「つながりを生む」をサポートする、イベント管理サービスPeatixをテンカイ! 2020/03/04 #テンカイズ
ビジネス、スポーツ、グルメにアート。今日も都内では多種多様なイベントが行われています。そんな中、もし自分の会社がそうしたイベントを主催するとしたら会場をどこにするのか、どういった人を集めるのか、チケット代をいくらにするのかなど決めることはたくさんあるでしょう。今日はそんなイベントなどをサポート・管理する今話題のプロフェッショナル集団に迫ります。
MCは宇賀なつみさん、この日のプレゼンターはNewsPicks野村高文さん。Peatixさんのオフィスをお借りしての収録でした。
収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧になれます!
宇賀:今週のゲストをご紹介しましょう。Peatix Japan株式会社CMOの藤田祐司さんです。よろしくお願いします。まずは、Peatix Japan株式会社がどういうことをやっているのか簡単に教えていただいていいですか?
藤田:Peatixという2011年の5月にスタートしたサービスを展開してまして、イベントおよびコミュニティをサポートするサービスになってます。
世の中今たくさんのイベントが行われていますが、イベントをやるときには集客をしたり、チケット販売をしたり、参加される方とコミュニケーションとったりっていうようなことが必要になってきますので、その辺りをサービスとして提供したり。あとはそういうイベントを活動をすることでコミュニティを作っていくみたいなところを支えたり、というようなことをやらせていただいてます。
今もうサービス始めて9年経とうとしている状況なので、会員数で言うと400万人を超えているような形になってまして。
宇賀:ええ!そんなに!
藤田:そうなんです。細かいお誕生日会とか個人のイベントも合わせると、1万件を超えるイベントが今この瞬間にPeatixで集客をしてると。
宇賀:個人のお客さんもいる?
藤田:そうですね。個人のお客様、あと会社の飲み会とかも使われてたりとかするんですけど、一般に開かれてるイベントという意味で言うと、だいたい7〜8000件ぐらいが集客中というような感じのサービスですね。
野村:実はPeatixさんって、我々にとってはめちゃめちゃ馴染みがありまして。今ビジネス系のイベントを何か開催しようとした時に、まずじゃあどこで募集をしようかなって言って頭に浮かぶのが、Peatixっていうプラットフォームなんですよね。
宇賀:そのくらい有名?
野村:それぐらい有名です。東京で人が集まる催し物を何かやろうとした時に、最初に連想されるんですよ。
画像をそのまま差し込んで、説明文を書いて、お金と時間を設定すれば、その場でお金のやり取りもできちゃうし。
藤田:イベントページが作れるっていう感じなんです。昔で言うとチラシだったと思うんですけど、Web版、アプリ版みたいなものが簡単に作れて、すぐに集客開始できる。
野村:結構簡単にそのページが作れてしまうので、URLをTwitterとかFacebookでシェアするだけで、じゃあここから申し込んでくださいねっていうふうに個人の方でも簡単に申し込みができてしまうっていう。
宇賀:それはそれなりの会社だったら自分たちでもできるじゃないですか、いわゆるWeb上でチラシを作ることって。でもこちらにお願いするメリットってなんなんですか?
藤田:我々のサービスをすごく使っていただく理由として、やっぱり集客。イベントやるからには結局どれだけ多くの人が集まってもらえるかっていうのが主催者の方にとってすごく大事なところだと思うんです。
Peatixには400万人を超えるユーザーの方達がいて、我々が持ってるデータとして、例えば「Aさんという方が過去に東京都でマーケティングのセミナーに行った」みたいな情報を持ってますので、どういうタイプのイベントに参加されているかという情報をもとに、この人はきっとマーケティングのセミナーに興味を持つよねっていうデータを持っているんです。「このイベントおすすめだよ」っていうのを自動的に行うと。
それによってお客さんを送り込むということをやってまして、なので平たく言うと100人イベントで集めるとすると、30人越え、30%強ぐらいがいわゆるレコメンデーション、お勧めのエンジンでPeatixが送客してるみたいな感じです。
野村:そんなに多いんですね。
藤田:やっぱり自社でやると自分たちの会員の中だけで閉じこもってしまうので、なかなか新しい人が来ないとか、気づかれないということがあると思うんです。でも新しい人達にもちゃんと気づいてもらって、人が集められるというところが我々のサービスを使ってもらう理由になってます。
<“イベントをサポートしたい“に至った理由>
宇賀:そもそもどうしてこういうサービスを作ろうと思ったんですか?
