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子供の肥満を解消せよ!
はじめに
肥満に悩む子どもは増加しています。
子供が肥満であることで、健康面でのリスク(生活習慣病、体内の慢性炎症、運動能力低下)、心理的な影響(自己肯定感の低下、精神的健康低下)社会的影響(いじめ・偏見の可能性)など、多くの問題と戦わなければいけません。
肥満解消法として、栄養の見直し、運動が挙げられます。
さらに、運動も筋力トレーニングと、有酸素運動が効果的です。
今回は有酸素運動に着目した論文を紹介します。
今回紹介する論文は、「Influences of exercise interventions on overweight and obesity in children and adolescents」です。
この論文は、子どもや青少年の肥満に対する有酸素運動の影響を詳しく調べています。
本記事では、その研究結果をわかりやすくお伝えします。
有酸素運動が子どもの健康に与える影響
1. 体脂肪の減少
運動を取り入れることで、特に有酸素運動が体脂肪の減少に効果的であることが確認されました。BMIが減少するだけでなく、体脂肪率が最大で-0.54減少するというデータが示されています。
何を意味するのか?
これは、適度な有酸素運動を続けることで、見た目の変化だけでなく、健康全般に良い影響を与える可能性があることを示しています。たとえば、心臓や血管の負担が軽減され、生活習慣病のリスクが下がることが期待されます。
2. 炎症の抑制
炎症マーカー(TNF-αやIL-6)の値が、有酸素運動により大幅に減少することがわかりました。これにより、肥満が引き起こす健康リスクを軽減する効果が期待されます。
何を意味するのか?
肥満は体内に慢性的な炎症を引き起こし、それが糖尿病や心臓病の原因となることがあります。この研究は、有酸素運動がその炎症を軽減するため、将来的な病気の予防にもつながる可能性を示しています。
3. 体力の向上
最大酸素摂取量(VO2ピーク)などの指標で体力向上が確認されています。これにより、心肺機能や持久力が改善し、全体的な健康が向上する可能性があります。
何を意味するのか?
運動能力の向上は、日常生活の活動をより楽にし、自信を持つきっかけにもなります。また、学校やスポーツ活動でのパフォーマンス向上も期待できます。
日常生活にどう活かすか
研究の結果を実践に活かすためには、無理のない範囲で運動を日常生活に取り入れることが重要です。たとえば、以下のポイントが参考になります。
週3回の有酸素運動
ランニング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を取り入れることで、体脂肪の減少が期待できます。なんなら、散歩だけでも良いです。
家族全員で楽しめる運動
子どもだけでなく家族全員が参加できる活動(ハイキングやボール遊びなど)を取り入れることで、運動習慣が身につきやすくなります。
短時間でも継続すること
長時間の運動を毎日続けるのは難しいかもしれませんが、短時間でも定期的に行うことで効果を得られます。
抵抗運動が必要?
本論文では、以下のような指摘をされています。
有酸素運動が肥満や過体重の子供・青少年にとって最も効果的であるが、筋肉量の維持や全体的な健康を考慮するなら、抵抗運動を併用することが推奨される。
抵抗運動とは、いわゆる筋トレです。
青少年なら分かりますが、子供に筋トレを勧めることはできません。苦しい運動を継続することは、難しいでしょう。また、楽しみがないと自ら行動するモチベーションにはつながりません。
よって、私が推奨するのは、家族で楽しめる運動です。
まとめ
今回の研究は、肥満に悩む子どもに対して、運動がいかに効果的であるかを科学的に示しています。特に、有酸素運動が体脂肪の減少、炎症の抑制、体力の向上に寄与することがわかりました。
これらの結果は、日常生活に運動を取り入れることで、子どもたちが健康的な未来を築く一助となるでしょう。
参考論文
Lee J. Influences of exercise interventions on overweight and obesity in children and adolescents. Public Health Nurs. 2021 May;38(3):502-516.