見出し画像

【行政⑪】<行政計画と行政契約>

◆行政計画

行政が行う計画を行政計画という。たいして覚えることはないが、以下だけ抑える。

★行政計画についても国民の行為を規制する効果を持つ場合には、法律の根拠が必要である。(侵害留保)

★取消訴訟を提起するためには、処分性が必要だが、行政計画にも処分性があるという判例が近年は目立つ。(従来的には処分性が認められなかった)

★行政計画が途中で変更・中止された場合、元の計画を遵守する責任または代償措置を採る必要がある。これを計画担保責任という。


◆行政契約

行政主体が行政目的を達成するために国民と対等な立場で締結する契約のこと。

行政主体がよく行政契約を利用するのが、準備行政と給付行政である。

準備行政・・・行政を遂行するための物品の購入や整備など。

給付行政・・・国民の権利利益にとって有利になる行政作用。

◆侵害行政

国民の権利義務を侵害する侵害行政では、従来は行政契約は認められないとされた来た。しかし、近年では公害防止協定や開発負担金・教育負担金など私人の寄付を要請する契約なども散見される。

※重要判例(公害防止協定の違法性)

町とその区域内に産業廃棄物処理施設を設置している産業廃棄物処分業者とが締結した公害防止協定における,上記施設の使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは,これらの定めにより,廃棄物処理法に基づき上記業者が受けた知事の許可が効力を有する期間内にその事業又は施設が廃止されることがあったとしても,同法の趣旨に反しない。

最高裁判例要旨

【重要な補足】

❶行政契約は、その内容が国民に義務を課したり権利を制限するものであっても、当事者の意思の合致により成立するので法律の根拠は不要である。

❷行政契約は、行政作用の一種であるため、信義則の原則、比例原則、平等原則などの一般原則が適用される。

❸行政契約については、基本的に民法の契約に関する規定が適用される。

※重要判例(双方代理の禁止と議会の追認)

1 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には,民法108条が類推適用される。
2 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理し又は代表して契約を締結した場合において,議会が長による上記行為を追認したときは,民法116条の類推適用により,当該普通地方公共団体に法律効果が帰属する。

最高裁判例要旨

第108条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

民法

第116条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

民法


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集