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思い込んではいけないのか?

業務失敗の報告書で「思い込んでいた」があります。「思い込み」はいけないのでしょうか? イメージはMicrosoft Copilot さんが描いてくれました。


思い込みとは?

デジタル大辞泉によると「思い込み」とは、
深く信じこむこと。また、固く心に決めること。

実際にはネガティブなイメージがあります(これ自体、私の思い込みかもしれません)。失敗したときに「思い込んでいた」と使われます。成功したとき、例えば暗算が出来たときに「九九を思い込んでいた」とは言いません。

思い込みは原因か?

何か失敗をして、その問題を解決しようとしているなら、「思い込み」を原因にしても意味がありません。「思い込み」という表現は失敗が発覚したときに使われますが、作業中に「思い込み」を感じることはほぼありません。特定の作業に慣れないうちは手順書を確認しながら進めますが、ある程度慣れて作業覚えてしまえば記憶した作業手順に従います。失敗した時は「思い込み」で、成功した時は「思い込みでは無い」のです。それだけの差です。失敗した時は「誤った記憶」を思い込み、成功した時は「正しい記憶」を知識や技能と区別しています。

思い込みを排除する

問題解決では原因を排除して正しい結果に繋げようとします。「思い込み」を原因とするなら「思い込み」を排除します。この「思い込みの排除」自体はそれほど難しくありません。作業員に「思い込まないでください」と指示すれば良いです。しかし「思い込み」を排除すれば今まで思い込みで作業していたことが出来なくなります。このことは屁理屈のようにも聞こえますが、記憶も含めて思い込みで作業をしている部分はかなりあります。

手順書を作る

思い込みで作業をしないなら、文書化した手順書を作ることが効果的です。この作業はとても大変ですが、ぜひやって欲しいです。合わせて作業記録も作成します。
手順書には、やることと共にやり方を記載します。手順書を見れば、ある程度時間はかかっても作業を完了出来るようにします。手順書はあるけど見ても分からないというのはいけません。

作業記録を作る

手順書と合わせて作業記録を作ると良いです。手順書は作業頻度が少ない場合はしっかりと読みながら進めますが、毎日行うような作業の場合、毎回熟読するものではありません。しかし思い込みで作業をすれば、必要な作業を忘れたり、誤った方法をとるかもしれません。作業記録は作業順にやるべき事を記録していく書式にします。重要な確認ポイントがあれば記録できるようにします。
しかし作業記録はあまり複雑にしたり、項目を増やしすぎないようにします。アレもコレも確認したほうが良いから項目を増やしてしまうと、作業者は記録に時間を取られすぎて正しく記録しなくなることがあります。作業記録は使いやすいことも重要になります。

業務教育

手順書を作っても、初めての人や慣れていない人には指導、教育は必要です。特定の作業を教育する場合にも、手順書を利用することができます。教育者の記憶で指導せず、手順書の方法に従って説明します。手順書に不足があれば、次回改訂時に盛り込みます。
手順書ではこうなっているけど、ああやると良い、なんてことはいけません。もし、別の方法が合理的で適切なら、結果への影響、関係部門や関係者への影響など検討した後、手順書自体を改訂します。

手順書は組織のスキル

作業員等の個々の知識、技術は業務を進める上で重要です。しかし何か分からない事があるたびに「あの人」に聞いていては効率も悪く、品質は不安定になります。手順書を作り、決められた手順に従って作業をする事で品質は安定します。それが組織としてのスキルになります。
では手順書があるから新しく技術を学んだり、知識を得なくても良いか?と言えばそうではありません。手順書は品質を安定させますが完璧ではありません。トラブルがあれば知恵を絞って解決することもあります。また、手順を決める時や改善するときは個人の知識や技能が重要になります。しかし手順を決めてしまえば、個人差は少なくなり、作業品質は安定する、という考えです。

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