本田圭佑さんとの共同開発、アスリートの音声コンテンツ「NowVoice」に迫る! 2020/06/17 #テンカイズ
今年4月、プロサッカー選手の本田圭佑さんとインターネットスポーツメディア「SPORTS BULL」を運営する運動通信社は、日本を代表する16人のトップアスリートと共にプレミアム音声サービス「NowVoice」をスタートさせると発表しました。本田選手をはじめとした各界のトップランナーの音声が、月額900円で聴き放題となる定額制のプレミアム音声サービス。一体どんな声を聞くことができるのでしょうか?
MCは宇賀なつみさん、プレゼンターはNewsPicks野村高文さん。
収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧いただけます。
宇賀:本日のゲストをご紹介しましょう。株式会社運動通信社 代表取締役社長の黒飛功二朗さんです。よろしくお願いします。
まず運動通信社がどういう会社なのか、そしてNowVoiceがどういうサービスなのかというのを教えていただけますか?
黒飛:スポーツの配信の会社になってます。
夏の高校野球、インターハイ、あと大学スポーツだったりとか。今年は中止・延期ですごいドタバタなんですけど、普段はスポーツの映像を配信するプラットフォームの「SPORTS BULL」を運営してる会社です。
今回、先ほどご紹介いただいた通り、本田圭佑さんの会社と私の会社の共同事業という形で「NowVoice」と言うサービスを展開しています。
僕が今後やっていこうとしていることと、本田さんもいわゆる投資家の側面じゃなくて、自分で代表として企業経営されていく中で、今後やろうとしていることが結構あるんじゃないかっていうことで、共通の知人を通して1回ちょっとご挨拶してみる?みたいなつなぎがあったんです。2年前に、ちょうど日本に帰国されるタイミングで1日2人で会おうって話になって。その1on1、30分ぐらいでもう何か事業やろうってことが決まって、でも何をやるか決まってない状況だったんですよ。ただ大きいビジョンとしては共通項があって。あとは人脈、本田さんのネットワークと僕のネットワークが被ってなくて、両方関わらせたら面白いことできるんじゃないかって。
それから2年間ずっと議論をしていて、去年の秋冬ぐらいに本田さんと「音声」っていうキーワードで話し出して、そこから開発してリリースしたっていう流れになってます。
野村:今の時代にマッチしてる。
<「NowVoice」では何が聞ける?>
宇賀:「NowVoice」、どんなことが聴けるんですか?
黒飛:実はテーマ設定は自由ってことになってるんです。基本的にはSNSの要素がすごい強くて、Twitterみたいな感じでつぶやきレベルからちょっと語ってたりとか。今はアスリートの方が音声で何やったら面白いか?っていうのをみんな実験してるっていうフェーズだったりしますね。
野村:結構アスリートの方々のメンバーが凄いなって。
宇賀:16人のトップアスリートって紹介しましたけど、今どんな方がいらっしゃるんですか?
黒飛:今30人超えたぐらい。(収録当時)
競技も本当にバラバラで、普段スポーツ見ない方もなんとなく半分近くは分かるんじゃないかなっていうぐらいのメンバーに今参加いただいています。
宇賀:お聴きの方が気になっていらっしゃると思うのでご紹介すると、ダルビッシュ投手、前田健太投手とか。
野村:卓球の水谷選手とか。
宇賀:テニスの錦織圭さんとか。すごいですよ、本当に。
黒飛:スポーツ以外のカテゴリーの方々も、7月1日に一斉に発表する準備をまさにしているところで。アスリート以外のカテゴリは一気に広がるっていうような感じですね。
野村:差し支えなければ、どういうジャンルの方が出てくるんですか?
黒飛:役者さん、アーティスト、タレント、モデルさん、クリエイター、有識者、文化人、ビジネスとか、いろんなカテゴリーを用意しています。
本田さんとも話し合った上で、それぞれのカテゴリーで是非やっていただきたいっていう方にお声掛けをしています。「音声でSNSってなると何話せばいいんだろう」とか、アスリート以外の方だと「このアスリートのメンバーの中に混じって何話せばいいの」って不安な方もいらっしゃって、そこを一個一個丁寧に、「こんな内容で話してみたら面白いじゃないか」って毎日提案している状況です。
宇賀:でも将来、人前で話す、講演するとか、解説者としてお話しするとか。そういう機会もたくさんあるでしょうしね。
野村:確かに、アスリートのセカンドキャリアはコミュニケーション力がすごい大事ってことですよね。
<SNSという戦場の中、「最後のオアシス」づくり>
宇賀:実際もうやっている方達からの反応感想っていうのはどうですか?
黒飛:「さっきの投稿大丈夫だった?」とか。
野村:結構気にされるんですね。
黒飛:サービスの設計上、Twitterのようにすぐユーザーリアクションがばかばかくるようなサービスにはなってないんですね。意図的にしてない部分もあって。いろんな雑音の中で話しづらくなったり、考えすぎてテーマ絞られたりするのが嫌だったんで、今一方的な発信してるんですよ。なのでリアクションが薄くて、「あれどうだった?」っていうのは結構皆さん気にされてますね。
宇賀:そのリアクションがあんまり来ないようになってるっていうシステムは、今後変わっていくんですか?
