急死に一生!とし太郎(後編&エピローグ)
諸事情により後半は有料です。年を越す為のお金が欲しいので、貧しくも卑しい僕を助けると思い、どうか皆様の温かいご支援とお恵みを頂けたら幸甚です。よろしくお願いします。
後編:怨嗟響く病室、地獄の処置無し放置。そして開放
頭痛により倒れ、横になったままゲロをまき散らし、その上からガラスの雨を浴びた夜。とし太郎は満身創痍の状態で尿道の処女を貫かれ、寝返りさえ打てぬまま暗い病室にいた。最初の状態から悪化はしていないものの、改善も見られなかった。しかし病院に運ばれたという安心感は極めて得難いもので、冷静な意識では朝を迎えたあとどのようにして方々への連絡をするか頭を悩ませていた。すると、まるで墓場から聞こえてくる怨念のような声が部屋に響いてきた。
「トイレ~…トイレ~…トイレ~…トイレ~…にいきたぁい……」
老人の声だ。運び込まれた病室は大部屋で、同室の患者が訴えているのだろう。幸い手は動くので、代わりにナースコールでも押してやろうかと考えたが、他人の世話を焼いてる場合ではないし、すぐ近くに看護師の気配がするのでやめておいた。
「トイレ~…トイレ~…トイレ~…トイレ~…にいきたぁい……」
しかし、病室前を通り過ぎる看護師たちの足音は一切声に反応しない。声の音量は叫び声とはいかずともまぁまぁハッキリ聞こえるはずである。少なくとも近くを通りかかった者には届いているように思えた。しかし誰も来ない。終いにはオレの様子を見に来た看護師はハッキリとその声を耳にしているにも関わらず、まったくの無反応。明らかに「意図的な無視」であると分かった。
「トイレ~…トイレ~…トイレ~…トイレ~…にいきたぁい……」
「あぁ~……水ぅ~水をください~水ぅ~……」
哀れな老人の呻き声が、暗い病室にこだまする。遠くからはサイレンの音。
それはさながら地獄で赦しを求める怨嗟の声(いや怨嗟って恨み言じゃんっていうツッコミはナシで)。段々とその声が可哀そうに、不気味に感じ始めた頃。
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