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瞬発力を伸ばしたいなら 筋トレと有酸素運動の間隔を空けろ!
「筋肉をつけつつ、体脂肪も落としたい」
「健康のために両方やるのが良いと聞いた」
こんな理由で、ランニングやサイクリングを筋トレと組み合わせる人は多いですよね。
しかし、「有酸素運動をすると筋力が落ちる」という話を聞いたことはありませんか?
今回紹介する最新の研究では、筋トレと有酸素運動を組み合わせても 筋力や
筋肥大にはほとんど影響がない ことが分かりました。
ただし、瞬発力(爆発的筋力)を伸ばしたい人は注意が必要 です。
ポイントは 「筋トレと有酸素運動を同じセッションで行わないこと」。
その理由を、詳しく解説していきます。
筋トレと有酸素運動、本当に両立できるの?
一般的に、「有酸素運動は筋トレの効果を邪魔する」と言われています。
しかし、この研究では 「最大筋力や筋肥大には影響しない」 という結果が出ました。
つまり、
✔️ 筋肉を大きくしたい人 → 有酸素運動を取り入れてもOK
✔️ 健康維持やダイエット目的の人 → むしろ有酸素運動もやったほうが良い
でも、一つだけ気をつけるべき点があります。それが 「瞬発力(爆発的筋力)」 です。
どんな研究が行われたの?
この研究では、筋トレと有酸素運動を組み合わせることが 最大筋力・爆発的筋力・筋肥大 にどんな影響を与えるのかを調査しました。
研究の内容
対象者: 健康な成人 1,090人
筋トレ+有酸素運動(コンカレントトレーニング)グループ: 590名
筋トレのみグループ: 500名
研究期間: 4週間以上
有酸素運動の種類:
サイクリング(24研究)
ランニング(16研究)
その他(ローイングなど)
筋トレと有酸素運動のスケジュール:
同じセッションで連続して行う
3時間以上間隔を空ける
別日に分ける
結果
項目影響詳細データ最大筋力影響なしSMD: −0.06(p = 0.446)筋肥大影響なしSMD: −0.01(p = 0.919)爆発的筋力低下する可能性ありSMD: −0.28(p = 0.007)
特に、有酸素運動と筋トレを同じセッションで行った場合、瞬発力が低下する傾向が強かった ことが分かっています。
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瞬発力を伸ばしたいなら、トレーニングの間隔を空けるべし!
この研究の最も重要なポイントは、
「爆発的筋力(瞬発力)を重視するなら、有酸素運動と筋トレを同じセッションで行わないこと」
有酸素運動と筋トレを連続でやると、瞬発力の向上が阻害される 可能性があります。
どれくらい間隔を空けるべき?
✔️ 3時間以上
→ この研究では、有酸素運動と筋トレを3時間以上空けた場合、瞬発力への悪影響がなかったことが確認されています。
✔️ 別日に分けるのもアリ
→ 例えば「月・水・金は筋トレ、火・木は有酸素運動」のように分けるのも有効です。
どんな人にこの研究結果が役立つ?
① 瞬発力を伸ばしたいアスリート
スプリンター(短距離走)
格闘技選手(空手、ボクシング、MMA)
ジャンプ系スポーツ(バスケ、バレー)
ウェイトリフター(スナッチやクリーンを行う選手)
→ こうした競技では瞬発力が重要なので、有酸素運動と筋トレの間隔をしっかり空けるべき!
② 筋肥大・最大筋力を狙う人
「筋肥大を優先したい」
「ベンチプレスやスクワットの重量を上げたい」
→ 有酸素運動を取り入れても問題なし。むしろ、心肺機能向上やリカバリー促進のために有酸素運動を活用するのもアリ!
③ ダイエットや健康目的の人
「筋トレと有酸素運動、どっちもやりたい」
「脂肪燃焼しつつ筋肉もキープしたい」
→ 有酸素運動と筋トレを組み合わせてもOK。ただし、瞬発力を高めたい場合は注意!
まとめ
・「有酸素運動は筋トレに悪影響を与える」は半分ウソだった!
・ 筋肥大・最大筋力には影響なし
・ 瞬発力を伸ばしたいなら、有酸素運動と筋トレの間隔を3時間以上空けるべし
この研究は、筋トレと有酸素運動の組み合わせに関する「常識」をアップデートしてくれるものです。
特に、パワー系アスリートや格闘技選手は、今すぐトレーニングスケジュールを見直す価値アリ!
「有酸素運動をやるか、やらないか」ではなく、「いつやるか」がカギ だったということですね。
参考論文
Schumann M, Feuerbacher JF, Sünkeler M, Freitag N, Rønnestad BR, Doma K, Lundberg TR. Compatibility of Concurrent Aerobic and Strength Training for Skeletal Muscle Size and Function: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2022 Mar;52(3):601-612.