りするので儲からない。調剤もチェーンの薬局とは競争できない、となるとあとは漢方薬しかななくなる。」

「でも漢方薬だと何十種類も薬剤を揃えなくてはならなきゃいけないでしょう?」

「それはせんじ薬ではなく、瓶に入った薬とか顆粒の薬を売ればいいのよ」

と言う答えでした。そうなんだと納得しました。薬剤師の都合でこのように盛大になっているのかとガッテンでした。

漢方薬の場合2つの薬と合致する症状の時、2つの薬を半分づつ合わせる合法というやり方がありますが、そう言う時はどうされるのかなと心配になったことがありました。

薬剤師の方でも熱心に研究されている方はいらっしゃいますがやはり限界はあります。

腹診とか脈診とか、診断方法にも出来ないことがあります。

しかし患者やお客さんはそのことは関係ありません。これからの漢方が発展するために解決すべき問題点でしょう。

東洋医学の大きな問題点ともなりうるのが、漢方医も鍼灸師も治療結果に係る、技術は個人の資質によるところが大きいところです。

あれからもう20年近くなりましたが、個人の調剤薬局はもっと少なくなりチェーン店に組込まれるようになってしまったようです。

一方ツムラの顆粒剤が主流になり隣のお医者さんでも、簡単に漢方薬を出してくれます。

しかし処方するにしてもあくまで西洋医学からみた効能からであって、腹診・脈診・問診などは行いません。

私のホームドクターは東京医科歯科大学卒で漢方外来もあり、それなりに信頼できる先生です。

が、処方する時は「これはあくまでも西洋医学的観点から処方するものです」と言って出してくれます。

漢方処方と言うのは漢方薬を出すからではなく、望聞問切を行って腹診を重ねてそれで証を立てたところで、漢方薬の名前が付くことになります。

テレビで紹介されていましたが、ツムラでは短期間の講習で終了証を交付しています。

どのくらいの時間をかけて漢方医を育てようとしているのでしょうか?

漢方専門医が一人前になるには10年、先生について「傷寒論」などのテキストの読書会を通し漢方の考え方を学びます。

更に腹診などは手を取って教えてもらわなければ、全く身につかない技術ではないでしょうか。

鍼灸学生の時に、小川新先生が個人で作成した「腹診ビデオ」を購入しました。

鍼灸師として参考にはできませんでしたが、本を読んだりビデオを見ただけではその技術は身につかないものと思いました。

漢方医師も鍼灸師も経験は重要です。

ただ時間が経過しただというのでは無意味なことで、先達の技を吸収しなければなりません。

現在はそこに大きな問題が横たわっているのです。

一方治療を受ける側にたてば、経験と技術を推し測る物差しがほしくなりますよね。

ところが今はネット検索が主流で、そこでは様々な広告が幅を利かせることになっています。

治療を受けてもいいなと判断できる鍵、質問を私なりに考えましたので、次回にお教えしましょう。


サポート頂いたら最先端の医学雑誌と、最先端の進化論本を購入し難病治療研究に役立てる予定です。