見出し画像

手のひら先生の高麗手指鍼療法 10 東洋医学って それ何? 2





風邪になったら葛根湯と有名になりましたが、葛根湯を飲んだら漢方薬にはなりません。難しいことを言うようですが、東洋医学は東洋哲学の中にあるものなので、漢方薬の名前が付いたものを飲めばそれで漢方処方にはなりません。

漢方医ではないのですが元東京芸術大学三木茂夫教授の「生命形態学序説」の中に東洋医学・東洋哲学の考え方と同じ記述があります。

その多くをゲーテの言葉に借りて語っていますが、中身は東洋医学として語られるものと同じです。

「地球は宇宙のリズムの中にあり、地球のリズム・律動に合わせて我々の食と性がある。種ごとに年・月・日のどのリズムとも極めて厳密に結び付いている」

このリズムに則って生活すれば病気なども避けられるはずなのに、それができていないので気の乱れを生じてしまうのです。

東西の哲学者は同じようなことを述べています。

東洋医学の源典「黄帝内経」には後に書き加えたりした異本が多数存在します。

その中にこのような黄帝と主治医岐白の会話があります。

黄帝「昔の人は200歳も生きた人がいると聞くが、なぜ今の人は早死にするのか」

岐白「それは昔は日が昇るとともに起き働き、沈むとともに寝ました。ところが今はうまいものを食べ夜更かしをし、セックスをやりすぎるので早死にするのです」

この文章が書かれたのが二千年前か正確なところは分かりませんが、人間の本質は全く変わっていないという事です。

「黄帝内経素問霊枢十八巻」に書かれていることは、すべて気の概念によって説明されています。

気によって説明されるのが東洋医学です。

気は月日によって変化するものであり、我々体内を流れる気も影響されます。

その乱れた気を捉えて元に戻そうとするのが東洋医学の役目なのです。

風邪を引いたら葛根湯ではなく、東洋医学の診断を行いどこに問題がありどのような処方を行えば治療ができるのか、根本治療に至るにはどの薬を処方すれば良いのかを診断するのが漢方処方なのです。

前回書いたような望聞問切や腹診を行い診断をして、なぜ今患者さんが苦しむような状態になったのかを推し測ります。

いまは西洋薬では治らない病気に対して漢方薬に期待がかかっているようです。

ところが漢方薬はオーダーメイドの処方もできますが、医師によって技術の差があるようなのです。

若いころ漢方医のお子さんが風邪を引きました。漢方薬を処方したが治らない、そこで高名な父親に処方を問い合わせたところ同じでした。おかしいなと思いながら話していると、煎じていた時にあくがたくさん出たのでそれを捨てていたそうです。お父さんが「それは捨ててはいけない。それを含んで漢方薬なのだから」と言われたそうです。

漢方薬はいまはエキス顆粒が主流になっていますが、本来は患者さんに合わせたせんじ薬が最良なのです。

現代では生薬が入りにくくなったり、保管の問題があったりして、煎じ薬は難しいことになっています。

また漢方専門医になろうとすると努力と時間が掛ります。

大学医学部には漢方専門医や専門の薬剤師を育てるところはないのです。

資格を取得した後漢方専門医のところで、10年は研鑽を積んで一人前と呼ばれるようになるのです。

それで全国には大学病院で漢方外来があるのに、漢方専門医が少ない原因があるのです。

一方製薬会社などが行う漢方セミナーによって、インスタント漢方処方が増えているのも確かです。

ほとんどが西洋医学的な診断で西洋医学的な処方から漢方薬を処方しています。これは漢方処方とは言えないのです。

いま一つ、私も漢方専門医に長くお世話になりましたが瞑眩は出ませんでした。

この瞑眩は以前は好転反応と言われていましたが、今は診断の誤りによる副作用と言われています。

副作用が瞑眩として漢方には固有の常識のようにされたのは、それだけ見立てが悪い例が多かったのでしょう。

漢方で出される薬は食用もありますが、ほとんどが生活では口にしないものです。

そこで漢方薬の効果は「異物を体内に入れることで体が反応し、体内から排出する働きで病気が治るのだ」と言う人もいます。

漢方薬に副作用はないという定説は今はなくなっています。

同じ東洋医学の中で鍼治療はどうなのかと言えば、資格取得までのハードルが低いのですが一人前の鍼灸師になるには難しさがあります。

学生の3年間は短すぎます。しかし伸ばしても結果は同じ事です。

鍼灸の場合は卒業してから先生を見つけ「弟子入り」をしないとマスターできないとされます。

この弟子入りとは何か長い間考えていましたが結論が出ました。それはだいたい弟子入りは2年間ですが、この修行期間内に先生に気に入られると先生の持つ「治す気を譲られる」のです。

修行期間中に様々な経験があり、先生から治療法を習ったりすることが弟子入りではないのです。気を譲られるのが大事なことです。

例えば従業員がいたとします、彼はもう10年もそこに努めていたとしたら、同じ疾患に先生と違う治療法を行うはずはありませんよね。

「先生に治療してもらった時は楽になったのに、お弟子さんの時は効かなかった」と言う声があるのはなぜでしょうか。

先生と従業員の差はどこにあるのでしょうか?

それが「気」と言う不思議なパワーを持っているか否かにかかわってくると私は考えたのです。

譲る譲られる方法が分からないので、未だ弟子入りが鍼灸師として一人前になる早道としか分かっていないのです。

まとめると、

漢方薬の問題には

1、専門医になる機関と仕組みの問題
2、経験年数が必要
3、開業後の漢方生薬の維持と保管

があります。

鍼灸の問題には

1、実践を習う仕組みや制度がない
2、治療家の気とは未だ二千年間も分かっていない

が東洋医学を今だ分からないものとされているのではないでしょうか。

ホームページは「手のひら先生のリウマチ相談室」です

書籍は「手のひら先生の高麗手指鍼療法」になります。


サポート頂いたら最先端の医学雑誌と、最先端の進化論本を購入し難病治療研究に役立てる予定です。