自分の好きなことを仕事にすべきか(米MBAを経て)
社会人になって早10年くらい経つが、掲題のテーマについて新卒の就職活動時から頭を悩ませてきた。自分の好きなこと(趣味に関連すること)を仕事にすべきか否か論である。総合商社からの米MBAを経て就職後、新年、自分の好きなことを仕事にすることになったので、これについての考えの変遷を以下つらつら書きましたのでお付き合いください。
そもそも好きなことを仕事にするとは何か
お金稼ぎというpureな観点を除いて、好きなことを仕事にするとはそもそもなんだろうと思ったので適当に言語化する。2分くらい考えた結果、大きくわけて以下4つかなと思った(無言で編集される可能性大です!)。あと、これらの掛け算もある(地域×プロダクトとか)かな。社会的インパクトも入れて良いかもと思ったけど、インパクトは以下の結果論でしかないのかな、とも思ったので今のところ省きました。
そして、私が本記事で意図する好きなことを仕事をするとは、1)好きなプロダクトを仕事にする、です。
プロダクト、モノ
一番わかりやすく、プロダクトである。コンテンツ、車、バイク、不動産、金融とか、とにかく担当しているモノが好き。不動産とか金融が好きになれれば良かったなあ(遠い目)。職種/スキーム
上述した先輩のように、好きな事業スキームとか、職種。投資とかマーケティングとか、何でもよいんだけど。あと、なんでもよいけど兎に角新しいことやるのが好きとかも、ここかな。。。別枠にすべき?地域
好きな地域があって、そこに貢献したい、関わりたいという気持ち。日本の中での地域創生もそうだし、途上国で事業がしたいとかもこれかな。ひと
一緒に働いているひとや、お客様が好き。
新卒就職活動時
さて、結論から申し上げると、新卒就活時は、自分の好きなことは仕事にしない方が良いのではという考えをもっていた。且つ当時は、もう1つの所謂就活の軸、”海外で仕事をしたい(≒駐在をしたい)”があったので、そちらが優先された(好きなことと海外駐在の可能性を両立出来る様な仕事は当時想像出来なかった)。理由は単純に、仕事に自分の好きなことを邪魔されたくないだろうなと思ったからである。趣味はあくまで息抜きであり、その最中に、仕事のことを思い出すようなことはしたくない、と何社か説明会に行った結果結論付けたものである。結果的には海外で仕事をしたいと思った一心で総合商社をファーストキャリアに選んだ。
働いてみた!(総合商社でのキャリア)
総合商社就職活動においての頻出質問は、「うちは配属リスクがあるけど、若し自分の興味のない分野に配属されたらどうする?」である。私の答えは、「今わたしは具体的には御社の資源事業に興味があるが、この興味は私のXという経験に基づくものでしかない。他の事業に興味を持っていないのは、そういった経験をする機会がなかっただけ。私は好奇心旺盛な人間なので、実際やってみたら好奇心をもってどんな仕事にも邁進出来る」的な感じであった。本心に近かったし、この回答で面接官は十分満足していたように記憶している。
入社後、私は個人的に強みのあった地域に強い、けれども関心のない事業に配属された(なので配属希望は若干聞き入れてもらえたとも言える)。上述の回答は嘘ではなかったので、興味を持てるようになるかな、と希望を一瞬持ったが、結果強い関心を抱くことは一貫して無かった(駐在はしたので第一目的は達成)。以前の記事にもぐだぐだ何故MBAを志したのか書いたが、結局、この”プロダクトに関心を持てなかった”ことが、総合商社でのキャリアをやめようと思ったきっかけの1つである。それでも総合商社に6年あまり勤めたのは、上でいう3)地域と4)ひとの掛け合わせにハマったからである。但し繰り返しになるが1)プロダクトに興味が持てない以上、長いキャリアを総合商社で築くことに窮屈さを覚えた。
余談だが、先日日本で久々に飲んだ当時の先輩に、この話をした際、先輩からは”俺もプロダクトに興味ないよ。プロダクトは何でもよくて、お金を生むスキーム作り(上でいう2)に興味があるんだよね”と言われ、この人は総合商社にとても向いてる人だなあ、と大変感心したものだ。
米MBA~1仕事目@USA
退職し、米MBAに進学。MBA後のキャリアとしてプロダクトマネージャーを選んだ理由の1つは、ジョブ型採用に憧れがあったからである。実際プロダクトマネージャーは可也ゼネラリスト的な仕事なのだが、それでも、”私プロダクトマネージャーをやっています”と言える。それで、何をやっているかはわかる人には伝わる。総合商社には基本的にそれがない。そして、プロダクトマネージャーとしてアメリカで仕事を見つけることが最優先事項であったので、好きなことを仕事にするかは脳裏に過ったものの、考慮する余裕はなかった。ただ、総合商社を辞めた経緯も踏まえて、私の好きな仕事を生業とするアルムナイ等とチャットをする機会は持たせてもらって、良いなあ、いつか好きな仕事が出来る様になれればよいな、とふわふわと考えていた。