藤田:2007年に我々の会社自体は始まって実質二足の草鞋で最初やってたんで、2009年ぐらいからみんなが集まって始めたんです。Peatixが始まるのは2011年なので、それまでの間に3つぐらいサービスを潰して紆余曲折を経ながら進んでました。
それをやってた時に、例えばライブの音源を取りに行って翌日に配信するみたいなことをやったりとか、あとビジネスのコンサルティングみたいなのもやってビジネスセミナーのお手伝いをしたりとかっていうところで割とイベントとかコミュニティに触れる機会ってのはあったんです。自分たちのやってた事業はそんなに上手くいかなかったんですけど、じゃあ次何やるかってこと考えた時に、ライブはライブで課題があるし、ビジネスセミナーだと最初の入り口のとこでものすごい長蛇の列ができてて、名刺を渡して中に入ってチェックして……みたいな。この時間なんなんだろうみたいなことがあったので、こういったところって解決できるんじゃないかなというのがあり。
藤田:世界的に見ても日本以外だとそういうサービス結構立ち上がってきてて、アメリカとかでは割と大きくなりつつあったので、ここは確実に課題解決できるよねというふうに考えて、じゃあやってみようということで何度目かの正直で始めてみたというような感じです。
野村:じゃあアメリカにはあったし、ニーズとしてもありそうなんだけど、日本はまだ空いてると思ってこのビジネスに入っていった?
藤田:まさにおっしゃる通りです。
僕が学生の時代とかで言うとチケットを売る方法って、友達に「10枚ずつごめん、売ってきて」みたいな感じで頑張って売るみたいな感じで売ってましたと。少し興行的になるとぴあさんとかローチケさんみたいなサービスがあるんですけども。
集客をするってすごくハードルが高いし、かと言ってプレイガイドみたいなものは使えないしみたいなところがあったので、一般の人たちがもしそこを自由にできるようなものになったら、間違いなく社会的にも価値があるしっていうような。
野村:私2000年代に大学生だったんですけど、合唱のサークルにいたんですよ。合唱のサークルって演奏会があるのでまさに集客をしなきゃいけないんですけど、その時はチケットを何百枚と紙で刷って、団員が何枚か買い取ってそれをその転売するみたいなことを地道にやってたんですよね。だからそのニーズはすごいよくわかります。
藤田:ちょっと社会的な背景で言うと、2011年5月にPeatixが始まってちょうどその年の3月に震災が起きていて。ふと見るとちょうどそれぐらいのタイミングでソーシャルメディアが勃興していくという。
TwitterとかFacebookってその前からあったんですけど、震災を経て親の世代でもTwitterで情報を取るようになったりとか、Facebookでちゃんとアカウントを持とうみたいな流れっていうのが出てきて、ソーシャルメディアを介して個人が発信していく時代というのに入っていったのかなと。
我々としても震災復興とかのイベントをほぼ原価で、手数料下げて、割り引いてサポートするみたいなことをずっとやってたんですよ。
そこが我々の原点で、コミュニティをサポートするとか、個人のエンパワーメントと言われるんですけど個人の活動をどうやって支えるかっていうことを考えていこうという。いろんな時代背景もあって上手く組み合わさったみたいな、そんな流れです。
<イベントに参加する意義、「弱いつながり」説>
宇賀:昔からそういうイベントがたくさん行われてきたと思うんですけど、今イベント、セミナー、カンファレンスってどういう価値があると言うか、どういうことが求められてると思いますか?
