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赤ちゃんと親の関わりが脳の成長に与える影響

現代の多くの親は、赤ちゃんの成長にどう関わればよいのか悩んでいます。

特に、赤ちゃんの脳がどのように発達し、どのような関わりがその成長に影響を与えるのかは、明確に知られていません。
このような疑問や不安は、多くの家庭で共通の課題となっています。

実際に、親の関わり方が適切でない場合、子どもの情緒の安定や学習能力、対人関係の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
これにより、子どもが将来、ストレスや不安を感じやすくなったり、社会性の発達に遅れが生じることも考えられます。

こうした背景の中、ケンブリッジ大学の研究チーム(Dianna Ilykaさん、Mark H. Johnsonさん、Sarah Lloyd-Foxさん)が、親子の関わりが赤ちゃんの脳の発達にどのような影響を与えるのかを明らかにしました。
この研究では、55件の研究結果をもとに、親の関わり方が脳の成長や情緒の安定にどのように関わるかが詳しく分析されています。

この研究によって、親が赤ちゃんにどのように関われば、脳の健全な成長を促進できるのかが明確になりました。
優しい声かけやスキンシップ、積極的なコミュニケーションが、赤ちゃんの脳の発達を大きくサポートすることがわかっています。

この記事では、親が日常生活で実践できる効果的な関わり方を紹介します。これにより、赤ちゃんの脳の発達をサポートし、将来的な学習能力や社会性の向上にもつながるでしょう。

本論文を通じて、親として赤ちゃんとの関わり方を見直し、愛情をたっぷり注ぐ行動を見直してみましょう。
これが、赤ちゃんの健やかな成長と幸せな未来を築く第一歩です。

親子の関わりが脳の成長に与える影響

1. 脳の形が変わる

お母さんが赤ちゃんに優しく関わると、赤ちゃんの脳の「扁桃体(へんとうたい)」や「海馬(かいば)」という部分がよく成長します。
たとえば、感受性が高いお母さんと過ごした赤ちゃん(n=83)は、4.5歳と6歳のときに脳の成長がよく見られました。

お母さんやお父さんが赤ちゃんの気持ちに寄り添うと、子どもは気持ちが安定し、ストレスにも強くなります。
これが、勉強や友達との関係にも良い影響を与えます。
さらに、ストレスに対する耐性が高まることで、将来的な心の病気のリスクも減少するかもしれません。

2. 愛着と脳の発達

生まれたときに脳のある部分(視床や基底核)が大きい赤ちゃん(n=629)は、1年後に不安になりにくい性格になることがわかりました。
また、親が積極的に愛情を示すことで、安心感や信頼感が育まれ、情緒が安定します。

これは、赤ちゃんの脳の形が、気持ちの安定や友達と仲良くする力に関わっているのです。
親の関わり方がとても大事になります。特に、愛情深い関わりは、赤ちゃんの社会性や対人関係のスキルにも影響します。

3. 親の気持ちと赤ちゃんの脳

お母さんが元気がないときでも、赤ちゃんと積極的に関わることで、脳のバランスがよくなることがわかりました(n=140)。
たとえば、笑顔で話しかけたり、一緒に遊ぶことが、脳の成長に良い影響を与えます。

親が赤ちゃんとたくさん話したり遊んだりすると、赤ちゃんの気持ちを落ち着かせたり、友達と仲良くする力が育ちます。
さらに、親の前向きな態度が、赤ちゃんの自己肯定感や自信を育むのです。

4.長期的影響

幼少期の社会的経験は、思春期や成人期の脳機能にも長期的な影響を与える。
幼少期の良い経験が、脳の構造や機能の発達に与えるようです。親や周囲の関わり方が、将来の精神的な健康社会的な適応力に大きく影響するのです。

例えば、小さいころに、親や家族が「ありがとう」や「ごめんね」をちゃんと言うことを教えてくれたり、友達と遊ぶ機会をたくさん作ってくれたとします。
そうすると、他の人の気持ちを考える力や優しく接する力が自然と身につきます。
その力がつくと、友達とケンカしても、すぐに仲直りできるようになりそうですね。

日常生活でできること


研究結果をもとに、毎日できる親の関わり方を紹介します。

1. 赤ちゃんの気持ちに寄り添う

赤ちゃんの表情や動きに気づいて、優しく声をかけたり、抱っこしてあげましょう。泣いているときや笑っているときに、すぐに反応してあげることで、赤ちゃんは安心感を得ます。

2. たくさん話しかける

赤ちゃんに話しかけたり、反応を見ながらやりとりを楽しみましょう。お話しや歌をうたってあげることで、言葉の発達も促されます。

3. 家族みんなで楽しく過ごす

一緒に遊んだり、お散歩や自然の中で遊ぶ時間を増やしましょう。家族全員で関わることで、赤ちゃんは多様な人間関係を学び、より豊かな感情を育みます。

4. スキンシップを大切にする

ハグや手をつなぐなどのスキンシップは、赤ちゃんの安心感を高め、心の安定につながります。寝る前にぎゅっと抱きしめてあげることも効果的です。

まとめ

この研究から、赤ちゃんの時期に親がどう関わるかが、脳の成長にとても大切だとわかりました。優しく関わったり、たくさん話しかけることで、子どもはもっと元気に育つでしょう。家族全員で赤ちゃんと関わり、温かい環境で育てることが、将来の心と体の健康にもつながります。

参考論文

Ilyka D., Johnson M. H., Lloyd-Fox S. Infant social interactions and brain development: A systematic review. Neuroscience and Biobehavioral Reviews. 2021;130:448-469。

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