Mr. CHEESECAKEの作り手が語る想い #テンカイズ
フレンチの名店で腕を磨いた若きシェフが作る、最高のチーズケーキ。
このチーズケーキ、注文はWebサイトのみなんです!毎週数分で売り切れ、「今週も買えなかった!」とSNSの投稿が溢れる、まさに「幻のチーズケーキ」と言われる一品。一体どんなシェフが作っているのでしょうか?
1. 5分で売り切れ!?幻のチーズケーキはどのように始まったのか
宇賀:今夜のゲストはMr. CHEESECAKEシェフの田村浩二さんです!
田村:よろしくお願いします。
宇賀:ご自身の経歴を教えていただけますか?
田村:もともとはフランス料理の料理人をしていました。東京で10年、フランスで1年間修行して、帰ってきた後は白金台にあるTIRPSE(ティルプス、現在は閉店)というレストランでシェフをしていました。
今はMr. CHEESECAKEというチーズケーキのみのブランドを運営しています。
宇賀:なぜチーズケーキだったんですか?
田村:僕、小さい頃から誕生日ケーキがチーズケーキだったんです。自分の中での「幸せの象徴」がチーズケーキで。誰が食べても美味しくて、喜んでもらえるものを作りたいと思った時に、僕の中では選択肢がチーズケーキでした。
宇賀:フレンチのシェフをされていた時から、いつかチーズケーキ1本でやろうという考えはあったんですか?
田村:もともとパティシエになりたいと思っていたんですけど、チーズケーキを作って販売しようとは考えていませんでした。
シェフをする中で、一部の人のための変わった料理より、誰が食べても美味しくてより多くの人を幸せにできるものを作りたいっていう想いから、趣味でチーズケーキを作り始めました。自分の中で一番美味しいと思えるものができたので、インスタグラムのストーリーに載せたんです。それをきっかけに欲しいっていう人が現れて、最初は手売りで。パッケージもウェブサイトもない中で販売が始まったのが、このチーズケーキです。
浜田:そうこうするうちに、月に数百万ぐらい売れるようになったんですよね。
田村:最初の20日間ぐらいで100万ぐらい、その翌月からは200〜300万ぐらい売れるようになりました。
レストランという限られた場所ではなく、SNSというネット上でより多くの人とコミュニケーションが取れる部分にすごく可能性を感じましたし、面白かったんです。
宇賀:どのぐらいのペースで販売しているんですか?
田村:毎週日曜日と月曜日の朝10時に販売しています。
宇賀:5分で売り切れるって本当なんですか?
田村:はい、それだけ興味を持ってくださる方が多いです。
また普通の店舗だと1000人並べないところが、オンラインだと1000人並べるので、そうした意味でもより多くの人が同時に購入しやすいのではないでしょうか。
浜田:もう一つの問題意識として、飲食業界における「長時間労働なのに、お給料はそれほど高くない」という状況にも疑問を感じていらっしゃったんですよね。
田村:フランスに修行に行った時に、すごく感じました。
日本の人は、良くも悪くも仕事のために仕事をしている方がすごく多くて。フランスの方は、自分の人生を良くするために仕事があるんです。長く働くだけではなく、いかに自分が幸せになるために仕事と向き合うかということをすごく感じました。
帰ってきてからも、どうすればスタッフの労働時間を短くできるか、どうすれば自分自身も余裕を持って仕事ができるかということを考えていましたね。シェフとして自分のレストランを開くのが、ベストな選択なのかというのは、ずっと疑問を持ちながら仕事をしていました。
宇賀:それで現在ではオンライン販売のみなのですね。
2. コロナ禍で打撃を受けた飲食業界。デジタル戦略は、お客さまとの窓口になる
浜田:田村さんはTwitterやインスタで、顧客の方とすごくコミュニケーションを取られていますよね。だからこそ、どんな人がこのチーズケーキを作っているのかというところまで見えてくる。そこも含め、ファンがついている気がします。
田村:レストランって、1日に40人くらいしかお店に来られないんです。その中から料理を食べて、何かを感じて、シェフである僕と会話をしたいって思ってくださる方は限られています。どんなに想いを持って料理を作っていても、なかなか伝えられない。
一方で、オンラインだと多くの方が気軽に声をかけられますし、僕自身も思っていることを発信しやすい。もちろんものづくりの人間なので、自分が作ったケーキの味で判断してもらうのが一番です。ただ、その奥にある想いや覚悟まで知っていただいた方が、より楽しんでいただけるのではないかと思っています。だからこそSNSは身近に使っていますね。
宇賀:コロナ禍で飲食業回は非常に厳しい状況ですが、同業他社の方からのご相談は?
