ラファエル・ナダルが最も好むサーブのコースパターン

テニスは、メインのパターンと副次的なパターンに分けてプレーするゲームであり、それらは大きく得点に影響する。

選手が試合を優位に進めたい場合や、どうしてもポイントがほしい場合には、ポイント獲得率の高いメインのパターンでプレーする傾向にある。

すでに試合を優位に進めている場合や、対戦相手を惑わす目的があったり、ポイントを失っても試合にさほど影響しない場合には、ポイント取得率の低い副次的なパターンでプレーする。

2019年今シーズンのナダルのファーストサーブのパターンを分析したものを紹介する。ナダルは、対戦相手を惑わす為の有効性のあるメインと副次的な成功戦略を持っている。

これから紹介するナダルのファーストサーブのデータは、今年のATPマスターズ1000の試合とATPファイナルズのものである。

0-0の時のファーストサーブのコース

0-0の最初のポイントの場合には、ナダルのメインのサービスパターンであるTのコースへのスライスサーブを頻繁に用いる。今シーズンのナダルは、0-0のスコアにおいて10回中6回をTへのスライスサーブを用いている。ナダルは、これがサービスゲームでいいスタートをきるにはベストであり、最初のポイントを最も高い確率で獲得できると思っているからである。以下は、ナダルの0-0の場合におけるファーストサーブのコースの内訳である。

ワイド=25.4%(45)
ボディ=13.0%(23)
T=61.6%(109)

今シーズンナダルは、90%の確率でサービスゲームをキープしており、最初のポイントを獲得し15-0になった場合には、94%の確率でサービスゲームをキープしている。

15-15の時のファーストサーブのコース

ナダルのサービスゲームが15-15になった場合においても、基本的に0-0の時と同じようにTにスライスサーブを打ち、返ってきたリターンボールをフォアハンドストロークできめるゲームプランが多く見られる。しかし0-0の時よりも少しサービスのコースを振り分ける傾向がある。

15-15 ファーストサーブのコース

ワイド=36.1 %(26)
ボディ=12.5 %(9)
T=51.4 %(37)

30-0 ファーストサーブのコース

今シーズンのナダルは、サービスゲームで最初の2ポイントを先取した場合には、98%の確率でサービスゲームをキープしている。30-0になった場合には、メンタル的にも余裕があり、サービスのコースをTとワイドに大きく振り分ける。

30-0 ファーストサーブのコース

ワイド=51.6 %(33)
ボディ=6.2 %(4)
T=42.2 %(27)

0-30 ファーストサーブのコース

相手に2ポイント先取され0-30になり少しピンチになった場合においても今シーズンのナダルは、61%の確率でサービスゲームをキープしている。

0-30 ファーストサーブのコース

ワイド= 48.8 %(20)
ボディ=14.6 %(6)
T=36.6 %(15)

ここで興味深いのは0-30はナダルがすべてのスコアの中で最もサービスのコースを大きく振り分けるスコアだ。この場合、Tよりもワイドに打つ確率が高くなる。

これらのデータは、ナダルのサービス分析において明確な事例だと言える。0-30のスコアの場合、ナダルを含めて左利きの選手は、ポイントを取りにいこうとし、Tのコースにサーブを打つ傾向にあり、リターン側は、T側にナダルがサーブを打ってくると予測している。しかし、ナダルはそのことがわかっているので、対戦相手の予測の逆をつこうと駆け引きをしていることがデータに示されている。

これらスコアに関連したファーストサーブのコースの駆け引きは、世界中のすべてのレベルで行われている。テニスはメンタルなゲームだとよく言われるが、世界ナンバー1であるナダルのサービスゲームから学ぶべき部分は多い。

#テニス


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