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【研究結果に反論!】ダイエット中のタンパク質・カルシウム・ビタミンD摂取量が重要!

最近、ダイエットや減量手術をする人が増えています。しかし、体重が減ると筋肉や骨まで減少してしまうことはご存じでしょうか?

今回紹介する最新の研究では、運動+栄養摂取(タンパク質・カルシウム・ビタミンD)が、体重減少中の筋肉量や骨密度の維持にどれくらい効果があるのかを調べました。

結論から言うと、一般的な栄養摂取量では筋肉や骨の減少は避けられないが、適切な栄養量を確保すれば違う結果になる可能性があります。

では、どれくらいの量を摂ればよいのか?詳しく見ていきましょう。


ダイエット中に何が起こる?

体重を減らすと、脂肪だけでなく、筋肉や骨まで減少することがわかっています。

実際に、ダイエットや減量手術を受けた人の約30%が「除脂肪体重(筋肉+骨)」を失うことが報告されています(Roth et al., 2022)。

この研究では、「運動+高タンパク質・カルシウム・ビタミンD」の組み合わせが、どれくらい筋肉や骨を守れるのかを調査しました。


どんな研究が行われたの?

この研究は、31のランダム化比較試験(RCT)を統合した系統的レビューとメタアナリシスです。

研究の内容

  • 対象者:21〜74歳の2,560人の肥満・過体重の成人(BMI 25.8〜56.8)

  • 介入

    1. 運動のみ

    2. 高タンパク質摂取(0.8g/kg以上)

    3. カルシウム+ビタミンD摂取

    4. 運動+高タンパク質+カルシウム+ビタミンD

    5. 対照群(何もしない)

  • 評価

    • 除脂肪体重(Fat-Free Mass, FFM)

    • 骨密度(Bone Mineral Density, BMD)


結果:タンパク質と運動は重要!

筋肉量の維持

  • 運動+高タンパク vs 高タンパクのみ
    運動を加えた方が、FFMの減少を防げる(SMD 0.45, 95% CI 0.04–0.86)

  • 運動+ビタミンD
    最も大きな効果(SMD 1.99, 95% CI 0.15–3.82)(ただし単一研究の結果)

骨密度の維持

  • 運動+高タンパク vs 運動のみ
    運動+高タンパクの方が骨密度低下を防ぐ(SMD 4.17, 95% CI 3.24–5.09)

  • 減量手術後の患者
    運動+高タンパク+カルシウム+ビタミンDが最も有効(SMD 5.16, 95% CI 4.60–5.71)


一般的な栄養摂取量では不十分?

この研究では、「高タンパク質摂取」と言いながら、実際の摂取量は 0.8g/kg体重 でした。しかし、筋肉量を維持・増加させるには1.6g/kg以上が必要とする研究が多くあります(Morton et al., 2018)。

また、カルシウムとビタミンDの摂取量も、減量時の推奨量に達していない可能性が高いです。

栄養素一般的な摂取量減量時に推奨される摂取量タンパク質0.8g/kg1.6〜2.2g/kgカルシウム1000mg1200〜1500mgビタミンD600〜800 IU3000〜5000 IU

この表を見ればわかるように、一般的な摂取量ではダイエット中の筋肉量・骨密度維持には不十分です。

つまり、この研究の結果は「一般的な栄養摂取量での結論」であり、「適切な量を摂れば違う結果になる」可能性が高いのです。


減量中に必要な栄養素を見極めよう!

ダイエット中の筋肉量維持には、1.6g/kg以上のタンパク質が必要
骨密度低下を防ぐためには、1200〜1500mgのカルシウムが必要
ビタミンDは3000〜5000 IUの摂取が理想

ダイエットを成功させるには、単にカロリーを減らすのではなく、「何をどれだけ食べるか」を見極めることが重要です。


「運動しているのに筋肉が減った」「骨密度が気になる」という方は、ぜひ栄養摂取量を見直してみましょう!


参考文献

Roth, A., Sattelmayer, M., Schorderet, C., Gafner, S., & Allet, L. (2022). Effects of exercise training and dietary supplement on fat-free mass and bone mass density during weight loss – a systematic review and meta-analysis. F1000Research, 11, 8. https://doi.org/10.12688/f1000research.75539.3

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