広がるオンライン教育、その良さとは?Schoo社長に訊く! 2020/05/27 #テンカイズ
人々の生活に大きな変化をもたらしたコロナウイルスの感染拡大。企業は在宅勤務やリモートワークを導入し、仕事の仕方も大きく変わる中、学校の休校など学生たちにも多大な影響が出ました。様々な学校が導入を急いでいるシステム「オンライン学習」、その可能性に迫ります。
MCは宇賀なつみさん、
プレゼンターはBusiness Insider Japan編集長の浜田敬子さん。
収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧いただけます。
宇賀:今日のゲストは株式会社Schoo(スクー)代表取締役社長CEOの森健志郎さんです。森さん!
森:よろしくお願いいたします。(リモートでのご出演でした)
宇賀:森さんは浜田さんからのご推薦という。
浜田:そうなんです。先日Business Insiderの原稿もいただいたんですけども、すごくその原稿が面白くて。
森さんとこの会社、コロナの前からオンライン学習の仕組みを作っていらっしゃったんですね。
コロナの危機が去っても、オンライン学習が定着していくのかなって、せっかくなのでオンライン学習について深く聞いてみたいなと思ったのと、やっぱりハードルもあるので、その辺をぜひ森さんに聞きたいなと思って今日はお呼びしました。
宇賀:では改めて森さんから、Schooがどんな事業、サービスをしていらっしゃるのかお話しいただいてもいいですか?
森:弊社Schooというサービスを運営しておりまして、一言で申し上げると社会人向けの動画学習サービスです。通常の動画で学ぶサービスとは違って、ライブ配信っていう生放送の技術を使って、参加している方々がコミュニケーションを取ったり、やり取りをしたり、先生に質問したり、ただ一方的に先生の話を聞くだけではなくて、双方向のやり取りをしながら学習体験ができるっていうシステムとコンテンツを提供しています。
個人の方、45万人ぐらいがご利用いただいていて、法人導入としては1200社を超えています。大学教育機関の方にも使っていただいていまして、今、全国15の大学様と提携をしてうちのシステムやコンテンツをご提供させていただいています。。
宇賀:新型コロナウイルスの感染拡大の前から利用されてる方たちがいるっていうわけですよね?
森:そうですね、サービスを始めたのは2012年になりますので。
我々としては「世の中から卒業なくす」っていうミッションを掲げていて、全ての人が楽しく学び続けられる社会を構築し続けていきたいって思いのもと、ずっとインターネット及びライブ配信を使ったサービスを提供し続けています。
浜田:コロナの今回の感染拡大で、やっぱりSchooさん使いたいですとかオンライン授業したいんですけど相談乗ってくださいっていうのは結構増えてらしゃえるんですよね。
森:分かりやすく言うと無茶苦茶増えてですね。昨年の同月比、3月だと、受注のお申込みいただいた会社さんの数が6倍になっているくらい、今回のコロナの影響でかなり一気に普及しているなという印象は受けてます。
<オンラインだからこそ実現できる、フラットな学習の場>
浜田:法人向けのサービスっていうのは研修とかですか?新入社員が入ったけど、今会社に行けないじゃないですか。それで研修をどうやったらいいんだろか、みたいなそういったご相談ですか?
森:おっしゃる通りですね。
研修、そして企業独自の文化を従業員に伝えていくっていうようなところで、今集まってやることが難しい。でもただ撮った動画とかテキストみたいなものを配布するだけでは、伝わりきらないものがある。そういう時に、うちのライブ配信の仕組みをご利用いただいているってイメージです。
宇賀:どんな感じなんだろう。実際に利用されてる方からはどんな声が上がってるんですか?
森:使ったことがない方に一番イメージしていただきやすいのは、Web会議と同じようなイメージですね。
我々の仕組みは、たくさんの方が同時にライブ授業を受けられるので、Web会議のように映像を見合って話すのではなくて、先生の映像を見ながらみんなで実名登録をしてチャットでコミュニケーション取り合うっていう仕組みなんですけれども、まさにWeb会議と同様で、先生にチャットで質問をして答えてもらうっていうような双方向体験になっています。
その中でお客様の声としては、もちろん一部はやっぱりリアルで直接会って先生に話を伺いたいって思われる方もいらっしゃるでしょうけれども、オンラインの方が自分が思っていることや周りが思ってることは可視化されやすいっていうのは決定的にあるなと思ってます。例えば100人の大教室で授業を受けていた時に、リアルの場だと直接質問するのって相当恥ずかしいじゃないですか。
宇賀:なかなか勇気いりますよね。
森:でもオンラインのチャットだったら気軽に質問ができますし、隣の人がどんなノート書いてるかとか、どんなことを思っているかってこともリアルの授業だとわからないけど、オンラインだとそれが可視化されていく。
より双方向なので、集中力を保ったり、学習体験が高まったり、他の人たちの考えが可視化されることで学習効率が高まるっていうことは。オンラインだからこそ実現できることなのかなと思います。
浜田:私オンラインの学習はもう学生じゃないのでやってないんですけど、オンラインイベントとかオンラインの勉強会もやってるんですよ。結構それも盛んになっていて。
いいなと思ったのが、さっきおっしゃったように質問で手をあげる人ってなかなかリアルの場でいないんですけど、オンラインでチャットで質問下さいと言うとみんなばーって書くんですよね。その中からみんなこういう感想を持ってるのかとか、ここが分かんないんだなと思うとそこを拾い上げてどんどん質問に答えていたりとかってするのはすごくいいなと思ったのと。