黒飛:そうですね。程度と質の問題だと思ってて、リアクションがあること自体は良いことだと思っているんですけれども、やっぱり今は問題にもなってる誹謗中傷とか、無くていいリアクション、受け取らなくてもいい情報っていうのが正直あると思っていて。
今回わざわざ「月額900円」っていう、ちょっと入るのを躊躇する金額を払ってでも聴いてみたいって思って頂いてるユーザーとのコミュニティの中なので、いい塩梅でリアクションは返ってくるんですけど。でも本当に聴かなくていいノイズとのバランスを今後どうしていくかっていうところは、僕らとしても1個のテーマになってます。
野村:確かに。声のSNSだとテキストに比べて炎上しにくいって言われてますね。
テキストだとその言葉の端だけ切り取られちゃって、拡散して、「何言ってんだ!」みたいになっちゃう。でも声って割と聴きたい人が聴いてるし、文脈をじっくり聴かないと全部が分からないから、発信する側にとっては割とあったかい場所っていうか。
宇賀:あとそのテンションとかテンポ、トーンから熱量も感じられるっていうか、誤解しにくくなりますよね。
黒飛:本田さん自身も情報発信を頻繁に、積極的にする立場として、それぞれのプラットホームのメリット・デメリットを理解されてるんです。あと本田さん独特の言い回しだったんですけど、「メディアのペイン」って言い方をされていて。それぞれのSNSに種類の違うペインがある。
野村:痛みとか、欠けてる部分ってことですね。
黒飛:そうです。そこをちょうどうまく融合させた「最後のオアシス」を作りたいっていうのをすごいおっしゃっていて。ここに来ると、ちゃんと信頼関係ある中で、自分の本音がちゃんと言えて、そこに対して両方が忖度することなく、ここでは自分の言いたいことをそっと置いとけると。それがあることによって、仮にいろんなメディアでの投稿が誤解を生んで炎上したとしても、ここに真実があれば安心感があるんじゃないかっていうことも含めて「オアシス」って表現されてるんだと思います。
そういう表現を目指して、今作ってるっていう感じですね。
<日本では馴染みが浅い有料コンテンツ、どう対応していく?>
宇賀:今どのくらい利用者の方いらっしゃるんですか?
黒飛:開始して大体1か月なんですけども、6万人ぐらいに利用して頂いていています。正式に発表してないんですけど、今1日に100人ぐらいずつどんどん有料に入っていってるっていうような状況です。
本田さんとも話してて、やっぱり月額900円っていうのをどう捉えるか。これ多分、永遠のサブスクのテーマです。
野村:意味付けが難しいですよね。
黒飛:そうなんですよ。これまだ議論している途中なんですけど、やっぱり費用・コストとして捉えるのか、投資として捉えるのかっていうことによって、同じ900円でも意味が全く違くて。
例えば1ユーザーの気分で、「あ、NowVoiceってあるんだ。すごいメンバー揃ってる、声聞きたい。なんだ月額かかるんだ」ってなった時に、「そういや俺あれも、あれも月額入ってて、これ月額サービス入れすぎてるな…」っていう感覚で、考えようってなる人多いかなと思ってるんです。
ただ一方で、900円って言う金額を何かに投資するっていう意味で言うと、普段されてるんですよ。スポーツジムに通うこととか、英会話を習うこと。こういう投資で1000円以下のものってほとんどないんですよね。1万円を超えていたりするものも、月額で払う事ってできると思うんです。
そこに費用と投資の違いがあって、僕らのこのサービスは単なるエンターテイメントではなくて、トップランナーの声が何か人生に影響を与えるんじゃないかってところから始まってるので、それぞれの中で「これは投資に値するんだ」っていうふうに感じてもらえるサービス設計を、今後どんどんしていきたいなというふうに思ってます。
野村:今のすごく重要なポイントですよね。単なる情報とかコンテンツだと思われると他のサブスクサービスと比べられてしまうんですけど、モチベーションを与えてくるものなんだと。これを聞いてると、毎日走るとか毎日筋トレをするみたいな、その原動力が湧いてくるみたいな体験になれば、900円なんてすごく安いもんですよね。
宇賀:黒飛さんの今後の展望、展開、やってみたい事ってありますか?
黒飛:まずは入って頂いた方に、「ここが一番情報発信しやすい」っていうのを感じていただくということを、きっちりやっていきたいと思ってます。
あと本田さんと始める前にずっと話してたのは、もう5年後、10年後じゃなくて、1、2、3年後ぐらいのタームで必ず海外に挑戦しようと。海外の音声コンテンツの状況って、日本とはまた全然違うんですけども、NowVoiceならではの海外のアプローチというのは必ずチャレンジしてみたいなと。
顔を出して、アスリートの方やタレントの方が最も心地よく情報配信ができて、誤解を生まないエコシステムを作りたいなっていうのは僕の願望としてすごくあるので、そういうことを目指していきたいなと思ってます。
宇賀:この時間のゲストは、株式会社運動通信社 代表取締役社長の黒飛功二朗さんでした。ありがとうございました。