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「多ければ多いほうがいい」ではない?最新研究が示す最適な筋トレセット数


筋肉を大きくするためには「とにかくたくさんのセットをこなせばいい」と思っていませんか?

たしかに、トレーニングボリューム(セット数)は筋肥大にとって重要な要素です。しかし、最近の研究によると、「ボリュームを増やせば増やすほど良い」というわけではないことが明らかになっています。

今回は、最新の研究をもとに、筋群ごとに最適なトレーニングボリューム について解説します。

注:トレーニングボリュームとは、
トレーニングボリューム=セット数×レップ数×負荷(重量)
のことです。
重い負荷で回数少ないと、軽い負荷でも回数がおおければ、トレーニングボリュームは同じになることがあります。
ただし、本論文は、セット数をトレーニングボリュームと言っている可能性が高いです。負荷量の記載が少ないので。


論文紹介

今回紹介するのは、「A Systematic Review of The Effects of Different Resistance Training Volumes on Muscle Hypertrophy」 という研究です。

この研究では、週12〜20セット(中ボリューム)週20セット以上(高ボリューム) を比較し、どのくらいのセット数が筋肥大に最適なのかを検証しました。

その結果、筋群によって最適なボリュームが異なる ことが明らかになりました。


筋群ごとの最適なトレーニングボリューム

上腕三頭筋(Triceps Brachii)

 高ボリューム(20セット以上)が有効!

  • 週20セット以上のグループの方が、有意に筋肥大が大きかった(p = 0.01)

  • 最大 17.5% の筋肥大 が確認された

  • 多関節種目(ベンチプレス、ディップス)だけでなく、単関節種目(プレスダウン、フレンチプレス)も取り入れるべき

 おすすめのトレーニング方法

  • 現在のセット数を確認し、20セット以上に増やす

  • 単関節種目を増やし、三頭筋にフォーカス

  • 週2回→週3回に増やすことでオーバートレーニングを防ぐ


大腿四頭筋(Quadriceps Femoris)

週12~20セットで十分!

  • 中ボリューム vs 高ボリュームで有意差なし(p = 0.19)

  • 高ボリュームの方がやや筋肥大率は高いが、統計的な有意差はなし

  • 週12~20セットを目安に、負荷や強度を意識したトレーニングが重要

おすすめのトレーニング方法

  • 週20セットを超えている場合、適切なボリュームに調整

  • 負荷や強度を意識し、スクワット・レッグプレスを中心に

  • 週2~3回の頻度を維持し、セット数を最適化


上腕二頭筋(Biceps Brachii)

週12~20セットで十分!

  • 中ボリューム vs 高ボリュームで有意差なし(p = 0.59)

  • 一部の研究では、高ボリュームが有効なケースもあるが、全体的な傾向としては 12~20セットで十分

  • 単関節種目(アームカール)と多関節種目(チンアップ)をバランスよく組み合わせることが重要

おすすめのトレーニング方法

  • 過剰なセット数を見直し、適正なボリュームを維持

  • 単関節種目+多関節種目を組み合わせる

  • オーバーワークを防ぎ、質を重視する


この研究の弱点

  • トレーニング強度(例:1RMの何%で行うか)については記載不足

  • 強度を考慮せずにセット数だけを比較しているため、実際の筋肥大への影響を完全には評価できない

  • ボリュームだけでなく、強度や休息時間との相互作用も重要な要素であるが、それらには触れられていない

  • 包含された研究の多くは1RMの70〜85%(8回から10回上げるのが限界の重さ)の強度でトレーニングを実施しているが、本論文では強度の影響についての議論が不足している


トレーニングボリュームの考え方を変える!

この研究結果を踏まえると、「高ボリューム=最強」ではない ことがわかります。

上腕三頭筋は20セット以上が効果的
大腿四頭筋・上腕二頭筋は12~20セットで十分
頻度を増やしてボリュームを分散すると、より効率的に筋肥大できる
単関節種目と多関節種目のバランスが重要
「多ければ多いほど良い」という考え方は捨て、筋群ごとの最適なボリュームを意識する
トレーニング強度も考慮し、適切な重量設定を行うことが重要
強度(%1RM)を明確にした研究が不足しており、今後の研究課題となる


結論:賢くトレーニングしよう!

もしあなたが「とにかくセット数を増やせば筋肉が大きくなる」と思っていたなら、この研究は 目からウロコ だったのではないでしょうか?

トレーニングは、単に「量」ではなく、「質」と「バランス」が重要です。

まずは 自分のトレーニングボリュームを見直し、筋群ごとの最適なセット数を意識してみましょう。

そして、トレーニング強度(1RMの割合)も適切に設定 することで、より効果的な筋肥大を狙いましょう。

今日から、より 効率的に筋肉を成長させるトレーニング を実践していきましょう!

参考論文


Baz-Valle E, Balsalobre-Fernández C, Alix-Fages C, Santos-Concejero J. A Systematic Review of The Effects of Different Resistance Training Volumes on Muscle Hypertrophy. J Hum Kinet. 2022 Feb 10;81:199-210.

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