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質問1553:狙いはボールが自分の方に向かい始めてから決めた方がよい?

回答ありがとうございます。
狙う位置は練習ならもっとターゲットを小さく狙うべきなのは理解出来ます。
 
でも試合でターゲットを小さくして打つといい感じで打てても少しだけアウトが増えます。練習でコントロールが良くなったと実感できれば的を小さくして行けばよろしいですか?
 
ラリー中はなんとなく狙うところが浮かびます。
リターンは狙うところを決めてから打ちますが、ボールが自分の方に向かい始めてから決めた方がよろしいですか?

回答


▶無意識的に狙っている


私たちは、狙うことを意識しなくても、狙っています。
 
なぜなら誰しも、ボールが飛んできたら意識しなくても必ず、前方の相手コートへ向かって(狙って)打ち返しますよね。
 
まさか、サイドフェンスやバックフェンス側へ向かって打つ稀有なプレーヤーはいません。
 
ですからエリアの広さに差こそあれ、意識しなくても必ず狙っています
 
ただし狙うイメージがまだないテニスを今日始めたばかりの子どもは、とにかくボールに当てようとして、前後左右上下斜めにラケットをパタパタと羽ばたかせます。
 

▶「狙うイメージ」があれば狙える

 
たとえば2人対1人で打ち合うストローク練習で、1人側に入ったとき、相手の2人へ交互に打ち分けるコントロールは、それほど難しくないですよね。
 
これは実質的には、クロスと逆クロスへ交互に狙っているといえます。

すでに狙うイメージがあるから、いちいち意識しなくても比較的簡単に打ち分けられます。
 
なので狙うコントロール力はすでに持っているのだけれど、試合やリターンでは相手のボールがどこに飛んできて、相手がどう動くかが不確実だから、難しくなります。
 

▶無意識的な「ひらめき」に任せる

 
試合でもリターンでも、無意識的なひらめきに任せてみてはいかがでしょうか。
 
ただし毎回ひらめくとは限らないという話はすでにお伝えしました。
 
また前回お伝えした「直感の7割は正しい」ということは、単純計算すると3割は外れます。
 
でも、テニスは確率のスポーツですから、それでいいと思います
 
お伝えしたとおり、テニスと完璧主義は相容れません。
 
ですから狙って打っても、平気でアウトもしますよね。
 
狙うことを意識すると、せっかく「ミスヒットは確実に減っている」とお伝えいただいたのに、毛が見えなくなるから、ミスもします。
 
練習では的を使って狙いますけれども、そちらは見ずにノールックで、毛だけ見て打ちます。

「試合でターゲットを小さくして打つといい感じで打てても少しだけアウトが増えます」と仰せなのは、意識して狙っているからではないでしょうか?
 

▶宣言練習で「ひらめく」ようになる

 
的当てはコントロール練習として行なう一方、狙う練習は「宣言練習」を試されるとよいと思います。
 
たとえばクロスに「1」、センターに「2」、ストレートに「3」の的を置き、球出しされてから「イチ!」などと宣言したのちに打ち返すようにします
 
慣れてきたらショートクロスに「4」、ドロップショットに「5」などを加えると、狙うバリエーションが広がります。
 
球出しはフォア側、バック側へと、あるいは前後にも、ランダムに出してもらうとよいでしょう。
 
まだ慣れておらずコースを狙えないプレーヤーは、打ったあとに宣言したりする遅れが見て取れる傾向
 
ただし球が出る前にあらかじめコースを決めてしまうと、ひらめかせる練習ではなくなり、ただの球出し練習になるのでご注意ください。

▶なぜひらめくのかは、分からない


なぜひらめくのかは、分かりません。
 
むしろ潜在意識の働きを活性化させる最大のポイントは「分からない」のが正解
 
もっと言うと、分かってしまうとそれは(顕在)意識的ですから、テニスのプレーは上手くいかなくなるでしょう。
 
こちらでは、テニスの上手なプロ級の方に聞いてみたところ、「どうやって打っているのか自分でもよくわからない」と答えたエピソードが報告されています。
 
まさにそのとおりで、こちらで述べているとおり、正確な空間認知が実装されれば「狙う」必要すらないのです。
 
それでも1行目で述べたとおり、とても稀有なプレーヤーでもない限り、「私たちは、狙うことを意識しなくても、狙っています」

▶「実用的」なターゲット

 
「ラリー中はなんとなく狙うところが浮かぶ」というのは、ひらめきの卵です。
 
さて(練習ではなく)試合でターゲットを小さく絞り込むかどうか?
 
ライン際やコーナーぎりぎりを狙うのは、どのプレーヤーにとってもハイリスクです。
 
そのときの調子や、対戦相手との力量差、得点差にもよるでしょうけれども、相手コートの枠内全体をターゲットとすれば、多少アバウトに打ってもコートに入るという考え方も「実用的だと思います。
 
テニスで勝つための原理原則は極めてシンプルで、1球でも多く相手コートへボールを返すことができれば勝つスポーツです(関連記事「テニスで勝つための『原理原則』は?」)。
 
もちろん絶好調でオンラインを狙えれば、それは理想的です。
 
それができるように的当ての練習をします。
 
相手コートの枠内にすらまったく入らないときも、コーナーぎりぎりを狙えたときも、どちらもご経験があると思います。

▶テニスは「オープンスキル」だから

 
リターンは、狙うところをあらかじめ決めてから打つか、ボールが自分のほうに向かい始めてから決めるか?
 
どうしてもほしい「ここぞ」というシチュエーションでは、ギャンブル的にあらかじめ狙っていくのもありかもしれません
 
ただし、予測してうっかり「早く・速く動きすぎる問題」にならないように注意します。
 
また相手サーバーのプレースタイルや特徴、癖などにもよるでしょう。
 
サーブアンドボレーに出てくるかもしれないし、ステイバックかもしれません。
 
テニスはオープンスキル系の競技ですから、自分だけでは決めつけられないのです。
 
またフォアに来たら、バックに来たら、ボディに来たら、という選択も想定されます。
 
考えすぎるとボールに集中できません。

▶マイケル・チャンのひらめき


マイケル・チャンではありませんが、ここぞというポイントで「いきなりアンダーサーブ」を仕掛けてくる対戦相手も、絶対にいないとは言い切れません。

https://www.youtube.com/watch?v=4kSMYXPRing
 
むしろプロの世界では増加予想されると言います

記事によるとチャンは次のように顧みます。

あらかじめ計画していたものではなかったといい、「ほんの1~2秒で思いついたことだった」

AFPBB News

これも「ひらめき」だったのではないでしょうか?

▶「完璧主義」にご用心

 
基本的にはやはり、ひらめきに任せることになると思います。

そうすると、「狙いたくなる感覚」も出てくると思います。
 
ただし繰り返しになりますが、必ず毎回ひらめくとも限りません。
 
私もこのようにご回答する際、どのような文章がひらめくか分かりませんし、上手くひらめかないこともあります
 
それでストレスを溜めてしまいませんように。
 
完璧主義にはご用心です。
 
それでも「できるだけ」ひらめくように、練習します

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero