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質問136:ライバルの存在を意識していては「ゾーン」に入れないし、上達も望めないという事?

テニス上達メモ『ずばり、「ゾーンに入るには!?」』を大変興味深く拝見しました。
いつもながら、納得させられる事ばかりです。
ただ、テニスに限らずスポーツをする人って結構な負けず嫌いではないでしょうか?
そしてひとりやふたり絶対に負けたくないライバルが居るはず。
そいうい人の存在を意識していては「ゾーン」に入れないし、上達も望めないという事ですか?
私の場合フォームを気にする事よりも、コーチや仲間(ライバル含む)の目を気にしてボールに集中出来ない事が多いと気が付きました。
そして、純粋にプレーに集中するって簡単なようでとっても難しい。
(※以下略)

回答
※当該メモは後日掲載予定です。


▶イメージは現実化する


●●さんに絶対負けたくないライバルがいたとして、●●さんの練習をコートサイドでジーッと見ているとしたら、どんな感じがするでしょうか?
 
何だか、やりにくさを感じないですか(笑)。
 
たとえ実際にはコートサイドにその人がいなくても、ライバルを意識することによって脳内では、同じような刺激が生じていると言えます。
 
脳は、イメージどおりの現実を実現しますから(梅干しをイメージするとよだれが出るように)、ライバルを意識するだけで、そのようなプレッシャーを感じ続けることになります。
 

▶ライバルを想定してライバルを「意識しない練習」


もちろんレベルが上がってきたら、そういうプレッシャーをかけてあえて心理的負荷を高め、それでもなお集中できるようにするトレーニングもしますが、その目的は何かというとやはり、「ライバルを意識せずボールの回転に集中できるようになる」ことです。
 
なので、ライバルは意識しません。
 
とはいえもちろん、ライバルを想定した対策を講じる必要もありますよ。
 
こちらの『テニス上達メモ』で述べている「ときには『コンフォートゾーン』から外れるテニス(人生)。するともっとコンフォート!」です。 

▶「策士策に溺れる」


くだんの『テニス上達メモ』が、「ときには」と但し書きするのは、やはり「いつも」アンコンフォートだと、今の自分にとってはストレスだから。
 
対策を講じれば講じるほど、今現在の「自分らしいテニス」はできにくくなります。
 
対戦相手に合わせるのですから、自分のプレーは完全な自由ではなくなる
 
「策士策に溺れる」の教えのとおりです。
 

▶対策にこだわると「伸び悩む」

 
もちろん「勝つため」だけなら、対策でどうにかなることが多々あるのも事実です。
 
対策を練習しているうちに新たなスキルが身につく可能性もあるというのが、「ときには『コンフォートゾーン』から外れるテニス(人生)」ですからね。
 
たとえばフットワークに弱点がありそうなプレーヤー対策なら、前後に揺さぶる練習を通じて、ドロップショットやトップスピンロブの精度向上も叶うでしょう。
 
とはいえ対策というのは、ある特定のライバル限定に行なう対処療法ですから、伸び悩んでいるプレーヤーにとっては根本的な解決にはなりません。
 
伸び悩みを解消して今以上に「上達の2軸」を達成するなら、無心になり、ゾーンに入るのが最適です。

ゾーンは、ライバルのみならず、「自分の存在感覚」すらなくなる世界。
 
無心に入る手続きが「一心」の通過であり、そのための具体的な方法が、「ボールの回転に集中です。


▶テニスの勝敗は「じゃんけん」


常識的なテニス指導では、相手のプレースタイルをよく分析して、考えながらプレーすることが大事だと教え込まれます。
 
ですから結果が出ません。
 
誤解を恐れずに言えば、テニスは技術レベルが同程度なら、勝敗は「じゃんけん」のようなもの
 
いくら分析し、頭で考えても、「勝てる方法」は分かりません。
 
実際にやってみれば分かりますが、「パーが来たから次はチョキだろう」などという予測には、確率的に何の根拠も、勝率を上げる何の効果も、ないのです。
 
ここでは詳しく述べませんけれども、戦術はちょっと複雑な「あっち向いてほい」です。
 

▶じゃんけんで「必ず勝つ方法」

 
いくら分析し、頭で考えても、「勝てる方法」は分かりません。
 
だけど、じゃんけんで必ず勝つ方法があるのを、ご存知ですか?
 
それは、「後出し」です。
 
これが「テニスで勝つ可能性を高める方法」です。
 
相手の手を「よく見て」、出された瞬間にこちらが勝つ手を出します。
 
その「後出し」の精度を(0.01秒後など)ひたすら上げれば、必ず勝ちますよね。
 
そのためには何が必要かというと、予測でもフォームでも頑張りでもライバルの存在でもなく、「集中力」です。
 

▶テニスは「いかに上手く後出しするか」


もちろんじゃんけんで後出しは反則ですが(笑)、テニスの試合はそうではないのです。
 
むしろ、相手の手(ボール)をしっかりと見て、打たれたあとに、いかに上手く後出し(反応)して対応するかのスポーツです。
 
ここでは詳しく触れませんけれども、多くのプレーヤーが焦るあまり、あえて「先出し」するから、当然のごとく劣勢を強いられます
 

▶「勝ち嫌い」「負け好き」はいない

 
「勝ち嫌い」「負け好き」という風変わりな人はあまりいませんから、「負けず嫌い」というのは大抵誰もがそうで、私ももちろん勝ちたいです。
 
とはいえ勝ちたい思いで頑張れば何とかなるかというと、その精神論は通用しないのがテニスの世界。
 
むしろこちらで紹介した『柔』ですからね。 

この世界で通用するのは、精神論ではなく「集中力だった」というのが、最大のポイントです。
 
そしてその力を発揮し続けている状態が、くだんの『テニス上達メモ』でお伝えした「ゾーン」です。

▶プレッシャーに「強くなる方法」


難しいことは何もありません。
 
●●さんがコーチや仲間(ライバル含む)の目が気になりそうになったら、ひたすらボールの回転を見てください
 
眼耳鼻舌身意」(げんにびぜつしんい)。
 
一時にふたつの対象を同時には認識できませんから、ボールに集中すれば、●●さんが気になるコーチや仲間(ライバル含む)の目を意識できなくなります。
 
これが具体的な「プレッシャーに強くなる方法です。
 

▶ボールに集中すると「不安」を感じる場合がある

 
「ボールの回転を見るだけ」でいいのですけれども、それだけでは不安だから、いろんなことを意識しようとしてしまう。
 
「何も意識しないテニス」は、何か「拠り所」をなくしたような気持ちになる場合が、始めのころは確かにあります。
 
またボールの回転だけを見ていると、対戦相手やパートナーや周りの景色がぼんやりとしか見えなくなるから、それで不安を感じるプレーヤーもいます。
 
その不安感のせいで、ボールに集中できなくなるのです。
 

▶リターンで確認できるあなたの「先出し」

 
集中すると不安になるとは、どういうことでしょうか?
 
非常に分かりやすいのはリターンの時で、相手サーバーがトスしたボールだけを、しっかり見ることのできているプレーヤーは多くいません。

次回のテニスで、お確かめください。
 
上がるトスに応じてレシーバーの顔が、上を向かないのです。

これは問題なのですよ。

サーバーの動きが気になるから、全体を広く見てしまっているのですけれども、そのときボールに、集中していないのですね。
 
そのせいで、ボールが打ち出される前に動き出してしまう「先出し」をしてしまうのです。
 
これが「相手の動きに惑わされる」具体例です。
 
ですからその「先出し」を、スプリットステップで止めるのです。
 

▶不安感のその先に「本物の安心」がある

 
ボールだけを見ることによって生じる不安は、「心のアラート」としての機能的な感情とは別物で、偽物の主観的に感じる不安感。
 
不安感を乗り越えた暁には、ボールの回転だけを見ているのが、「いちばん安心の世界」へ入ります
 
そして安心しているとき、私たちは最も能力を発揮できるのです。

▶追伸:「真のライバル関係」は?


ライバルがいるのは恵まれています。

敵視するのではなく、ボクシングなら試合後に敗者が勝者を肩車して称えるのが、「真のライバル関係」です。

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(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero