
ダイエット法によって違う?食事制限のメリットと注意点を科学的に解説
「ダイエットを始めよう!」と思ったとき、どの食事法を選ぶべきか悩んだことはありませんか?
低炭水化物ダイエット、低脂肪ダイエット、地中海式ダイエット、高タンパク食…。
どの方法も「効果がある」とされる一方で、長続きしない、健康に悪影響を与えるかもしれないといった意見も耳にします。
今回紹介するのは、「肥満の治療と管理における栄養戦略の有効性」を検証した系統的レビュー です。
この研究では、各ダイエット法の効果を検討するだけでなく、それぞれの注意点についても分析されています。
ダイエットの「良い面」と「気をつけるべきポイント」を科学的に解説します。
ダイエット法による効果の違いは?研究が示す結果
今回の研究では、肥満または過体重の成人(合計約10万人)を対象に、さまざまなダイエット法の効果を比較しました。
研究で検証された主な食事法:
✓ 低エネルギーダイエット(LED)
✓ 低炭水化物ダイエット(LCD)
✓ 低脂肪ダイエット(LFD)
✓ 地中海式ダイエット(MD)
✓ 高タンパク食(HPD)
✓ 断続的断食(Intermittent Fasting, IF)
それぞれのダイエット法の 「良い影響」と「注意すべきポイント」 を詳しく見ていきましょう。
低エネルギーダイエット(LED)
体重減少効果
✓ 1日500〜1000kcalのカロリー制限で 2kg/月の体重減少
✓ 12か月後の平均減量率 8%
注意点
✓長期間の継続が難しい(空腹感が強くなるため)
✓基礎代謝の低下(極端なカロリー制限によりエネルギー消費が減少)
✓筋肉量の減少(タンパク質不足で筋肉も減る可能性)
ポイント
➡ 短期間で体重を落とすのには有効だが、筋肉量を維持するためには 運動とタンパク質摂取の工夫が必要。
低炭水化物ダイエット(LCD)
体重減少効果
✓ 6か月後の平均体重減少 3.2kg〜6.0kg
✓短期間での減量効果が大きい(ケトーシスによる)
注意点
✓ケトーシスによる不調(炭水化物摂取50g/日未満で、頭痛や疲労感)
✓心血管リスクの増加の可能性(飽和脂肪酸の摂取増加)
✓腸内環境の悪化(食物繊維不足で便秘リスク)
ポイント
➡ 短期間で効果が出やすいが、長期的な健康リスクも考慮が必要。特に食物繊維やミネラル不足に注意。
低脂肪ダイエット(LFD)
体重減少効果
✓ 2〜12か月で 平均3.2kg減少
✓長期間の健康維持に適している
注意点
✓脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の吸収低下
✓満腹感が得にくい(脂質が少ないと食後の満足感が低下)
✓リバウンドしやすい(長期的な維持が難しい)
ポイント
➡ 心血管疾患リスクの低減には良いが、満足感が低く継続しにくい。タンパク質や食物繊維と組み合わせる工夫が必要。
地中海式ダイエット(MD)
体重減少効果
✓ エネルギー制限付きで -3.88kg(食事制限なしよりも効果的)
✓長期的な健康維持に適した食事法
注意点
✓食材のコストが高い(ナッツ類、オリーブオイル、魚介類)
✓食事量を調整しないとカロリー過多になりやすい
✓アルコール摂取の管理が必要(赤ワインが推奨されるが、多量摂取は逆効果)
ポイント
➡ 食事の質を重視する人には最適だが、食材費やカロリー管理に注意が必要。
高タンパク食(HPD)
体重減少効果
✓満腹感を持続させやすい(食欲ホルモンに影響)
✓筋肉量を維持しながら減量可能
注意点
✓腎機能への負担(特に腎臓疾患のある人は注意)
✓高脂質・高カロリーになりやすい(動物性タンパク質の摂取増加)
✓長期間の安全性が不明(短期では有効だが、長期的なデータ不足)
ポイント
➡ 筋肉を維持しながら痩せたい人に向いているが、脂質・カロリー管理が必要。
断続的断食(Intermittent Fasting, IF)
✓体重減少効果
✓週あたり0.5〜1.0kgの減量
✓脂質代謝の改善
注意点
✓エネルギー不足による集中力低下
✓筋肉量の減少リスク
✓低血糖のリスク(糖尿病患者には向かない)
ポイント
➡ シンプルで続けやすいが、極端な断食は避けるべき。

まとめ:ダイエット法は「自分に合うか」が鍵
研究結果から分かるのは、「どの食事法でも短期的な減量は可能だが、長期的には個人差が大きい」ということ。
✔ 短期間で効果を出したいなら → 低エネルギー or 低炭水化物
✔ 健康を維持しながら痩せたいなら → 地中海式 or 高タンパク食
✔ シンプルに続けたいなら → 断続的断食
最も重要なのは、「自分のライフスタイルに合っていて、長く続けられるか」 です。無理なく健康的に続けられる食事法を選びましょう。