第8話 「遅れてきたビギナーズラック」
18時半 所沢駅
雨が降っている
駅に向かう人々
それに逆らうように進む
目的地はない
声をかける、そこに人がいるかぎり
今日は一人だ
2日連続で助っ人の方とやってわかったこと
それは声をかける直前が一番怖いということだ
こんばんわの こ を言う時が一番怖い
バンジージャンプみたいなものだ(やったことない)
おそらく、地面から足を離す瞬間が一番怖いんだと思う
むしろ飛んで仕舞えば、あとは楽しいとすら思えるかもしれない
飛ぶ前の頭の中で行われる、色々な妄想や考えが、恐怖を増幅させてしまっている
つまり、怖いのは最初だけ
でも、怖いのは怖い
怖いのは嫌なので、帰りたい
帰りたい!
帰らせてくれ!!
帰りたいの原動力
雨が降ってるので、中で行っていく
今回も待ち合わせの人のみで行く
しかし、なぜ一人だとこうも身体が重いのだろう
意味もなく、駅をぐるぐる回る
ひとり、改札前でスマホみて待ち合わせしてる人を発見
行くか…
「こんばんわ」
👩「わっ」びっくりして後退りする
「あのタイプだっ…」
👩「いや、あの、あ、ごめんなさい」
(逃げるように立ち去る)
「…」
警戒心を解こうとする前に逃げられてしまった
初手からかなりメンタルに負荷がかかる
まぁ、怖いよね!驚かせてごめんね!
とにかく間をあけてはいけない、すぐに、コンビニの近くでスマホをいじってる人に声をかける
「こんばんは」
👩「…」黙ってスマホ直視
「待ち合わせ?」
👩「…」
👩(黙って立ち去る)
「あっ」
完全に聞く気がなかった、というか顔も見てなかった
おそらく今まで何百回と声かけられてるんだろうな
👩(またナンパか…)
と、思っていたに違いない
かえりたい!
折り返し地点
3人目
もはや誰がいけるとかわからない
少し年上そうな人もいってみるか
なんか、案外暖かく受け入れてくれるかもしれない
27-29くらい スマホみて壁に寄りかかっている
「こんばんは」
👩「…」
「すごくタイプだったんで声かけました」
👩「あ、結構ですー」
👩(距離を取る)
「あー…はーい」
もうちょっと優しく対応してもらえるとありがたいんだけどな〜
あと二人!
反応こそ冷たいものの、ソロで3人声かけられていること自体は、成長を感じた
あと二人、あと二人で帰れる!
とにかく帰りたい気持ちもあった
ドトールの前で待ち合わせしてる人
周りに人も居ない
あの人に行こう
「こんばんは」
👩「はい」
「タイプだったんで声かけました」
👩「あ、ありがとうございます笑」
「何食べたらそんなに可愛くなるんですか?」
👩「いや、そんな笑」
「面白くなかったら即ブロックしてもいいんで、連絡先交換しませんか」
👩「連絡先は、、ちょっと、、」
ダメかー
今までで一番良さそうな感じだったのに
「でも、つまんなかったらブロックしていいって僕が言ってるんですよ、面白かったら続ければいいし!」
👩「いやぁ、大丈夫です、」
「じゃあまた5年後に声かけます〜」
もうちょい雑談挟むべきだったか、というのはある
結局、早々打診してしまってはいる
沈黙が怖いってのもあるんだろうなあ
何も言わない時間よりは打診した方が良いと思ってしまう
ラスト一人
最後の一人
駅の中に待ち合わせの人はあまりいない
外に行こう
しばらく屋根のあるところを歩く
人は少ない
ちょうど送迎レーンみたいなところに人がいる
周りにも人はいない
急に彼氏らしき人が
危なかった
あと一人で終わりの時に限って、見つからない
何周か回って、もう一度送迎レーンへ
20代、待ち合わせ、一人
行くしかない!
「こんばんわ」
👩「あ、こんばんは」
「待ち合わせですか?」
👩「はい」
「タイプだったんで声かけました!」
👩「あ、はい笑」
「服装とかも可愛いですね」
👩「笑」
反応は悪くない、気はする
うーん、、打診するか!(話すことが思いつかない)
「もしないなと思ったらブロックしてくれていいんで」
「連絡先交換しませんか?」
👩「あ、インスタで良ければ…」
神は降臨した
遅れてきたビギナーズラック
「あ、いいですよ」
驚きながらも、インスタのQRを出す
読み取り、相手のアカウントが出てくる
その時ちょうど送迎レーンに車が
「また、連絡します」
👩「うなづく」
みんな元気?
いやーみんな調子どう?俺?さっき会ったばかり子と連絡先交換したわ?え、普通だけど?そんな凄い?これ
などと、調子に乗るのを期待していたみんな、残念ながら今の俺は驚くほど冷静だ
なんせ、たまたま感が凄かったからである
実力勝ち取ったというか、タイミング良かったって感じ?
いや、調子乗ってないですよ、こんな時も冷静な俺?とか思ってない
あ、でも今からさっき連絡先交換した子にメッセージ送らなきゃいけないんで、
今日のnoteはこの辺で終了します
さぁ明日から忙しくなるぞ〜