もう一つ、この間決算書を読む勉強会オンラインでやったんですけども、決算書の画面を実際に出して、「ここがね」みたいな感じで。リアルの現場だとそれってPowerPointで前に映し出されるから、ちょっと遠いんですよね。
宇賀:なるほど。大教室でもそうですよね。近い人と遠い人が必ず出てくる。
浜田:みんな等距離で同じ資料を見て、質問をどんどんチャットに書き込むみたいなのが、すごく参加する方のモチベーションとしては高まりました。
森:オフラインの場でみんなが見ていながら質問を出せる勇気のある人の質問よりも、内省的にしっかり考えて腹の中にあるんだけど言わなかった質問の方が良い質問だったりすることもあるじゃないですか。
でも我々のオンラインのチャットの仕組みを使えば、いろんな人たちが敷居低く質問を出して、それを他のユーザーさんたちが「私も聞きたい」っていうボタンを選ぶ。そうすることで授業をしている先生も、100人が聞きたいと思ってる質問と一人しか聞きたいと思っていない質問を目で判別することができる。本当に答えるべき質問に答えることができると。
無駄な前置きも不必要になりますし、本当に良い質問にだけしっかり答えていくってことができるようになるっていうのは、オンラインの良さかなというふうには思いますね。
宇賀:そんなにたくさん質問が出ると授業が進まないんじゃないかってさっき思ったんですけど、そういうことはないわけですね?本当に必要なものだけに答える。
森:そうですね。コメントは沢山出ますので、しっかりと授業として進行していくために、その質問をしっかりと先生の手元で答えるべきものと注目すべきものっていうのを判別できるような現地の表示システムっていうものも独自に開発しています。
あとは全ての授業において、弊社のティーチングアシスタントが同席させていただくようにしているので、他の参加者さんたちのコメントもしっかりと捌くお手伝いをさせていただきながら、より良い双方向性を実現できるような工夫もたくさんしてる会社になります。
<オンライン授業とリアルの授業は違うもの、重要なのは学び続けること>
浜田:オンライン授業が上手い先生の特徴ってあります?Youtuberみたいなものかな?
森:極めて表面的なところだけで言えば、しっかりとオーバーリアクションで話せるとか、インターネットに慣れていて、インターネットであげられた投稿を瞬時に察知してすぐ返せる力。そういう瞬発力みたいなものは表面的なスキルとして必要だと思うんですけど、実はもっと本質的なことがあるなと思っていて。
オンラインの授業とリアルの授業は、決定的に情報の伝え方が違うじゃないですか。さっきお話ししたように、ただ一方的に話すだけではなくて双方向でやり取りをしていかないと、PCもスマートフォンもすぐブラウザ切れちゃいますので。続けてもらうことが大事なので、やっぱりやり方を変えなきゃいけないんだ、これは違うものであって今までのやり方を変えなくてはいけないんだっていうふうに、アンラーニングできる力が強いかどうかっていうのが、うまくオンライン授業をやられているかどうかっていうところに関わってきてると思います。
浜田:なかなか年配の先生にはつらい感じですね。ITリテラシーだけじゃなくて授業のやり方自体も変えていかなくちゃいけないってことだと、先生も学び続けなきゃいけないってことですよね。
森:まさにそうですね。正直ご年配の先生とかいう話をたまに聞くんですけど、私が接している範囲だと年齢はあんまり関係ない印象があって、アンラーニングっていう観点では。
表層的な、例えばネットに慣れているかどうかってところはちょっと若さにも影響されるところはあるんですけれども、60代70代の大学教授の方でも極めてオンラインというところで楽しく試行錯誤されている先生方はいっぱいいらっしゃいますし、「初めてYouTubeにあげてみたんだけどどうかな?」みたいなふうに楽しんでやられる方とかすごくいらっしゃるんですよ。
逆に20代30代であっても、教育はface to faceでやるものなので、オンライン授業はとりあえずお茶濁しっていうようなマインドセットでやられてる方もいらっしゃるので。そこはやっぱり年齢ではなくて、学び続けてアンラーニングして、環境に対応していこうっていうスタンスと思いと力。そういうところの方がオンライン授業をうまくやれるかどうかに関わってくるんじゃないかっていうふうには思います。
宇賀:森さんの今後の夢や目標はありますか?
森:一番大きな目標は「世の中から卒業なくす」っていう、全ての人が学び続けることができて、学びを継続することができるっていう社会を作ることなんですけども。
その中間地点として、今やってる個人向け/法人向けのサービスだけではなくて、教育機関自体であったりとか、文部科学省がやられていること自体ももっと一緒にアップデートしていく必要があるのかなというふうに思ってます。具体的には、やっぱりまだまだインターネットを使ったらどういうことが実現できるのかっていうイメージをわけ切ることができてなかったりとか、まだまだネットは怖いものっていう印象があったりするので、どんどん新しい実験をしていくっていう気持ちに慣れていない教育機関や官庁でお勤めの方に我々がしっかりと寄り添っていく。我々がただアウトサイダー的にサービスを提供してくだけではなく、今教育に対して真摯に向かい合っている皆さんと、一緒に新しい実験をしていくようなそういう取り組みがもっとできていくといいなというふうに思ってます。
宇賀:ということで今夜のゲストは株式会社Schoo代表取締役社長CEOの森健志郎さんでした。ありがとうございました。