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鉄分を多く摂るほど貧血に?大学生アスリート研究が示す意外な結果

鉄欠乏性貧血は、アスリートにおける長年の健康問題です。

鉄欠乏性貧血は、健康だけでなくパフォーマンスにも影響するため、アスリートにとっては死活問題です。

私自身、高校生の部活現役時代は、貧血に悩まされていました。医師からの鉄剤をとることによって改善すると言われました。

鉄剤を定期的に摂取することで改善し、パフォーマンスを保つことができていたんですね。

しかし、今回紹介する研究では、意外な結果が明らかになりました。鉄分を多く摂るほど「鉄欠乏性貧血」のリスクが上がる可能性が示されています。


研究の紹介

今回紹介するのは、2023年に発表された「日本の大学生アスリートにおける鉄欠乏性非貧血の有病率」に関する研究です。

この研究では、筑波大学のアスリート126名(男性79名、女性47名)を対象に、鉄欠乏性の有病率と関連因子を調査しました。血清フェリチン値(30ng/mL以下)を基準に、鉄欠乏性と判断しています。

スポーツ種目は剣道、バドミントン、野球、ハンドボールといった多様な競技が含まれています。



研究の結果

研究の結果、女性アスリートの47%が鉄欠乏性と判定されました。一方で、男性アスリートには鉄欠乏性は見られませんでした。

特に注目すべきは、バドミントンの女性選手が他の競技に比べて最も高い割合で鉄欠乏性を示したことです。一方で、剣道の選手は比較的低い割合でした。

さらに興味深いのは、鉄摂取量が多い女性ほど、鉄欠乏性になりやすいという結果です。研究では、その原因は明確にされていませんが、非ヘム鉄の吸収効率や炎症によるヘプシジンの影響が関係している可能性が示唆されています。


実体験からの考察

この結果について、自分の経験を思い返すと、鉄分を多く摂取している選手は、もともと自分が鉄不足になりやすいことを認識している場合が多いです。

「足りないから補おう」と意識しているからこそ、摂取量が多くなるのではないでしょうか。

また、剣道選手が貧血になりにくいというのも興味深い点です。剣道は裸足で行い、身体に多くの負担がかかるスポーツであるため、他の競技と比べて貧血率が低いことは少し意外に感じます。


研究の限界

この研究は126名のアスリートを対象とした単一施設でのコホート研究であり、サンプルサイズが比較的少ないことから、結果を参考値として捉えるべきでしょう。

大規模な研究や競技特性を考慮したさらなる調査が必要です。

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