ダンスのプロリーグ!多様な要素が含まれるからこその大きな可能性 2020/11/25 #テンカイズ
サッカーはJリーグ、バスケットボールはBリーグ、バレーボールはVリーグ。ではDリーグとは一体何のリーグでしょう?……答えは、ダンス。どうやって競って、どうやって勝敗を決める?2021年に産声を上げる注目の戦いにスポットを当てます。
MCは宇賀なつみさん、プレゼンターはNews Picks野村高文さん。
収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧いただけます。
宇賀:今夜のゲストをご紹介します。株式会社Dリーグ代表取締役COOの神田勘太郎さんです、よろしくお願いします。
神田:よろしくお願いします。
宇賀:神田さんは、野村さんが今注目している方なんですよね?
野村:そうです。ご経歴からしてプロダンサーであり起業家っていうところもそうですし、あとは「ダンスのプロリーグ」ってところがすごく面白いなと思いまして、いろいろと詳しく伺いたいなと。もともと2020年8月にDリーグの発足宣言が発表されたばかりで、始まるのはいつ?
神田:そうですね。2021年の1月10日を目標として定めております。
<拡大するダンス人口、その理由とは?>
野村:ダンス自体の競技人口はかなり多いんですよね?
神田:そうですね。経験者で述べ2000万人って言われてるんですけど、だいたいダンス人口は今600万人ぐらいと推定されていて、どんどん増えてきているんです。
もともと2011年、2012年に教育の中にダンスが組み込まれたところから経験者は増えていく流れになって、施行されてからおよそ10年経ちますから、このぐらいの人数の方々が楽しんでるんだろうなっていうことと。
あとは最近だとTiktokみたいなものでダンスを踊るハードルがかなり低くなってる。歌うのって恥ずかしかったはずが、カラオケで誰でも歌うようになったじゃないですか。TiktokみたいなSNSが広がったおかげでダンスを踊ることのハードルが下がって、みんなが遊べるようになったんですね。
野村:カラオケの例えはすごくわかりやすいですね。一つそういうテクノロジーが出てくると一気に人間の行動が変わっていく、価値観も変わってくる。
宇賀:確かに一般の人がこんなに踊ってる姿を見るようになったの、ここ1年ぐらいかなって思います。サッカーの競技人口は750万人、野球730万人ってもうかなり近づいてるんですね。
神田:自分たちの肌感としても人数が多くなってきてるなと思いますね。今、大学でもダンスサークルが一番人数多いくらいですから。僕がまだ大学生の頃は、テニスサークルが人気だったんですけどね。
<ダンスのプロリーグって、一体?>
野村:そういった時代の潮流も後押しになって、今回Dリーグが発足されると。まずそもそも、リーグ戦なので戦うわけですよね。ダンスで戦うっていうのが、あんまりまだイメージできなくて。
神田:ダンス界で大会形式って言われてるものは、ショーコンテスト形式とバトルケース形式の二つに大きく分かれるんですね。対戦って言うと、バトルなんじゃないかって思われるんですよ。1対1とか5対5とか、チーム戦のバトル。
今回のDリーグはショーケースコンテストなので、8人で構成されるチームが9チーム順番に踊って、2分〜2分15秒の制限時間内で一つの作品を作って、それに審査員が点数をつける。その日1日のラウンドワンの中での順位が決まって、ポイントを獲得して、ラウンド2、ラウンド3と続いていく。大体12節あるので、その中の総合得点の上位4チームが決勝ラウンドに進めるっていう形になりますね。F1に近いです。
野村:その9チームっていうのは、どういったチームなんですか?企業のチームなのか、それとも大学生のような別の団体の人たちとか。
神田:サッカーと一緒で、企業の方々と契約をしてチームになります。「エイベックスロイヤルブラッツ」、「角川ドリームズ」など、企業が持つダンスチームを年俸で契約して出場するっていうプロ契約の形ですね。
野村:本当に企業がスポンサーのプロスポーツ選手。
<あなたの1票が結果を左右する!参加型にした経緯とは>
宇賀:この審査員ってどういう方が勤めるんですか?
