こども気象学
はじめに
ここのところ、noteへの投稿ができていません。一つには本業の展開が進んできていて、そちらで忙しくなったというのがあるのですが、もう一つは、こども向け気象学の本の監修作業に休日は追われていた、というのがあります。新星出版社さんからの「こども気象学」という本が7月15日に発売予定となっています。
監修だというので、出来上がった原稿から専門家として文章を修正するくらいの作業かと甘くみていました。はい、実際甘かったのですが、逆に、一般の方々の気象への理解度を知る上で、勉強になりました。いま、仕事の関係で、気象分野外の方々と気象について意見交換をする機会がさまざまなレベルで増えていて、その中でも同様の印象を持っています。これは悪い意味だけではなく、時には思ってもみない反応に驚き、新鮮さを感じることもあります。
まあ、今思えば、最初からもう少し詳細な設計図を示しておけばよかったかな、もっと最初からワガママを通した方が良かったかなとかあるのですが、最後になってバタバタと編集関係者にお願いをすることになってしまいました。
今の子供たちが活躍する時代には、今以上に、気象・気候のことを理解した上で、さまざまな分野で判断する場面が増えていると思います。それなのに、大学入学試験の関係なのか地学教育が難しい状況にあることも伝え聞いています。こんな背景から、この仕事をお受けすることにして、対象は小学校高学年から中学生としつつも、その保護者の皆さまにも読んでいただけるとよいかなと考えています。どこまで噛み砕いて説明するか悩みながら完成した本の「さわり」をみていただくことにします。どうぞご笑覧ください。
第1章
この章は、気象についての基本的な知識や法則を学ぶことを目的としています。まったく数式を使わずに説明することはやはり難しく、どこまで理解できるものになっているでしょうか。
第2章
こちらは、低気圧とか台風、雲、積乱雲など、より身近な気象の仕組みなどを学ぶ章となっています。台風や雷、竜巻、線状降水帯といった防災に重要な現象もこの章で取り上げています。
きれいな雲の話などは、「天気の図鑑」という有名な本に任せてよいのかなと個人的には思うところもあるのですが、やはりこども向けの気象の本となるとそうもいかないようで、ある意味もっとも苦慮したところかもしれません。結果的には、いろいろと難しいメカニズムや災害の話がある中で、その部分が清涼剤になっていればいいな、と思います。
第3章
この章は、おおむね気象庁の仕事の紹介かもしれません。天気予報にどんな歴史があり、どのように天気予報が作られているのか、その基本となる観測や数値予報を含めて学ぶ章となっています。この章だけは、私自身が最初から筆をとり、筆者の気象庁での経験を活かしたこの本のセールスポイントとなっていることを期待します。
第4章
この章では気候について学びます。気候という言葉の説明にも苦労しました。世界の気候帯から日本の四季、そして地球温暖化、異常気象といったことを学びます。地球温暖化に伴いどんなことが日本でも起きつつあるのか、ある意味、50年先を支えるであろうこどもたちに一番読んで欲しい部分かもしれません。
付録
気象の仕事にはどんなものがあるのか、気象学を学ぶところはどこにあるのか、もちろん、気象大学校も紹介しています。そして、気象予報士についても、制度からそれを受験ガイドも。天気図を描いてみようコーナーも東京学芸大学のホームページなどを活用して設けてみました。私自身も天気図から気象学に入った種類の人間なので、それを伝えたい思いもあります。
謝辞
まず、気象庁のホームページを大いに活用させていただきました。気象庁のホームページにキッズ向けがあればいいな、という思いもあり、これがきっかけになればいいなとも考えています。天気図関係については、東京学芸大学の気象頁を活用させていただきました。気象衛星ひまわり関係では、NICTさんのひまわりWEBを紹介しています。この本を手にした皆さんが、こうしたウェブにもアクセスして、さらに知識を深めていくことも期待しています。これらの関係者に感謝申し上げます。
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