ニック キリオス選手のサービス
きっと、いろんな意味で「過渡期」の選手なんだと思います。フィジカル的に優れ、新しいテクノロジーのラケットをテニスを始めた頃から使い、
「ビック4王朝」
の影響下で育ったテニス選手。
反骨精神もりもりの彼ですが、テニスを心から楽しんでいる。そんなプレーヤーです。
さて、キリオス選手の武器と言えば、
「サービス」
ですね。サービスが武器じゃない選手は、あのレベルではいないわけですが、ランキングよりも目立って凄いです。
そんなサービスを解説したいと思います。特筆すべきは、
「過去にない形態」
だからです。いや…混ざっている。進化した。
そう表現する方が適性かもしれません。
では、こちらをご覧下さい。
構えなんですが、回旋系の構えに近いのですが、
・ゼロポジションに最初から入っている。
・手首に角度がついていない。
もう、この時点で混ざっています。
・庭球眼が完璧です。
・肘の位置がほとんどの選手は、このタイミングで上がってきているのですが、まだ、上がってきていません。
・ラケット面が「外を向きません。」これは、かなり特殊な事例です。回旋系のトロフィーズポーズとは、完全に違います。もちろん、基本ポイントである。
・ゼロポジション
・前の膝の内側よりも頭が後ろ
・左側のライン形成
は、同じなんですが
「ラケット面が外側を向く」
というかなり重要なポイントが抜けています。
これが教科書だと言わんばかりのフェデラー選手のトロフィーズポーズですね。
つまり、
「回旋系じゃない。」
のです。
身体がコートの中に入って、
「外旋を誘発した。」
というよりは、下から上のエネルギーフローの余剰で「飛んじゃった、浮いちゃった。」くらいのタイミングと、ラケットの角度です。
後ろから前のシフトウエイト中にモーションが行われているので、前への力の流れは当然あるのですが、下から上のフローに喰われているので、この程度の移動になります。あの後ろから前へのフローだけ注目すれば、
「1m近く、コートの中に入っていないとおかしい。」
のです。せいぜい30から50センチくらいでしょう。体幹を支点に肩甲骨をスライドさせた結果だと考えられます。
スライド系サービスについてでも、解説していますが、本来、スライド系サービスは、
「シフトウエイトがそこまで重要じゃない。」
のです。ですから、ジョコビッチ選手や錦織圭選手は、そこまでシフトウエイトしません。
シフトウエイトが重要な意味を持つ回旋系の進化の派生から、スライド系に移行した途中みたいなサービスです。もちろん、それを埋めるために
「クイックサービス」
になっているわけですが。
クイックの利点であるエネルギーの効率化や独特のタイミングの取りにくさも相まって、
「めちゃくちゃ強力な武器」
に仕上がっています。しかし、これは技術的に
「過渡期」
の技術であり、多分、ジョコビッチ選手のようなスタイルがスライド系の主流になるのではないかと思います。
まとめると
・スライド系
・でもシフトウエイトゴリゴリ
・間に合わないタイミングをクイックで補正
・人類枠で考えてよいのか分からない体幹で帳尻合わせ
と、「独特すぎるサービス」になっています。
キリオス選手が好きで、真似したい方は、是非参考にしてみて下さい。
取り敢えず、
「無茶苦茶体幹トレーニングしましょう!」
テニプラ
作中の分からない用言は、こちら
コーチからの手紙造語用語集
https://note.com/tennis_plus/n/n6b2bd338acf0