藤田:コミュニティ性みたいなものが、イベントの中に今出てきてるなというふうに思っています。
1970年代から「弱いつながり」っていう概念がアメリカの社会学者の方が提唱してたんです。いわゆる「強いつながり」っていうのは家族とか、血縁関係があるような関係というのがありますと。ただ結構重要なつながり方として弱いつながり方っていうところからいろんなものが生まれるんじゃないかって、実はかなり昔から言われてたんです。
弱いつながりっていうのは、例えばイベントの世界で言うと、1ヶ月に5回ぐらいイベントに行ってる人が1回ぐらい会う。「あ、また会いましたね」みたいな感じのつながりとか、2ヶ月に1回ぐらい会うぐらいのつながりだと、共通の情報ではなくてお互いにそれぞれスペシャリストだったりするので、新しい情報が交換されていくっていう状況があって。とはいえちょっとずつ関係が強くなっていくので、そういうところからイノベーションが生まれたりとかするよねというのが、弱いつながりの概念なんです。
今の時代では、その弱いつながりをイベントという場で体感してる人が増えてきてるんじゃないかという感じがあります。弱いつながりから生まれる関係で新しい副業のチャンスを得る人とかも出てきてると思うのので、そういった意味合いでの価値が出てきているなあと思います。
野村:弱いつながりの理論は私も結構信じていて、自分の環境を変えてくれる人っておそらく同僚でもないし、家族でもないんですよね。薄い知り合いの方が案外新しい世界に連れてってくれるっていうのは本当にその通りだなと思っていて、それにイベントが有効っていうのはよくわかるんですね。
ちょっと1個伺いたいのが、とはいえイベントに来て雑談してるだけだとあまりそういったことって生まれないじゃないですか。イベントでのつながりをどう生かすか?っていうのが大事なんじゃないかなって感じがするんですけど、その辺っていかがですか?
藤田:今のつながるものって、イベントの立て付け自体が参加者を巻き込んだりとか、ワークショップだったりとか、参加者が実際に自分で手を動かしたりとか発表したりとかってするようなイベントっていうのがでも結構増えてきていますよね。そうすると、個人の声であったりとか考えだったりとかがその場にいる人たちに伝わる機会がイベントの中にも増えているので、あの人面白いなと思ったら話しに行ったりとか。
主催者側の仕掛けとしてちゃんと交流するようになっているものが増えているので、その結果、「弱いつながり」がまさに生きてくるような感じになってるのかなと言う気がしてきますよね。
野村:ワークショップとかで同じグループになって名刺交換をしたりとか、今だとFacebookを交換しますよね。繋がって数ヶ月すると、あれ?この人誰だっけ?みたいなパターンが割とあるのかなっていうふうに思ったんですけど、そこから新しいものを生み出していくっていうのはもう一歩何か仕掛けが必要なんじゃないかって。
藤田:そうですね。今だとFacebookとかTwitterとか色々あるんで、繋がるのはすごく簡単で。ただおっしゃる通り、この人誰だっけ?っていう状態は世の中にすごくたくさんあると思います。
そうなった時のつながり方が上手いなと思う人は、例えば1個のイベントで5人の方と出逢って、じゃあその5人の方みんなとその後もずっと何かやっていうかって言うとそんな事はなくて。この人は本当に一緒に動きたいなって思った人に会った時に、しっかりとその人に「すぐまた会いましょう」ってアクションを起こして実際に会う機会を作るみたいな。「また会いましょう」って社交辞令で全然会わないと、数ヶ月後に何者かわかんなくなるんですけど、この人だと思った時につながり方が上手い人ってすぐにアポイントを取って、1回自分がやってることを伝えに行くみたいなことをやってらっしゃるっていうのがありますね。
あと、主催者側がうまくそこをつないであげるみたいな。コミュニティーマネージャーじゃないですけど、つないでいくっていうことをやってらっしゃる主催者もいらっしゃるんで、そのどっちかかなと。
野村:単発のイベントをたくさんやたら手当たり次第に行くよりも、ある程度、連続性のあるイベントに行って、「また会いましたね」っていうのが繰り返されていくとそういったつながりって強くなっていくのかなって感じはしますよね。
藤田:まさにそうですね。それがまさにコミュニティーだと思うんですけども、コミュニティーに属して高密度を濃くしていくみたいなところが結構大事かもしれないですね。
宇賀:今日はPeatix Japan株式会社CMOの藤田祐司さんをお招きしました。ありがとうございました。
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