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漫画で浸る70年代昭和ロックの世界~森脇真末味「おんなのこ物語」

20代でB’zファンになるまでほとんどロックというものと関わりのない人生だったな…と思っていたが、そういえばひとつだけあったわ!と不意に思い出しました。音楽そのものではなく漫画で。それが・・・

森脇真末味「おんなのこ物語(ストーリー)」

1970年代アマチュアバンドの世界を描いた漫画。アラフィフの自分が10代の頃に読んだものだから40年前の作品です。当時の自分にとってはまったく縁のない世界ながら、個性的なキャラクター、骨太なストーリーに魅かれて純粋におもしろい漫画として読んでいました。

その後読み返す機会もなく(そもそも姉のモノだった)時は流れ・・・最近になってふと脳裏に蘇ってきて・・・検索してみると文庫版として販売されていることがわかり即購入。さっそく読んでみて、一気にハマった!こ、これは凄い漫画だ!!と。
10代の自分では十分に味わいえなかった作品の魅力が今ならより深く胸に刺さる。
以下読後感想を書き殴ったツイッターより

「おんなのこ物語」1巻読んだ・・・すごかった
1巻の内容大体覚えてたけど(40年前のキオク)それでも衝撃と感動すごい。マンガ自体として凄いし70年代日本のロック野郎たちの世界おもしろい!
壊れゆくバンドを必死に守ろうとする主人公(純朴ドラマー少年)が愛しくて切なくて心が痛い。

細やかな表情での心情表現がリアル。じっとり重苦しい空気感の中でも会話のやり取りチャーミングでたのしい。ライブシーンめちゃ迫力ある!コミックバンド楽屋のわちゃわちゃ好き~

若い頃より今の年齢だから楽しめる部分がある。
昔読んだ時と違うのは年齢だけじゃない。今はB’zファンだから新たに気づくことが山のようにある。

要するに、主人公・八角京介17歳高校生にすっかり参ってしまった。
純朴で馬鹿がつくほどお人好し。寡黙でおとなしくて辛抱強い(でもケンカは意外と強い)。心の内に深い孤独とマグマのような熱を抱えており、それが音楽的才能となって外に吹き出そうとしている。
そんな少年と青年のはざまの彼が見せる表情のひとつひとつが本当にせつなくて愛おしい。

タイトルはまったく内容を反映していない…プロローグ的短編につけた表題をそのまま連載に継続してしまった感じ。
少女漫画でありながら全体に男臭く骨太なストーリー。絵も青年誌的な雰囲気で華美さはなく、昭和の泥臭い香りを漂わせつつ描線は力強くしなやか。表情、特にまなざしが印象的でハッとさせられる。

主人公以外にも魅力的な登場人物が多数。
打算的でクールな水野。短編集「緑茶夢」のバンドSLANシリーズでは準主役的な存在だったが「おんなのこ物語」でも活躍。案外世話好きでいい奴だったりするし。
コミックバンド大城の存在感すごい。
ヒロインの尚子も気が強くてかわいくて大好きだ。

B’zファンになって再読してみると新たな視点も。バンドマン以外にもロック原理主義(?よく知らんけど)の雑誌やその周辺の人々も登場して…長きにわたりB’zアンチの中核だったの、こういう人たちの生き残りだったのかな…とか。

作者のギター愛の深さが今ならわかる、というか驚愕する。ギターによってPUやペグ(TAK本で履修した)などの細かいパーツが描き分けられてるの!
大体マンガではパーツ自体の描写しれっと省略されるのに

ステッカーリーダー(G&Vo)中尾仁はギブソンレス・ポール愛用。水野(B)はフェンダー。
他バンドのメンバーのギターもそれぞれ違っていて、同じようなフェンダーに見えてよく見るとPUの配置が違う!とか…たぶんキャラの個性に合わせたギターを選んで持たせている。
そして彼らの音が森脇先生の頭の中ではちゃんと鳴っているんだと思う。

中尾は金持ちのボンボンなので高価なギターを複数所有していると思われる。27万円(70年代の物価で)のレス・ポールをぶっ壊すシーンがあった・・・
八角はドラマーなのにスネアも持ってない、ということだけどギターは持ってて、中尾のお古かしら?と想像したり。
私のような楽器に疎い人間でもこれだけ楽しめるんだから、ドラムセットや当時の時代の機材など、森脇先生のすばらしい画力とバンド愛によって描き込まれたこだわりの数々、詳しい人ならよりいろいろな気づきがあって楽しめるのではないかと思います。


昭和の時代を知る人にとってはなつかしく、昭和を知らない世代にとってはきっと新鮮。
バンドものとしても、そして、生きづらさを抱え自分の居場所を求めさまよう少年の成長物語としても、深く心に刺さる作品だと思います。

ーーー

長らく漫画から離れていて、また時間ができたら戻りたいと思っていたのですが・・・今回、森脇真末味先生の作品を検索してみて、新刊本として手に入れられるのは「おんなのこ物語」のみと判明。
電子書籍化されているものはあるが全部ではなく・・・
自分を育ててくれた昭和~平成の漫画たちを読めるうちにたくさん読んでおこう!という決意を新たにしたところです。


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