反則の販促回、「エクストラプレイヤー、乱入」【オレ的星雲賞】
オレ的星雲賞。
誰が言ったか突然Twitterに流れてきた衝撃的なワード。
これにひどく感銘を受けたので個人的人生のバイブルにあたる作品を指す言葉として勝手に使ってます。
そんな意味がこもったタイトルの作品感想連載『オレ的星雲賞』、第1回は『動物戦隊ジュウオウジャー』より第17話「エクストラプレイヤー、乱入」をご紹介します。
先立って言います。
この回、一度見たら最後絶対に玩具が欲しくなります。
ψ あらすじ
と言うようなもの。
見てると番組前半はいつもの怪人出現→ゲスト同士のあれこれ→解決までの流れという割といつも通りの流れで番組が進んでいき、心の中では(まだ…エクストラプレイヤーまだ…?)と思ってもおかしくないくらい。
実際登場時間は本回のうちのわずか5分程。どっちかというとメインの話のおまけ程度の時間である。
では、なぜこのタイトルなのか。
それはある圧倒的な説得力によるものである。
ψ 強い。
17話終盤、策を解決したジュウオウジャーがトランパスにトドメを刺そうとしたその時。どこからともなく釣り糸がジュウオウジャーの武器を見事に絡め取り、一本釣り。その犯人は崖の上に立っていた。
「ハァ…つまんねぇ獲物だなぁ…」と吐き捨てジュウオウジャーの武器を無惨にも投げ捨てた。
なんだこれ!???
もうこの時点で圧倒的な差しか感じない。
まず釣竿(ジュウオウザガンロッド)が武器という時点で気が狂いそうになるがそれでいてしっかり使いこなしてるのがthe強者の風格を漂わせて見てて興奮が止まらなかった。
そうこうしてるうちに怪人の幹部枠、ナリアがあらわれこの謎の釣竿男について説明をしてくれる。
「これはジニス様(ボスの人)が作ったブラッドゲーム(悪いこと)のエクストラプレイヤー、名付けて、ザワールド。」
ザワールド!??????
時は動き出さないが体が動いた。
ここまでジュウオウジャーの名前を見てみてもイーグルであったりライオンであったり動物の名前が基調であった。そこに突如ぶち込まれるザワールド。世界。今からジュウオウジャーという動物は世界という高すぎる壁と相対しなければならないという構図が容易く想像できる。
緊迫する空気。その時ついにザワールドが動いた。
手にした釣竿を空にブン、ブンと2回振ると、釣り糸がムチのようにしなり、なんとジュウオウジャーの面々が火花を散らしてぶっ飛ばされた。
なんで!????????????
あまりに突然のことで面食らったが釣竿の糸で吹き飛ばされる異常さが絵面の面白さと比べてあまりにおかしい。
しかし釣り糸無双はこれだけに留まらない。
リーダーのイーグルが持つ伸びる剣(イーグライザー)でザワールドに攻撃しようとした所、釣り糸で剣をはじき(!?)逆に剣を糸で絡め取り(!???)剣ごとジュウオウジャーに向かって振り回し大打撃を喰らわした。
その上イーグルの両足を糸で絡め取りぐるぐるとぶん回して先ほどまで自分が立っていた崖に思い切りぶつけ、戦闘不能にまで追い込んだ。
……この糸鉄か何かで出来てるんですか?
頑丈な上にその面積の少なさで逆に敵をリードするというしっかり考え込まれた戦闘スタイルに惚れる。
さてここで問題。
ここまでジュウオウジャーを圧倒し続け既に強烈なインパクトを残しておいてザワールドは…
まだ登場してから3分も経ってないのである。
ψ 強い、強すぎる。
その後もザワールドはまだまだ止まらないどころか更に苛烈な攻撃を仕掛けてくる。
変身アイテムを動かすと、高速で移動できる形態のウルフになり、釣竿もカシャンと音を立てると猟銃のような銃モードに変形、高速移動を行いながら目まぐるしく放たれる弾丸&ゼロ距離ショットでヒロイン二人を圧倒。
さらにヒーロー二人にはパワー形態のクロコダイルになり、銃はロッドに形を変え、豪快にぶん投げたりロッドを支えに二人まとめて地面に叩きつけたりともうやりたい放題。
ここまでで玩具の全形態、全モードをしっかり使いこなしてるのが恐ろしい所。諸々使いこなした上で徹底的にジュウオウジャーを潰しにかかってるその誠実さが恐ろしい。
ここまでですでにボロボロで満身創痍のジュウオウジャー。
このタイミング、並の敵なら勝利を確信し高らかに笑いながら自分の持ち場へトコトコ帰って行くだろう。
…察しの言い方、当然でございます。
そんな展開であればオレ的星雲賞にはなってないし、ザワールド。こんな所で満足する程度の器ではないのです。
ψ 強すぎる、というか死ぬてこれ
なんとウルフ、クロコダイルの力を元のライノスの形態に混ぜる『野生大開放』を披露。右に大爪、左に尻尾。強化された肩のアーマーも相まってその姿はさながら悪魔のよう。
全ての力を持ってジュウオウジャーを完膚なきまでにボコボコにし最後に言い放つ一言、
「レベルが違うんだよ゛!!」
ま、まぁアンタほどの方が言うなら……
そして黒いオーラを身にまとい突撃。
大爆発をかました所で17話は終了。何がみんなでジュウオウダンスをおどろう!だちびっ子達は棺桶ダンスで踊り狂うだろ。
という怒涛の5分間をやり遂げたザワールドに心からの拍手を送らせて欲しい。本来行うべき販促を文字通り違うレベルで魅せつけた。
ここまで来ると5分という時間の重みがだいぶ変わってくる。もはやめちゃくちゃ長いまであると思う。
当時リアタイしてた筆者はあまりの強さにめちゃくちゃ惚れたが(これ、どうやって勝つんだ…?)とも本気で思った。尚この頃はネットも児童誌も見てなかったので後に追加戦士になるとは知る由もなく。
とにかくとても印象深い回なのであった。
しかしもっとすごいのはこの回、余波が視聴者だけでなく作中にまで響いており、この次の18話、敵が「ザワールド」と口にするだけでメンバーが負けたトラウマのあまり恐怖してすくむという状態にまでなってしまうというキャラクター達にとっても印象的な出来事として刻まれてる。
ψ まとめ
詰まるところこの回の凄いところは初登場の戦士が玩具の機能をフルに活用し、その上でジュウオウジャーを圧倒すると言う絵面のエグさにあると思う。
かつて初登場の戦士がここまで機能をフルに使う回があっただろうか。近年だとガッチャードの11話がこれに近い印象を受けた(同時期に発売したトレカphase2収録カードのガッチャンコを大量に使う)が、それも全て使ったまではいかない。
これまではもちろん、これからの作品においても唯一無二の販促回になるのではないか。そう思いAmazonで武器を見てると釣り糸がない!!と絶望するまでがセットである。
それではまた次回!
第二回は屈指のシリアス回『機界戦隊ゼンカイジャー』より第40カイ『とーちゃん奪回、ワンチャン一回!』の感想の予定です。
ハンカチと愛をご持参の上御精読願います。