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運動で子供のメンタルは劇的に改善する?最新研究が示す効果とは

現代の子供たちは、勉強やスマホ、SNS、ゲームといったさまざまなストレス要因に囲まれています。
最近では、子供のメンタルヘルスの低下が社会問題として取り上げられることも増えています。

「気分が落ち込む」「やる気が出ない」「イライラしやすい」そんな子供の悩みを解決する方法として、運動が注目されています。

「運動が良いとは聞くけれど、本当にメンタルに効果があるの?」

そんな疑問に答えるため、最新の研究データを基に、どのくらいメンタルが改善するのか、具体的な数値をもとに解説します。


運動がメンタルに与える影響を調査した研究

今回紹介するのは、「Physical activity interventions for the promotion of mental health outcomes in at-risk children and adolescents: a systematic review」 というシステマティックレビューです。

この研究では、5,098名の子供・青少年(6〜21歳) を対象に、運動がメンタルヘルスに与える影響を調査しました。

運動の種類としては、以下のようなアクティビティが含まれています。

  • マルチスポーツ(ランニング、バスケットボール、サッカーなどの組み合わせ)

  • ヨガ

  • 有酸素運動・筋トレ

  • サーフィン

  • 武道(柔道、空手、カポエイラ)

  • サッカー

  • その他、ダンスやスイミングなどの全身運動

調査の結果、運動をしたグループの3人に2人(63%)がメンタルヘルスの改善を実感 していることが分かりました。

また、運動前後の変化を比較すると、5人に4人(83%)が改善を報告 しています。

さらに、運動の頻度や種類によって効果に差がある ことも判明しました。


「どのくらい改善するの?」研究データを数値で解説

① うつ・不安の軽減

  • うつ・不安症状が 10人中8人(78%) で改善

  • 症状が約30〜40%軽くなる(効果量 d = 0.38)

  • 週3回以上の運動を行うと、さらに効果が高まる

② 自己肯定感の向上

  • 自己肯定感や自尊心が 10人中6人(63%) で改善

  • 約20〜30%アップ(効果量 d = 0.25)

  • 運動の種類によっては自己肯定感が50%以上向上するケースも

③ 幸福感(ウェルビーイング)の向上

  • 全員が改善(100%)

  • 幸福感が20%以上向上

  • 楽しい運動や仲間と行うスポーツは特に効果が大きい

④ 攻撃性の低下

  • 攻撃性が10人中6人(60%)で減少

  • 約20%低下

  • 武道などの自己制御を学ぶスポーツは攻撃性の抑制に特に有効

このデータから分かるように、運動は特に「うつ・不安」や「幸福感」に対して強い効果を発揮します。



攻撃性の低下は、以前紹介した論文でも明らかですね。

どのくらい運動すれば効果があるのか?

研究では、メンタルヘルスを改善するために推奨される運動時間は以下の通りです。

  • 週に3〜5回、1回あたり20〜120分の運動

  • 中央値は60分のセッションを週に2〜3回実施

  • 合計週10〜180時間の運動(研究による差あり、中央値は29.5時間)

  • 有酸素運動、筋力トレーニング、ヨガ、武道が有効

  • 特に30時間以上の運動を行うと、メンタルヘルスの改善効果が高い

  • 軽いストレッチやウォーキングでも効果があるが、心拍数が上がる運動のほうが効果的

運動の継続がカギであり、一度に長時間行うよりも、定期的な運動習慣をつけること が重要です。

ただし、高強度のトレーニングは行わなくて良いと思っています。
海外の研究では、高強度のトレーニングを支持することも多いのですが、運動を続けるためには”楽しい”ことも重要です。



結論:運動は子供〜青年のメンタルヘルス改善に効果絶大!

  • 運動をすると、10人中6〜8人の子供はメンタルが良くなり、うつ・不安が30〜40%軽くなる

  • 幸福感が20%以上上がるので、運動を習慣にするとポジティブな気持ちになれる

  • 週3〜5回の運動を続けることで、より長期的なメンタルの安定が期待できる

運動は手軽に始められるメンタルヘルス改善法のひとつです。

特に気分が落ち込んでいる子供こそ、少し体を動かしてみると驚くほど気分が変わるかもしれません。

運動をすることで、子供たちがより健康的で充実した日々を送れるようになることを願っています。

参考論文

Simpson A, Teague S, Kramer B, Lin A, Thornton AL, Budden T, Furzer B, Jeftic I, Dimmock J, Rosenberg M, Jackson B. Physical activity interventions for the promotion of mental health outcomes in at-risk children and adolescents: a systematic review. Health Psychol Rev. 2024 Dec;18(4):899-933. doi: 10.1080/17437199.2024.2391787. Epub 2024 Aug 20. PMID: 39162060.

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