私がジョインした会社はMBA採用をしていることもあり、所謂配属リスクというものがあった。どんなプロダクトを担当するかは、面接で希望を聞かれることすらなく、インターンでの配属が決まり、フルタイムオファーはそのインターンをした組織から出る形になるので、フルタイムでその組織に入ることになる。担当することになるプロダクトを好きになれるかは不明だったけれども、プロダクトマネージャーとしては新米であったし、当時は全世界でtech不況が始まっていたのもあり、我儘を言える状況ではなかった。
好きなことを仕事にしてみるチャンスが来た
ふわふわとあった好きなことを仕事にしたいという感情が膨れ上がったのが、新しい仕事がしんどかった時である。この期間は、プロダクトマネージャーとしての責任感一つで自分をオペレートさせていたと思う。趣味を仕事に持ち込みたくないという10年位前の感情は何処へやら。自分の担当プロダクトが嫌とかそういうことではないんだけれども、どうせしんどい(プロダクトマネージャーという仕事は一般的にしんどいと思う)のなら、好きなことを仕事にした方がやっぱり良いんじゃないかなと思い直すようになった。但し、世の中はそう甘くない。好きな仕事のジャンルは需要が高かったり、お給料が今ほどよくなかったり、ビザスポンサーがない、とか色々障壁がある。まあ、いずれにせよ可能性を見てみないと始まらないなと思い、キリの良いタイミングで社内転職活動を始めてみることにした。
すると、偶々幸いにも好きなことを仕事に出来るようなopeningを見つけた。人間、興味があるとすごいなと改めて感じた。自然とネットワーキングをしたいと思って、何人かに連絡をし話をさせてもらった。面接でもchat GPTに相談せずとも純粋に志望動機を話せたし、話し過ぎた結果もういいよと言われるほどだった。長引くことを予想していた社内転職活動はうまくいった。(社内転職と聞くと、大したことのないように聞こえるかもしれないが、普通にポジションを社内で自分で探して、アプライし、面接を複数回するので結構普通の転職活動と変わりはなかった。勿論社外よりはハードルは低いけど。自分でやってみての学びでした。)
そしてMBAの意義についてまた考える
MBAをとってよかったですか?と聞かれる。私の回答は一貫して、MBAは時間とお金をたくさん費やす人生の夏休み(参照)なのだが、今回の社内転職を経て、キャリアという意味でもMBAいってよかったかも!と思えるようになった。そう思えるようになったことがおまけで嬉しい。でも夏休み記事は消しません。
というのも、人生ではじめて、はじめて!好きなモノ(プロダクト)を仕事に出来るようになったからである。人生ではじめて、私が日々自然にしていることを仕事に出来ることになったのである。しかも(社内転職なので当然ながら)お給料も据え置き。
もちろん、仕事が本格的にはじまったら、つらいこともあるだろうし、こんなはずじゃなかったと、次のブログには書いてるかもしれない。多分書いてる。でも、好きなプロダクトを仕事にするということが実現できたので、キャリア実験の大きなステップを踏むことが出来た。もし、向いてなかったら学びにすれば良いわけで。
MBAに行かなかったら、こんなキャリアを築くことはならなくて、多分一生”好きなことを仕事にしていたらどんな人生だっただろう?”と思っていただろうから、嬉しい。自分で自分のキャリアに責任を持つ、とはこういうことなのかもしれない。総合商社でよくある人事異動のラダーに乗るのではなく、自分で自分のキャリアを築きたくて、MBAに行ったのだから。それが初めて、まだまだほんの少しだけど、実現できたような気がする。
今思えば、MBAのキャリアアドバイザー達がまるで壊れたロボットのように、「MBA卒後のファーストキャリアは必ずしもパーフェクトではなく、MBAを卒業して1年後に可也の割合の卒業生が転職をしている」と繰り返し言っていた。正に自分がそうなるとは思っていなかったけれども。
この記事を書きたいなと思ったのは、自分の感情の備忘録もあるが、今就職活動が大変(かもしれない)海外MBA生に応援を送りたいなと思ったからである。MBA後のファーストキャリアが若し納得いくものでなくとも、きっと全然大丈夫!まずはアメリカで就職するとか、職種や業界チェンジをするとか、それだけでMBAに行った価値がきっとある、って改めて思ったとさ。
ちゃんちゃん♪
海外MBA受験/米就活相談は@tenmusubisanまで。