神田:ダンス界で長らく経験されている代表格の方々が入ってこられます。そして今回、文化芸能人枠でアーティスト、それこそ文化芸能で役者をやられている方とか、いろんな方々をお呼びしてジャッジをしていただきます。
プラス今回、他のスポーツとまるっきり違うのは、オーディエンスの投票が点数になる参加型になるんです。皆の一票がそのチームの結果を左右するってことになりうるので、斬新かなと。
野村:お客さんの意思が反映されるって、メリデメがある。プロが判定した方が良いのか、割と民主主義的にお客さんの意思が反映された方がいいのかって、結構いろんな議論があると思うんですけど、なぜお客さんの意思を反映させる方向に?
神田:プロってなんだろう?って考えた時に、やっぱりみんなから人気を持ってることもひとつの大事なファクトだなって。技術的な上手さ、見栄え、構成力とかはダンスの審査員が見れば良くて、また芸術的な側面は文化芸能の審査員が見ればいいと。じゃあ人気っていうところもひとつのプロの指標になるだろうと考えたときに、その人気のバロメーターはお客さんの一票としようよってことが今回の答えですね。
<多様な要素が融合されるDリーグを、より広い層へ>
野村:これ、本当に新しい枠組みじゃないですか、ファンもこれから取っていかなきゃいけない。そうすると、どういったところから実際にお金を払ってくださる方の取っ掛かりを得ていくのか。どこからアプローチしていくっていう青写真はあるんでしょうか?
神田:まずはダンスを踊ってる層ですね。
ダンススタジオに行ってる子、ダンスの部活動に入ってる子というところは、一番最初に押さえないといけないなと。その子たちに「Dリーガーになりたい!」と思ってもらえるように、僕らが作らないといけない。
その後は、「SNSでダンスは観たことがあるけど、実際には観たことがない」っていうような興味があるけど……っていうところとか。あとはダンスファッションが好きだったり、ダンスミュージックが好きな層が、その次のゾーンかなと思ってます。
さらにダンス層は今6ポケット化してるので、おじいちゃんおばあちゃんが、お孫さんが踊ってるから観に行くみたいなことの環境も整ってきている。そこの部分で口コミが広がるようにも考えたいなと。
野村:おじいちゃんおばあちゃんのような、自分たちはダンスを踊らないんだけど、孫を見るような感じでお金を払ってくれるっていう方々も想定されている?
神田:そうですね。
あと口コミとしては、よく格闘のテレビ番組とかでも、リングサイドには必ず有名な方がいたじゃないですか。「あの人が来てる!」みたいな。僕らは芸能業界の方々とか、いろんな方々がDリーグ観に行きたいって、その方々自体がファンになるようにはしたいなと思ってますね。ダンスはその力があると思ってるんで。
野村:確かにそうですね。このスポーツを観てると、その人自身がイケてるように見えるっていうふうになると、足を運びやすくなるじゃないですか。きっとDリーグを観てると、その人自身がイケてるように見えるんじゃないかなと思っていて。
神田:サッカーや野球は、競技中は基本的にその競技のみじゃないですか。
でもDリーグの場合、ダンスミュージックが入ってきて、かつファッションも。毎回12ラウンドで全チームユニフォームじゃないので、その時その時のショーの衣装なんですね。それがストリート系だったり、ラグジュアリー系だったり、スポーティーだったり、結構分かれてくるわけです。そのファッションも、その場ですぐ買えるような仕掛けを使ったり。
全部を融合できるので、Eコマースの連動性が高いし、SNSでの拡散力もあるし、映像コンテンツとしてもすごい魅力がある。さらに音楽も新しく作ることができる。いわゆる流行発信源としてDリーグは使えると思っているので、それをフル活用すれば今までにないリーグになるんじゃないかなと思ってます。
<Dリーグの未来>
宇賀:では最後に、神田さんの今後の展開を教えてください。
神田:今、「FIDA」っていうダンスの国際連盟組織を目指しています。世界に進出していかないといけない。Dリーグっていう仕組みと、FIDAジャパンっていうこの仕組み自体を、海外に輸出していかないといけないんですよ、そうでないと国際連盟化できないので。
なのでこのDリーグをまず国内で成功させた後に、アジア圏に進出して、欧米に行くみたいな流れはここ10年ぐらいでやらないといけないなと自分の中で思っているので、事業家としてちゃんと一つの仕組みを作りたいなと思ってます。
野村:日本を下地に、次の展開はもう海外ってことですね。グローバルに。
宇賀:今夜のゲストは、株式会社Dリーグ代表取締役 COO の神田勘太郎さんでした。ありがとうございました。