田村:たくさん来ています!
テイクアウト、デリバリー、ECサイトのどれが良いだろうみたいな話もそうですし。包材はどこで調達すればいいのか、ECサイトってどう開くのかみたいなご連絡もいただくので、できる限りお答えはしています。
でも一番悩まれているのは、「何を作るか」です。そこはその人が持っている能力や長所によって変わってくるので、アドバイスをしながらお話をさせていただいている感じです。
宇賀:コロナの影響もあり、よりデジタル化が進んでいますが、今後の外食産業はどうなっていくと思いますか?
田村:外食産業自体は無くなることはないと思うのですが、両極化がものすごく進んでいるなと感じます。
トップのレストランは、コロナ以前とほとんど変わっていないですし、むしろ予約が増えています。食事に行く回数が減ったからこそ、行く時はレストランをすごく精査されているようです。
逆に明確に求められにくいお店は苦労している話を聞いています。
より研ぎ澄まされたお店が生き残り、そうでないお店は方向転換を余儀なくされるという状況が、より加速するのかなと。
浜田:自分だけにしかできないことや強み。田村さんにとってのチーズケーキみたいに「これが売り!」みたいなものがない人は、生き残るのが厳しくなりそうですね。
田村:そうしたものを明確に意識して料理を作っている方はそんなに多くはないですし。
また、今までは自分が好きなものを作る、自分の表現を作る方が多かったんです。それに加えて、顧客の方が何を求めているのか、今の時代に何が受け入れられるのかなどのマーケティング的な視点がないと厳しいのではないでしょうか。
3. コンビニ・セブンイレブンとのコラボで学んだこと
宇賀:Mr. CHEESECAKEはセブンイレブンとのコラボ商品も発売されていましたが、それはどういう想いで?
田村:僕、もともとセブンイレブンさんがすごく好きなんですよ。
今は販売していないんですが、セブンさん以前、ホールケーキをカットした形のチーズケーキを販売されていて。しかも、6〜7回くらいマイナーチェンジしているんです。下のクッキー生地があったり、それが無くなったり、酸味が強くなったり……それを僕、定点観測しているんです。
宇賀:仕事として、趣味としてちゃんと見てきたんですね!
田村:なぜセブンさんはこのタイミングで、こういうマイナーチェンジをしているんだろうっていうことを自分で考えて、世の中にはこういう味が求められているんじゃないかなと推測したり。
現代の人に最適化されている商品がたくさん出ているんです。しかもその商品を全国の店舗に配送する、配送している瞬間も柔らかくてなめらかな状態を保つその再現性、技術力は、僕たちにはない研究の成果ですよね。すごく学びが多いんです。
味もすごく好きだったので、セブンスイーツに対する熱い想いをブログに書いていたりしました。
宇賀:田村さんからの発信だったんですね!
田村:いつか一緒にお仕事できたらいいな、とSNSでも発信していました。
浜田:そしたらお声がかかったんですか?
田村:いろいろあって、声をかけていただいて。
セブンさんも色々と考えてくださりながら商品開発を進め、本当に細かいところまで試作・試食を繰り返させていただいて、すごく良いものができたので出させていただきました。
宇賀:最後に、田村さんに今後の展開を教えてください。
田村:このMr. CHEESECAKEを立ち上げた頃から思っているのですが、やはり世界進出をしたい。グローバルなブランドにしていきたいです。
加えて、僕はもともとシェフをやっていたので、チーズケーキ以外にも作れるものがあるんです。新しいブランド、新しい商品にも挑戦をしていきたい。
食の力で人々の生活が少しでも豊かになるような、そんな挑戦をしていきたいと思っています。
宇賀:私も頑張って購入したいと思います。ありがとうございました!
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