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「運動すると腸が変わる?」腸内細菌とスポーツの意外な関

運動が健康に良いのは周知の事実ですが、「腸内細菌」への影響を考えたことはありますか?

「運動すると腸内環境が良くなる」なんて話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
しかし、本当に運動は腸にとってプラスなのか? それとも、やりすぎると逆効果なのか?

最新の研究では、「運動の強度と時間によって腸内環境が変化する」ことが明らかになっています。

今回は、腸内細菌と運動の関係について、科学的なデータをもとに解説します。


運動すると腸が変わる?最新の研究が明らかにしたこと

今回紹介するのは、「運動の強度と持続時間が腸内細菌に与える影響」について調査した系統的レビュー(過去の研究を総合的に分析した研究)**です。

研究タイトル:「Effect of Intensity and Duration of Exercise on Gut Microbiota in Humans: A Systematic Review」
対象研究数:16研究(合計513名のデータ)
評価方法:腸内細菌の遺伝子解析(16S rRNA)、血液中の腸バリアマーカー(I-FABP, ゾヌリンなど)

この研究では、運動が腸内細菌に与える影響には「良い影響」と「悪い影響」の両方があることが示されました。


運動は腸に良い?それとも悪い?

 良い影響(7つの研究で確認)

✔️腸内細菌の多様性が増加(腸が健康になる可能性)
✔️短鎖脂肪酸(腸のエネルギー源)を作る菌が増加
✔️炎症を抑える作用がある細菌が増える

特に、適度な持久運動(中強度のランニングやサイクリングなど)を行った場合に、「腸に良い菌」が増えた ことが報告されています。


 悪い影響(13の研究で確認)

✔️腸のバリア機能が低下(腸の透過性が上昇)
✔️腸の炎症が増加(I-FABP・ゾヌリン上昇)
✔️悪玉菌(Prevotellaなど)が増える

特に、高強度の運動(長時間の持久運動やハードなトレーニング)では、腸のダメージや炎症が増えることが報告されています。


結論:運動のやりすぎは腸に負担?

この研究では、運動が腸に与える影響について以下のことが分かりました。

高強度・長時間の運動は腸に悪影響を与える可能性がある
一方で、適度な持久運動は腸内環境を良くする可能性もある
腸内細菌の変化がアスリートと一般の人で異なる
最適な運動量はまだ明確ではなく、さらなる研究が必要

つまり、「運動は腸に良い」と一概には言えず、やりすぎると腸にダメージを与える可能性があるということ。


【私見】では、どんな運動が腸に良いのか?

論文では「最適な運動量」は明確になっていませんが、「高強度・長時間の運動は腸に負担をかける可能性が高い」ことが示唆されています。

そのため、腸内環境を整えたいなら、極端な運動を避け、適度な有酸素運動を続けるのが良いかもしれません。

  • ウォーキングや軽めのジョギング(30〜60分程度)

  • 週3〜4回の中強度の運動(例えばサイクリングやスイミング)

また、運動後の腸のダメージを防ぐために、食事や休養をしっかり取ることも重要です。


まとめ:今後注目したいポイント

今回の研究で、運動が腸に与える影響にはポジティブな面とネガティブな面があることがわかりました。しかし、まだ多くの疑問が残っています。

今後、以下のようなポイントに注目したいと思います。

✔️どのくらいの運動量なら腸に良い影響を与えるのか?
✔️運動後に腸のダメージを回復させる方法はあるのか?
✔️腸内細菌の変化がスポーツパフォーマンスにどう影響するのか?

腸と運動の関係は、今後さらに解明が進む分野です。引き続き、新しい研究に注目していきたいと思います!


参考論文

 Bonomini-Gnutzmann, R. et al. (2022). "Effect of Intensity and Duration of Exercise on Gut Microbiota in Humans: A Systematic Review." International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(9518).
https://doi.org/10.3390/ijerph19159518

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