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作業記録と検査

モノを作る企業の場合、作業の記録や検査の記録を作成している場合があります。そんな記録を見ていて気になったことがあります。
画像はMicrosoft Copilot さんに作ってもらっています。何というか、難しいです😓

作業記録

作業記録と言ってもいろんなものがありますが、入手済みの部品や材料から自社製品を作るときの記録を考えます。
作業内容を記録すると言っても、全てを記録するわけではありません。記録すること自体には記録する作業も含めてコストがかかります。その記録を確認する必要があるなら、確認するコストもかかります。まず、記録の目的を明確にしなければなりません。ここでは作業が確実に実施された証拠を残すことを目的とします。

検査記録

検査記録は検査した手順や結果を記録します。ここで、検査結果の記録と思った方もいると思います。取引先に提出する検査結果だけが記載されたものは「報告書」のようなものです。検査の記録は、どのように試験が行われて、どういう結果になったか、を記録します。検査記録を見て、どのように試験が行われて、どういう結果になったかが分かります。

どんな記録を作りたいか

モノを製造する組織では作業記録や検査記録を作成することが多いです。どんな記録を作りたいのかは重要なポイントになります。取引先から言われたから作るということもあるでしょうが、しっかりした目的意識が無いと記録の意味が無くなりかねません。

作業記録を作るとき、どの作業の何を記録しておきたいのか、なぜその記録をしておきたいのか、が無ければ、その記録は役に立たないかもしれません。
作業記録を作成する時、それは作業を改善する機会にもなります。従来の作業を行ったことを確実にするために記録をするのも良いですが、その作業がやりやすいか、手順は良好か、などを確認して作業方法自体を改善することもできます。

記録の書き方

ときどき検査の不正が報道されます。検査で不正をすることは検査員にとってメリットがあるのでしょうか? 検査員にとってメリットは何もありません。それでも検査の不正は絶えません。
不正検査については別の機会に語るとして、検査記録の書き方です。とても単純で、見た結果をそのまま書きます。

規格値が10〜20のところ、試験した結果が21だったとします。そうしたら、21と記録します。簡単なんです。もちろん規格外です。大事なことは、試験結果をそのまま記録すること。もう一つ、規格外結果が出た場合にどう処置するかを事前に決めておくことです。検査で大事なことは、決められた通りに試験をして、その結果を記録することです。これを学力試験のようにあらかじめ正解があって、その正解を記録するべきと誤解している人たちがいるのです。規格外結果であっても結果はそのまま記録するのです。

見た結果をそのまま記録する、には別の意味もあります。目盛が0から100まである測定器があるとします。最初の状態は目盛が10の位置にあり、試験後には30になりました。試験の評価には最初と最後の差を見ます。記録には、試験前10、試験後30、と記録します。試験結果20とは記録しません。計算機を使ってもそれは変わりません。見た数値を記録するのです。そのため検査の記録書式もそのように作っておくべきです。大したことじゃなくても、計算間違いをしたりするのです。

最初の記録と訂正

記録は正確に書きます。紙に書くタイプでなく、コンピュータに記録する場合でも同じですが、コンピュータの場合は入力するよりも測定値のデータをそのまま取り込んで記録するほうが好ましいです。
記録には間違いがあったり、検査自体に間違いの疑いがあることもあります。それでも最初の測定結果は記録してあります。例えば規格外の結果が出た場合はどうしたら良いでしょうか?
ここで再測定して規格に入ったからと言って結果を書き替えてはいけません。最初に測定したデータは誤っていたのでしょうか?バラツキの中で規格に入ったり入らなかったりしたのでしょうか?これは測定の質や対象にもよります。
例えば測定対象が金属部品の長さでほとんど変化がない場合、最初と再測定で明らかに異なる場合で、再測定結果が正しいと分かる場合は再測定結果を採用して良いと考えます。しかし、そんな測定でなぜ異常値が記録されたのかは検討が必要です。これを「人間だから間違えることはある」という理由付けにすべきではありません。それをすれば、他の全ての検査結果は「人間だから間違っているかもしれない」結果になるからです。記録されているものは「正しく記録されている」という前提を持つ必要があります。

いろんな調査をして、「最終的に最初の記録は間違いだった」と結論付けた場合でも、最初の記録はどうだったかを分かるように1本の取り消し線などで残るように削除し、記載間違いなど理由、削除した人、日付を書いておきます。再試験を行った結果を、再試験結果と分かるように記載しておきます。

将来の対策

間違いがあったから訂正しておけば良い、というものでもありません。間違いだらけの記録は、他の間違っていないらしき記録も本当に正しいのか信頼性が低くなります。間違いが多い場合は、間違いが少なくなるような工夫が必要です。
記録書式自体が書きにくいとか、分かりにくい、勘違いしやすいなどがあり、間違いが多発する場合があります。これがなかなか直らないのですが、理由は失敗した人が責められやすいため、問題は記録した自分にある、と考えてしまいがちなところにあります。失敗があったら記録書式を見直して欲しいです。しかし失敗があったから記載を増やしたり、確認項目を増やすことは更なる失敗に繋がりかねません。必要な確認項目を、最小限にまとめて見やすくします。手順自体も見直します。

そもそも検査、記録の方法がメチャクチャな組織もあります。特に検査記録の方法は重要です。どうやって検査をして、どう記録するかなど、十分に検討して、試してみて、組織として検査記録方法を統一します。

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