質問138:できるだけポーカーフェイスで、集中だけを意識して頑張りたい
回答
▶「勝手にやる体」に任せる
怪我したところがあったら、勝手に白血球を増やして修復するように、寒ければ身震いして体温を上げるように、暑ければ汗をかいて体温を下げるように、テニスも、体が勝手に調整してくれます。
インパクトにおけるラケット面の角度など、ほんの数度狂ったらミスに直結します。
その角度を、インパクトでちょうど地面に対して90度にする、そんなこと、「頭」で考えてできるものではありません。
だけど「体」に任せれば、体は勝手に、ドンピシャの角度を作ってくれる(打球タイミングを合わせてくれる)のです。
これは感覚的なもので、手首の角度をどうするとか、手のひらとラケット面の向きを一致させるとか、理屈、理論ではどうにもならないことなのです。
▶「なぜだか分からないけど上手くいく」が正解
おっしゃるとおりハーフボレーなどは、瞬間的なショットになるぶん、意識することがなくなるので「なぜだか分からないけど上手くいく」といって、案外得意なプレーヤーが多かったりします。
瞬間的だから頭は「難しそう」と考えるのですけれども、体は頭が打ち方について考えないぶん、簡単にやってのけます。
逆にサーブやスマッシュなどといった、たっぷり考える時間があるショットほど苦手意識を持つプレーヤーが少なくないのは、思考による介入が体を邪魔している影響が疑われるというわけです。
フォアハンドストロークでもリターンでも、ゆっくり飛んできたボールほど「ふかす」のです。
そして「うわっ!」と反応して、集中力を損ないます。
ちなみにそのハーフボレーですら、ちゃんと練習しようと思って、「ひざを深く曲げる」「腰をしっかり落とす」「打点は踏み込み足よりも前にする」など意識し出したら、やっぱり上手くいかなくなるからおもしろいものです。
▶「心を奪われる」のは難しくない
さてご質問につきまして、「心を無にする」のは、慣れるまでは、確かに簡単ではないかもしれません。
だけど動くボールに「心を奪われる」ことは、それほど難しくないのです(奪われると、結果的に無に近づきます)。
「動くボール」とわざわざ断り書きしているのは、動かないゴルフのようなボールは、心を奪われにくいため、メンタル的には難易度の上がるスポーツになるということをお伝えしたいためです。
無心で川の「写真」を見続けるのはシンドイですが、川の「流れ」を見続けるのは、さほど大変ではありません。
心を奪われれば、無心に近づきます。
▶「動きの大きな対象」に注意が逸れがち
テニスとゴルフで、動きの有無について比較検討しました。
動いているボールには集中しやすいということは、裏を返して言えば、私たちの注意は大きな動きがあるほうへつい、逸れてしまいがちです。
たとえば急に相手前衛にポーチに出られたら、動きの大きなそちらへつい、気がいってしまい、ボールからは集中が逸れがちですよね。
もちろんボールも動いてはいるのですが、相手前衛が飛び出してくるような大きかったり急だったりする動きに、つい反応してしまいがちです。
そのような時にも、しっかりボールに集中できていることが肝心です。
また「集中感覚」というのはどの競技も共通ですから、ゴルフのような止まっている対象のボールにも、もちろん、慣れたら集中できるようになります。
こうやってテニスが上手けりゃ、野球はエース、サッカーではストライカー、ゴルフも達者なスポーツ万能が生まれます。
▶「自然上達」が起こるとき
ですからテニスで無心になることはさほど難しくはなく(大抵の人が、何度かは経験済みのはず)、ご質問にお答えすると、「ボールに集中する以外は心構えとして何も持たなくていい」というのは、まさにそのとおりです。
なぜなら、集中力が高まると、技術を習得するのも、習得した技術を使うのも、非常に能率よくなりますし、さまざまな気づき、ひらめき、発想も得られるからです。
ですから外側から何か身につける必要すらなくなり、自分でどうすればいいか内側から引き出されるというのが、『インナーゲーム』シリーズの説く「自然上達」でしょう。
▶ボールをコントロールするのは「場所」ではなく「時間」
ボールの手前側を3分割してコースを狙うという練習を、私は試したことがありません。
それはボールのどこを打つかという場所を規定しているわけですけれども、ボールをコントロールするのはいつも申し上げているとおり時間である「打時」です。
また試合でやろうとすると、実戦ではいろんなボール(スピード、方向、回転量、バウンド具合、当たり損ね等)が飛んでくるため、意識してやろうとするとミスが増えると思います。
とはいえ試してみて上手くいくようであれば、体験しておくのは効果的かもしれません。
練習でそのような体験がなされているのであれば、イメージは潜在意識に残るので、試合でも集中していれば、先述したとおり意識しなくても「体が勝手に」打ち分けてくれるようになります。
ただし、頭の中で考え事をしていると、「体験」したことにはならない点には要注意。
それは、頭の中で何かを考えながら、ボールの回転を見る「体験」はできないと、いつも申し上げているとおりです。
▶タイミングを合わせる「唯一の方法」
タイミングに関しても、おっしゃるとおりです。
タイミングを外したからといって「次はもう少し早く」「次はもう少し遅く」と、頭で修正しようとしては上手くいきません。
それはセルフトークです。
「考える」ことになるから、それでは余計にタイミングを外します。
ですから結局は、「ボールに集中する以外は心構えとして何も持たなくていい」というのは、まさにそのとおりです。
ボールに集中することでしか、タイミングは合わせられません。
▶「努力逆転の法則」は脳科学
打球タイミングを合わせようとして、「次はもう少し早く」「次はもう少し遅く」などと努力すると、「努力逆転の法則」で逆に合わなくなるのです。
それは「法則」である以上、「例外はない」と断言されています。
ちなみにこの法則は、本当によくできた法則で、「たまにはそういうこともあるよね」レベルの話ではなくて、意識して努力すればするほど、「すべて」逆の結果が出るところがユニーク。
先のハーフボレーでも、努力しなければ簡単に打てたのに、「ひざを深く曲げる」「腰をしっかり落とす」「打点は踏み込み足よりも前にする」など意識し出したら、やっぱり上手くいかなくなるからおもしろかったのですね。
スピリチュアルを否定するつもりはありませんけれども、「努力逆転の法則」はスピリチュアルではなくて、「脳科学」です。
ですから恋もお金も追えば逃げるから、「頑張ってはいけない」のです。
▶インパクトだけ合わせようとしても「合わない」
打球タイミングは打つ瞬間のインパクトだけ合わせようとしても、合いません。
相手が打った瞬間から、もっといえば自分が打った直後から、つまりインプレー中はずっと集中してボールを追視し続けることで合うようになってきます。
自分が打った直後から追っても、相手が打ち返すとスピードが変わるから意味がないと思われるかもしれませんけれども、できるだけ長い時間をかけてボールの存在を認識し続けると、ボールとの同調が叶い、上手くタイミングを合わせられるようになります。
もとい。
サーバーがボールを打ち始めた瞬間がインプレーの開始だとしたら、たとえばその前のボールバウンシングから、サーバーもレシーバーも、ダブルスなら前衛も、みんながサーバーの手元にあるボールに集中します。
▶追伸・身も心も「ポーカーフェイス」するには?
ポーカーフェイスも意識したら、見かけ(フォーム)だけのポーカーフェイスで、心はポーカーフェイスではありませんのでご注意ください。
ボールに集中したら、体は勝手に身も心もポーカーフェイスします。
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