#1 中堅派遣社員、スキルを武器に転職活動する。
技術派遣で働く私のボーナスの明細を見て妻が言った一言。
『え、ボーナス少なすぎない?』
某転職サイトの『私の年収低すぎ』の広告みたいなノリだった。
妻に悪気はないのは分かっているので、全く腹は立たなかった。
嘘です。ちょっとだけムッときた。
ボーナスは手取りで約40万円。
私は少ないとは全然思っていなかった。
むしろ多いんじゃないか、ぐらいまで思っていた。
なぜなら以前に勤めていた漆黒のブラック企業のボーナスの倍あったからだ。
すごい!と言われると思っていたので、ちょっとがっかりした。
*ちなみに当時は30才の技術派遣で年収は400万円くらい。調べたら平均年収と同じぐらいだった。
そもそも妻は何と比べて少ないと言っているのか?
多分妻の兄だ。妻の兄は私と同じように理系の大学院卒で、大手企業で正社員で働いている。
私よりずっと年収が多い。
『いやまあそうかもしれないけど、生活して行く分には十分じゃないかな?』
『でもこれから子供が出来たりしたらお金は絶対かかってくるよね?給料は増えていくの?』
・・・知らなかった。
普通に暮らす分には十分な給料で貯金もできていたので、正直お金にあまり興味がなかった。
私にとっての普通とは
衣:平日は作業服で通勤、休日用に2,3着あればいい。
食:何を食べても美味しい。醤油かけたら何でも美味しい。
住:家とか要らない、借り上げ社宅で満足。
という物欲少なめ、ナチュラルボーンなミニマリストゆえ、生活にお金は掛からなかった。ちなみに妻も私ほどではないけど、そんな感じ。
派遣先は大手の自動車メーカーで同世代の社員が家を建てたり、外車買ったりしているのを見て、自分の給与は低いのは何となく分かっていた。
分かっていはいたが技術派遣は仕事のストレスがなく、日曜の夜も憂鬱にならない。
サザエさんを見ても楽しめる。
私にとって家より、外車より、お金より日曜の夜に憂鬱にならない職場環境が大事だった。
一方、派遣先の社員は大変そうだった。いつも会議中か会議に向かっている管理職。その管理職に資料の些細な部分を指摘され、修正した箇所を再度修正するというエンドレス修正を命じられる同世代の社員。
そんな忙しそうでストレスフルな社員を横目に、技術派遣の私は比較的ぬくぬくと仕事をしていた。
派遣社員の給料は安いかもしれないが、割に合っている。
また、自分が仕事をすることで忙しい周りの負担が軽くなって感謝されたり、仕事を任してもらえることも多く、やりがいも感じていた。
正直、同じ給料のままで良いのでこのままずっと働きたいとさえ思っていた。
思ってはいたが、確かに妻の言うことも一理ある。今後お金がかかっていくことが予想される。子供が出来たら教育費が必要になる他、老後は2000万円必要らしい。
『う~ん。分かんないから派遣会社の人に聞いてみるよ』
妻は多分転職して欲しかったんだと思う。でも年収が上がれば、別に転職しなくてもいいわけで。
技術派遣として働いているので、年功序列ではなくスキルが身に付けば給料が上がるものだと思っていました。
数年間働く中で業務中にふらりと派遣会社の営業が来て『来月から給料1000円上げとくから』と謎の昇給が何回かあった。
深く考えていなかったけど、きっとあれはそう、スキルが評価されていたのだ。
派遣会社の人に聞いてみたらきっと、こういうスキルとか実績とかあれば、給料上げられますよ、みたいなアドバイスが貰えるはず。
でも実際は…