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【行政法①】<行政法総論_一般原則>のまとめ

行政法総論とは、行政法における共通ルールのこと。

ここではその中でも原理原則についてまとめた。

行政書士試験では、ほとんどが判例からの出題である。

原理・原則(法律との関係)

行政活動は、国民の生活に直結するものであるから、国民の代表(国会)が作った法律をもとに行われなければならない。これを「法律による行政の原理」という。そしてそれは具体的に、以下3つに分解される。

①法律の法規創造力の原則

→法律によってのみ人の権利義務を左右する法規を創造できる。

※「法規」って何?というと・・・
法律や法規のうち、国民の権利や義務に関わるものを表す抽象的な言葉
です。

そういうわけで、上記原則を意訳するとこうなる。
国民の権利義務に関するルールは法律のみが定めることができ、行政機関は、法律の授権なく法規を作れない

②法律の優位の原則

→法律の内容と行政活動が抵触する場合、法律の方が有効であり、行政活動は無効になるという原則。

③法律の留保の原則

→行政活動には、法律の裏付け(根拠)が必要だという原則。

※「侵害留保説」
法律の留保は、特に国民の権利義務に関する”侵害的な行為”について法律の根拠が必要だという解釈が通説。全部の行政活動に当てはまるわけではない。

※重要判例(ヨット杭撤去)
→町長が緊急の事態にやむをえずヨットの鉄杭を撤去した。これに法律の根拠はなかった。ただし、これは違法ではない。

はい、以上が「法律との関係における原則」ということです。次行きます。原則はほかにもまだまだあります。


原理・原則(その他)

①信義誠実の原則

→国や地方公共団体は、国民の信頼を裏切らないように誠実に行動すべきという原則

重要判例(宜野座村工場誘致)
→沖縄県宜野座村の工場誘致政策が変更され、工場の建設・操業ができなくなった誘致相手先企業が、損害賠償の民事訴訟を起こした。結果は、請求認容

論点は、
①たとえ、継続的な計画を出していたとしても、地方公共団体は、社会情勢等によって施策を変更することはありうる。(当初の計画に拘束されない)

②しかし、上記により、社会通念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合は、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び不法行為的責任が生ずる。

※重要判例(租税関係_青色申告)
→酒屋が税務署長の承認なしで青色申告を行い、更正処分(税額を変更する処分)を受けたため、処分取消訴訟をおこした。結果は請求棄却。

論点は、課税処分に、信義則は適用されるのか。
結論は、

租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合

最高裁判例要旨

だけである。つまり、今回の場合は、その「特別な事情」にはあたらないというわけ。


※重要判例(契約と信義誠実の原則)
→信義誠実の原則は、単に権利の行使、義務の履行についてのみならず、契約の趣旨の解釈についてもその基準となる。


※重要判例(公務員の有罪と解雇)
→大昔に犯罪を犯して25年も公務員を続けてきた者がいる。事情がバレて、いきなり首を言い渡された。これはアリなのか?
結論は以下の通りだが、反対意見がある。 これは熱い。

◆結論
郵政事務官として採用された者が,禁錮以上の刑に処せられたという失職事由が発生した後も約26年11か月にわたり勤務を継続した場合に,国(旧日本郵政公社,郵便事業株式会社が逐次その地位を承継)において上記の者が国家公務員法76条,38条2号に基づき失職した旨を主張することは,上記の者が上記失職事由の発生を隠して事実上勤務を継続し給与の支給を受け続けていたにすぎないという事情の下では,信義則に反し権利の濫用に当たるということはできない。

最高裁判例要旨

◆反対意見
→上告人が欠格条項に該当し なくなってから約25年も郵政事務官として勤務を継続したという事実は,上告人の公務に対する国民の信頼を回復するに十分なものであり,上告人を公務の執行か ら排除すべき必要性は消失している。一方,上告人は,本件有罪判決を当局に申告 しなかったことで責められる点があったとしても,刑の言渡しの失効後も四半世紀 にわたり郵政事務官として無事勤務を続けたことにより,60歳の定年まで勤務す ることができるものと期待したとしても,無理からぬものがあるというべく,一般 に転職の困難な50歳に達した段階で,退職手当の支給もなく,上告人から郵政事 務官の身分を奪うことは,上告人の上記期待を裏切り,職業の保持,生計の維持, 法律生活の安定の面で過大な不利益を課するものである。

最高裁判例

※重要判例(課税の取り扱い変更)
→納税者が平成11年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したことにつき国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例。

当時、ストックオプションは一時所得枠から給与所得枠に変更されていたのであるが、課税庁はそれを通知の発出などという形で周知させていなかった。それを怠っておいて、一時所得として申告してきた納税者に「いやいや、給与所得だから、税金上げるね」というのは、おかしいだろ。信義則守れや、という判決。


では、次の原則へ。

②権利濫用禁止の原則

→行政権(行政活動をする権限)の行使が正当な範囲を逸脱する場合、権利の濫用にあたりその効果は認められない。

※重要判例(個室付浴場の妨害)
→個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的としてされた知事の児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものとして国家賠償法一条一項にいう公権力の違法な行使にあたるとされた事例


③比例原則

→行政目的を達成するための必要最小限度を超えた制約を課すをこは許されないとする原則。

④平等原則

→国や地方公共団体が行政活動をするにあたり、国民を合理的な理由なく差別することを禁止する原則

⑤説明責任の原則

→国や地方公共団体には、自らの活動を各種の手段を通じて国民に説明する責任があるとする原則。


一般原則は以上です。

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