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「LGBTの気持ち」が理解できない??

「L(レズビアン)だってG(ゲイ)だって法律に守られてるんじゃないかなんていうような話になったんでは、足立区は滅んでしまう」
「自分の周りには(LGBTが)いないから理解できない」

上は足立区議の白石正輝氏の発言の一部だ。
最初に聞いたとき、本当に驚いた。
なぜなら彼は「政治家」だからだ。
一般人の発言とはわけが違うのだ。
世間でもLGBTと少子化の問題は全く無関係だ、という意見が多くあるようだ。私も強く賛成する。



しかし、インタビューによると、LGBTによって少子化が進んでいる、というのは誤解だという。白石氏の発言に対して大きな衝撃を受けていくつかの報道を確認すると、次のような意図による発言であったとまとめることができる。

「LGBTの権利を尊重することは大切であるし、彼らを非難するつもりはない。ただし、LGBTの権利に関する教育ばかりをしていて、子育てのすばらしさを教育していかなくては少子化する一方である。もっと子育てのすばらしさを進んで伝えていかなくてはならない」


それを踏まえて私なりに意見したいと思う。

まず、子育ての教育が不十分であるから少子化が進んでいるのだろうか。
彼の考えに従えば、若い世代は子育てのすばらしさを理解していない、ということになる。私の実感であるが、身の回りの同世代(大学生)で将来子どもが欲しいと思っている人は多い。子育てのすばらしさは理解できていると感じる。実際私自身もいつかは子どもが欲しいと思っている。
それでは、なぜ出生率が低下してるのか。
この主な理由は子育て環境が不十分であるから、ではないだろうか。
経済的な問題、手助けしてくれる人・頼れる人がいない問題、社会復帰しにくい問題、仕事との両立が難しい問題。

それらが若者の子育てに歯止めをかけているのではないだろうか。
そして、これらは政治家が解決に動いていかなくてはならない問題のひとつで、教育の問題ではない。


2つ目に、少子化の問題でLGBTを取り上げる必要があったのだろうか。
彼の発言のメインは少子化に関する内容で、LGBTはあくまで例えばの話で、引き合いだという。
それだとしても、LGBTを取り上げる必要があっただろうか。
彼の中には多少なりとも「LGBTによって少子化が進んでいる」という思いがあると捉えられてもやむを得ないだろう。


最後に、本当に身近にLGBTがいないのだろうか。
彼の発言を知ったときにnoteでの記事を思い出した。

「いない」のではなくて、「告白できない」のではないか?ということだ。
これは私の推測だがLGBTに限らず、私には関係ないからわからない、ということが白石氏は多いのではないだろうか。


多様性が謳われる世の中、きっと自分には理解できない考え方のひとが多くいるし、多く出会うことだろう。
そんな中で大切なのは「理解しようとする努力」だと私は信じている。

実際、私は19年間でLGBTと告白されたことがない。
それは本当にいなかったのか、告白できなかったのかはわからない。
けれども、ここ数年は特にいたらどうしよう、と思いながら過ごしている。
それでも「理解しようとする努力」としては不十分であると思うし、まだまだ勉強しなくてはならないと思うが、その気持ちが大切なのではないかと思うのだ。

「理解しようとする努力」が必要なのはこれからを生きるすべての人だ。

その姿勢を失ったらきっと分かり合えないことがぐっと増えるきがするのだ。
理解されないから理解しない、の負の連鎖が始まってしまう。
それでは多様性なんて夢のまた夢ではなかろうか。




この記事で扱った「理解しようとする努力」は荒川弘先生の『銀の匙』の御影アキの発言から引用させていただきました。
マンガの中では文脈が違うかもしれませんが、広く通用する大切な姿勢だと考えさせられる言葉でした。