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低脂肪ダイエットが男性ホルモンに与える影響:最新研究をわかりやすく解説


はじめに

「低脂肪ダイエット」や、「低糖質ダイエット」が健康的な食事法として注目されています。
「低脂肪ダイエット」は心臓病や肥満の予防に効果があるとされる一方で、ホルモンバランスにどのような影響を及ぼすのかについては、十分に理解されていない部分があります。

今回紹介する研究「Low-fat diets and testosterone in men: systematic review and meta-analysis of intervention studies」では、低脂肪食が男性のテストステロン(男性ホルモン)に与える影響について詳しく調べられています。

今回は、その研究結果をわかりやすくお伝えします。


テストステロンとは?

1. 身体的健康への影響

筋肉量と筋力の低下

  • テストステロンは筋肉の成長と維持に重要な役割を果たします。

  • 減少すると筋力が低下し、筋肉量が減少する可能性があります。

体脂肪の増加

  • テストステロンの低下は、特に腹部の体脂肪増加と関連があります。

  • 代謝が低下し、肥満リスクが高まる可能性があります。

骨密度の低下

  • 骨密度を維持するために重要なホルモンであるため、低下すると骨粗鬆症のリスクが高まります。

心血管リスクの増加

  • 低テストステロンレベルは、心血管疾患(心臓発作や脳卒中など)のリスクを高める可能性があると報告されています。


2. 生殖機能への影響

性欲減退

  • 性的欲求(リビドー)の低下が一般的です。

勃起不全

  • テストステロンは勃起機能を支える役割を果たします。低下すると勃起不全のリスクが増加します。

精子数の減少

  • 生殖能力にも影響を及ぼし、不妊の原因となる可能性があります。


3. 精神的健康への影響

抑うつ症状

  • 低テストステロンは、抑うつ感や不安感の増加と関連しています。

エネルギーレベルの低下

  • 疲労感や全体的なエネルギーの欠如を感じることが多いです。

集中力の低下

  • 認知機能や集中力の低下が起こる可能性があります。


4. その他の影響

免疫機能の低下

  • 一部の研究では、低テストステロンが免疫機能の低下に関連する可能性が示唆されています。

生活の質の低下

  • 上記の身体的・精神的影響が組み合わさることで、全体的な生活の質が低下する可能性があります。


この研究で何がわかったのか?

この研究では、低脂肪食(脂肪摂取量が総エネルギーの約19.5%)と高脂肪食(脂肪摂取量が約39.6%)が男性のテストステロンにどのような影響を及ぼすかを比較しました。

研究概要

  • 対象者:健康な男性206人

  • 期間:2〜10週間

  • 分析方法:6つの介入研究の結果を統合してメタ分析


低脂肪食がホルモンに与える影響

主な結果

研究によると、低脂肪食を取ると以下のホルモンが減少することが分かりました:

  1. 総テストステロン(TT)

    • 平均減少:-0.38(統計的に有意)

    • 欧米人男性ではさらに大きな減少:-0.52

  2. 遊離テストステロン(FT)

    • 平均減少:-0.37

  3. 尿中テストステロン(UT)

    • 平均減少:-0.38

  4. ジヒドロテストステロン(DHT)

    • 平均減少:-0.3

影響が少なかったホルモン

  • 黄体形成ホルモン(LH)

  • 性ホルモン結合グロブリン(SHBG)

以上により、低脂肪ダイエットは、男性ホルモンであるテストステロンを低下させることがわかりました。

テストステロンが低下すると、.身体的健康への影響筋肉量と筋力の低下、体脂肪の増加、骨密度の低下、心血管リスクの増加、性欲減退、勃起不全、精子数の減少、抑うつ症状、エネルギーレベルの低下、集中力の低下、疫機能の低下、生活の質の低下が起こってしまいます。

低脂肪ダイエットによって、これらの影響があるなら、私は絶対にやりません。



誰が影響を受けやすいのか?

この研究では、以下の人々が特に低脂肪食の影響を受けやすいことが示されています。

  • 欧米人男性:遺伝的な要因が影響している可能性。

  • ベジタリアン:亜鉛不足がテストステロン減少の原因となる可能性。


日常生活に活かす方法

低脂肪食を実践する際は、次のポイントを意識するとバランスを保ちやすくなります。

  1. 朝食にナッツ類を取り入れる:アーモンドやくるみは良質な脂肪を提供します。

  2. オリーブオイルを活用する:サラダや調理に使うと、不飽和脂肪酸を効果的に摂取できます。

  3. 亜鉛が豊富な食品を加える:牡蠣、赤身の肉、豆類などをメニューに取り入れましょう。

  4. 魚を適度に食べる:健康的な脂肪酸が豊富な魚を週数回取り入れることでバランスを整えられます。


まとめ

低脂肪食が男性のテストステロンを減少させる可能性があることが、この研究で明らかになりました。ただし、効果は大きくなく、日常の健康管理の一部として捉えるべきです。

脂肪の種類や栄養素のバランスに注意を払いながら、自分の体質や健康状態に合った食事法を選ぶことが重要です。無理のない範囲で、健康的な生活を目指しましょう。


参考文献

Whittaker J, Wu K. Low-fat diets and testosterone in men: Systematic review and meta-analysis of intervention studies. The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. 2021; 210: 105878. DOI: 10.1016/j.jsbmb.2021.10587

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