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#30『地面師たち』ネタバレトーク(の進行台本)

各ポッドキャストに『地面師たち』のレビューをアップしました。

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Netflixで話題のドラマをネタバレ有りで語ります。
実際の事件をもとに、大根仁監督以下豪華キャストで制作された今作。
はっきりいって傑作です。

○Summary○

  • 日本の配信ドラマでトップクラスの照明撮影

  • 「民放ドラマでできないこと」をやってのけた

  • ある性描写の是非


進行台本

収録に使った台本を掲載します。
自分用なので誤字脱字などはご愛敬。

やるやんけ!おもろいやんけ!
天下御免の映画バナシ

改めましてご機嫌いかがですか
このポッドキャストは
私カシマが、毎週新作映画を取り上げているんですが
今回は初めてドラマを取り上げたいと思います。
というのも今週はちょっと収録できそうな時間が取れないもんで
先週収録したもんですから、少し情報が古いかもしれませんが、
今まで同様
ざっくばらんに、忖度なしにネタバレ全開で語るプログラムです。

番組のフォロー、お忘れなく。

ということで本日の映画は「地面師たち」です

実際に起きた積水ハウス地面師詐欺事件をもとにした「しんじょう こう」の小説
「地面師たち」のドラマ化。
ネットフリックスで全7話で展開しています。

監督は連続ドラマや映画で活躍している大根仁
主演は綾野剛、豊川悦司、わきを固めるのは
ピエール瀧、小池栄子、北村一輝、染谷将太、山本耕史、などなど

最近ねネットフリックスの国産ドラマ、評判いいですね
映画もですが、
例えば「忍びの国」とかですね、「サンクチュアリ」とかですね

僕もチラチラ見たりはしてたんですが、なんかはまんなかったんですね

でもこの「地面師たち」めちゃくちゃいい!
なにがいいってね、撮影がいい、ひときわ照明がいいですね

ルックがいいですわ!
ネットフリックスジャパンの弱点があって
お金のかけ方を間違えている、ことだと思ってまして
シティーハンターとか、これは映画ですけども
あと全裸監督とかね

明るすぎるんですよ
あっぱっぱーなんですね
で、なににお金をかけているというとですね、規模とかね
あと性描写とかね
民放テレビドラマできないこと、ではなくて
単に民法では取り扱わない話題をやっているだけって感じなんですね
だからセットとか確かに豪華なんですが
撮影照明があんまりうまいこと言ってないので
安っぽく見えちゃうんですよ

でもこの地面師たちは違いますね
はっきりと陰影をつけています
また照明もかっこいいです
マインドハンターを目指している
「ゾディアック」以降のフィンチャーですよ
安直なサブカル人間だったらいまだに「セブン」とか「ファイトクラブ」
っていうんですけどね
ほんとにすごいフィンチャーは「ゾディアック」以降ですから
照明がとにかくいい
かっこいい

この作品の照明は中村裕樹さんですね
この方は大林宣彦とか北野武のもとでキャリアを開始したのち
岩井俊二とか青山信二とか行定功とかりさんいるとかの照明をやっていますね
去年「流浪の付き」っていう映画がありましてりさんいるの
これ確かに照明、よかったんですよ
かっこいいんですよ
映画自体は全然大したことないんですけど
ま、その中村裕樹さんが照明をされていると

いくつか注目の照明ぽいんとを上げたいんですが
ハリソンのアジトの照明、
これ場面によって色温度を変えてるんですね
色温度ってのは簡単に言うと、赤っぽいとか白っぽいとかそういうことなんですが
これをずっと同じにしてるんじゃなくて細かく変えてるんですよ

あとはね、マキタスポーツですよ
第2話で林のオフィスで初登場するところ
山本耕史演じる青柳がなにかいい土地ないかっていうところ
これ最初林がデスクにいて、水虫の薬を塗ってますね
林の顔には卓上ライトのオレンジ色の光があたってます
で、引きになるとスポットライトみたいになってる
ソファに座っている青柳の顔の上手側には窓の外からの街灯があたってます
ちょっと青っぽい色なんですね
ここの対比とかかっこいいですね

あとね、第3話で林が殺されるところ
ハリソンと電話する場面
ここもいいですね
電話している林を横からとっています
林は上手側、画面の右方向を向いているんですね
で、林の顔に、正面でもなく、バックライトで光が当たっているんですね
そのおかげで、マキタスポーツの顔の大部分は陰になっていて
で、鼻の先とかあごの先とかだけに、電話を持つ手とかだけに光が当たって
光のエッジになっているんですね
しかし表情が全部陰でつぶれないように、上からほんのり青い光が当たってるんですね
これはマキタスポーツの剥げてる部分をみればわかるんですが
ここなんか一番かっこいいなと思いましたね
強く印象に残りました
冗談抜きでマインドハンターとかね、
ベターコールソウルとかを見てる気持ちになりましたよ

あとはやっぱりラストですね
たくみとハリソンの一騎打ち
その直前、駐車場からハリソンルームへ向かう綾野剛
たくみが地下駐車場を歩いているとき
全体的に緑色の照明が当たっているんですが
いざ、乗り込む前、赤い光が顔にあたってグラデーションのようになるんですね
こことかもすごいかっこよかったですね

