
「ガットとグリップの重要性」
どうも。テニスも普段も、常にシングラーのえぐちです。
■グリップとガットは、人とボールを繋ぐ「接点」
今回はタイトル通り「ガットとグリップの重要性」について話します。この2つ。特にガットは「張り替えるタイミングが分からない!」って人によく会います。グリップは使っているとボロボロになるのでまだ替え時が分かりやすいんですが、ガットの場合は切れない限り交換しようと思わないですよね。だって、ボールが打てますから(笑)。そして、テニスはお金がかかるスポーツです。「少しでも節約したい」からこそ、交換する気がなかなか起きない人もいるでしょう。
事情はいろいろあると思いますが、それでも自分は「ガットとグリップを適度に交換する」ことをお勧めします。なぜなら、2つとも「接点」の役割を果たすからです。
この「接点」について、まず話します。グリップは人の手とラケット、ガットはラケットとボールを繋ぐ「接点」ですが、この繋ぎ目が果たす役割はパワーの伝達です。つまり、人が生み出した力が手→グリップ→ラケット→ガット→ボールへと伝わるわけです。
グリップとガットが新品なら、この伝達はスムーズに無駄なく行われます。でも、この2つが消耗していたらどうでしょう?それぞれ説明していきます。
■消耗したグリップが起こす問題
最初はグリップについて。グリップが消耗して起きる問題は2つあります。
①面がぶれやすくなる
②余計な力が入る原因になる
ことです。消耗すると滑りやすくなり、グリップチェンジが上手くできなかったり、インパクト時の衝撃に耐えられず面がブレやすくなります。結果、力が上手く伝わらずボールがどこかへ飛んでいくなど、コントロールミスが多発するんです。
ここで、面を安定させるために「しっかり握ろう」と意識するようになります。これが②の余計な力が入る原因です。いつも通りリラックスしていてはコントロールできないので、力で押さえつけようとするわけです。そのため手打ちをしやすくなり、長い目で見たら、肩や肘に負担がかかるため怪我の原因にもなりうるわけです。
■ボールに回転がかかる仕組みは「ガット」で説明できる!
次はガットについてです。ここはやはりストリンガーとして、より力を込めて話したいと思います(笑)。
本題へ入る前に。みなさんは「ボールに回転がかかる仕組み」を説明できますか?
「え?ラケットを下から上に振ったらトップスピンがかかるんじゃないの?」と思ったそこのあなた…テニスの指導としてはまあ正解です(笑)。でもここは道具について話す場なんで、ガットを用いて説明します。
フォアハンドストロークを想像してみてください。インパクト時、ラケットヘッドとグリップエンドを結んだ線は、地面と”だいたい”並行になってますよね?インパクトを迎え、ラケットが上へと振りぬかれました…恐らく、あなたはナダルのようにえげつないボールを打てたことでしょう(想像上)。では、ボールがガットとぶつかる瞬間にもう少しフォーカスしていきます。
インパクトした瞬間、ボールを支えるガットは「縦のメインガット」です。私たちは普段、ボールを打つ時は回転をかけようとします。ストロークを打つ場合、横のクロスガットがボールを支え、メインガットは弓の弦のように「しなり」ます。そして、しなった弦が元に戻ろうとする力を利用して矢を射るように、「メインガットが元に戻ろうとする力」が働くことで、ボールにトップスピンが掛かるというわけです。このような現象を「スナップバック」と言います。そう、だからガットが切れる時はほとんど「縦のメインガット」が切れるんですね。
ちなみに、この仕組みはどのショットでも絶対一緒です!最近テニスの調子が悪い人や伸び悩んでいる人は「メインガットで回転を掛ける」ように意識するといいかもしれません!心当たりのある人は是非試してみてください。
■伸びきったガットは百害あって一利なし⁉
さて、話を戻します(笑)。そうそう、知りたいことはガットが消耗した時の問題点ですね。ガットを張る際、私たちストリンガーは、お客さんに頼まれたテンションで機械をセットし、ガットを引っ張る・金具で止めるを繰り返します。そして全て張り終わるとお客さんに渡されるのですが…そう、ガットを引っ張っているわけです。
輪ゴムを想像してみてください。新品だと引っ張る力が強いですが、モノを縛ったまま放置すると伸びきって使えなくなりますよね?ガットも同じで、張ってしばらくすると弾力性がなくなるわけです。
ここで2つの問題が生じます。
①打球感が固くなる
②回転がかからなくなる
スナップバックはガットの弾力性があれば効果を発揮し、回転がかかります。しかし,ガットの弾力性がなくなるほど伸びきったらどうでしょうか?スナップバックが起きず、回転がかからなくなるのです。冒頭で話しましたが、自分が頑張って生み出した力が、上手く「伝達しない」んです(もったいない…)。そして最悪なのが、スナップバックが起きないことで、ガットも切れにくくなってしまいます。メインガットが伸びきって可動性がない分、ガットの摩耗量も減るわけですね。替え時にも困るわけです。
また、打球感が固くなる現象も、時間の経過と共におきます。これが肘や肩の怪我を招くんです。ガットの弾力性はトランポリンの原理のように、インパクト時の衝撃を和らげてくれます。そのため伸び切った状態になると、クッション性がなくなりダイレクトで肘や肩に衝撃が「伝達」するようになるのです。
ちなみ、寒くなるとガットの弾力性そのものが落ちてきます。夏場にテンション50で張っている人は48にするなど、テンションを下げることをこれからの季節はお勧めします。
長々と話しましたが、言いたいことはこれです。
「グリップやガットの交換は、プレーと身体のために重要」
人とラケット、ラケットとボールを繋ぐ「接点」だからこそ、ちゃんとメンテナンスしないといけないんですね。
■グリップを交換するタイミングは?
さて、問題も分かったところで、交換するタイミングについて話しましょう。
グリップの場合は
①表面がめくれる
②表面がツルツルになる
のどちらかが出たら交換することをお勧めします。こういった状態になると、先ほど指摘した2点が起こりやすくなります。グリップは15本入や30本入などまとめてたくさん買えますので、お気に入りのグリップができたらまとめて買っちゃいましょう。一本当たりの単価が安くなりお得です。
■2~3ヶ月に1回はガットを交換しよう
次にガットですね。
最低でも2~3ヶ月に1回張り替えることをお勧めします。その頃になったら、ガットが切れていなくてもなるべく張り替えましょう。理由は先ほど示した通りです。
また、ポリエステル・ナイロン・ナチュラルの順でガットが早く伸びきってしまいます。どの種類を張っているかどうかで弾力性の維持率も変わってくるのです。そのうち、ガットの種類については記事にしますが、自分のプレースタイルや頻度に合わせてガットを選択・張り替えをしてみてください。
以上です!最近肘や肩が痛んでいた人も、これをきっかけにグリップとガットを交換してみてはいかがでしょうか?そして、グリップとガットの重要性が少しは理解できたでしょうか?
■次回 : 「テニス初心者必見!ラケットとガットの選び方」
さて、次はこのテーマ!
「テニスを始めたいけどラケット、ガットは何を選べば良いかわからない」
という人のためのお話です。この記事では、ただ初心者と一括りにするのではなく、みなさんの○○経験に合った提案をしていきますよ!気になる人は次もぜひ見てくださいね!
ではまた!
いいなと思ったら応援しよう!