日本の特に民法のドラマだと、俳優の顔を陰でつぶす
なんてことは全然やらないし、やれないんですね
でもこの「地面師たち」は、
俳優の顔を際立たせたり、陰で潰してかっこよさを優先したりとね
自由自在のあらゆる照明のテクニックの演出が
聞いててすばらしかったです

これが、これこそ、民放テレビドラマでできないことですよ
事務所の力とか、スターを見せるんだとか
そういう力学にとらわれない
かっこいい映像、美しい構図、それでいて滞りないストーリーテリングと
これこれ、これよ!ネットフリックス

見直しましたよ
ほんとにね、これは世界に打って出る
ドラマシリーズの日本代表になるべきだと思いますよ

無理やりモンゴルでロケしたりね、そんなことする必要ないんですよ
やっぱり映像のクオリティが高いってのは本当にいいですね

見直したでいうとね
大根仁も見直しましたね

最近の大根仁の仕事はちょっとお話にならないって感じですもんで
奥田民生とかサニーとかね
で、去年なんか「クレヨンしんちゃん」ですよ
これほんとうにひどくて、去年のワースト映画にしたくらいなんですが

でもこれは良かったですね
演技の演出もよかったですよ
綾野剛の動きも素晴らしかった

事故パロディ的な役なのかなって思ったんですね
最初は
特にピエール瀧とか、リリー・フランキーとか、北村一輝とか、マキタスポーツとか
カタカナおおいな
でもちゃんとそこに存在してますね

そこを引き出した大根仁監督、さすがだったと思います

あんまり褒めてばっかりでもあれなんでちょっとお話します

一番は性描写ですね
ありすぎる、とかそういう話ではないですね
一番は、なぜ下着をつけたまま性行為をしているのか
ということですね
すごい気になっちゃうんですね
必然性があるならいいんですよ
だから、山本耕史が契約を決めてホテルでたちバックはいいんです
あそこは下着をつけたまま、服を脱がないまま
ってのはね
高揚感、欲望、オスとメスみたいなことですから
あと、ホストの楓が児童買春をしているところですね
羽目どりビデオをとってますが、あれも、下着をつけてるのは全然いいんです
あれから脱がしますから
いいんですよ

問題は地主の尼さん、川上がホテルで5Pするところですね
ここは、下着なわけがないんですね
しかも男もパンツはいてるんですね
これは不自然ですね
カーチェイスなのに法定速度を守ってる感じがするんですね
ほんとだったら、ニンフォマニアックのシャルロット・ゲンズブールよろしく
後ろから前から2本刺さってて、一本お口に
で両手で握ってるか、乳吸わせてるほうが自然なんですよ

でね、これはおっぱいが見たいからみせろって話じゃないですよ
尼さんの秘密を手に入れるんだったら、乱交パーティをしている
という事実が分かればいいので
事後でもいいわけですよ
ぐったりしている尼さんと、もっとぐったりしているホストたちってのも
笑える感じになったかもしれません

インティマシーコーディネーターを入れたと報道がありましたけども
インティマシーコーディネーターの仕事って、俳優さんに下着をつけさせること
なのかな?という疑問が生じました
明確な性描写がなくても、性行為があったという演出とか
撮り方とか、もっと探れたんじゃないかなと思いましたね
顔だけとか、声だけとか、せっかくたくさん男たちがいるんだから、ぐるっと囲っちゃうとかね
で男たちも上半身メインで撮っちゃうとかね
結果として中途半端になってしまったんじゃないかなと思いましたね
もちろん俳優さんの精神的、肉体的負担を極力少なくするのは当然のことですから
これで該当シーンのみなさんが安全に撮影を敢行できたのならば
それは素晴らしいことですけれども
出来上がったものとしてはね、というね
製作過程で制作物を評価することは、ぼくはしないという立場なので
安全に、朗らかに作られていればいい作品か
というとそうじゃないですからね
じゃあ「人権を無視してもいいものだったらそれでいいのか」っていうやつもいますが
そうじゃないから……っていうのはありますけど

あと気になる点としてはですね
小池栄子のセリフですね「わよ」これいらないですよね
これきになっちゃう
だってそんな話し方する人、かなり少ないですからね
美川憲一くらいなもんですから
僕の周りにも一人しかいませんが
照明とかですっげぇ細かいことやってるので、こういうところが気になりますね

まああとはね
メインの地面師、綾野剛とトヨエツ以外みんな死んじゃいましたからね
もったいないなぁと思っちゃいましたね
まだまだこいつらの犯罪、見たいですよ
シーズン2,3と展開していってもいいよねって思いましたから
それこそほんとにブレイキングバッドみたいにね
ハリソンなんか日本のガス・フリングになれたと思いますしね

いっぱい死んで終わってしまうのが残念だなって思うくらい
心躍ったドラマでした

はい、それでは今週はこの辺で
来週からはまら、映画を取り上げようと思いますよ
面白いと思ったら高評価、コメントよろしくね
ということで、それではみなさん、また来週

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