【起業家セミナー開催レポート】~20年目の起業家を魅了したWeb3業界~
皆さん、こんにちは!
TENJO KANAZAWAが行うプロジェクトの1つに『TENJO 起業家セミナー』があります。『TENJO 起業家セミナー』とは、起業家を招いて創業時や黎明期の経験談や思いについて語っていただくセミナーのシリーズです。業界、業種、国境を超えて多様な背景を持つゲストに登壇していただいています。
今回は、2024年7月19日(金)に株式会社GINKANの代表取締役 神谷知愛氏をゲスト講師に迎え『20年目の起業家を魅了したWeb3業界』というテーマで金沢からオンラインで開催されたセミナーについて記事にまとめました。
ぜひ最後までお読みください!
ゲスト紹介
神谷 知愛(かみや・ともちか)氏
株式会社GINKAN 代表取締役 。法政大学在学中に起業し、その後モバイルマーケティング事業で成功を収めました。現在はWeb3プロジェクト「SyFu」に取り組んでおり、このプロジェクトは金融イノベーションのアワード「Japan Financial Innovation Award 2024(JFIA 2024)」で「優秀賞」を受賞するなど、注目を集めています。
★JFIA2024受賞者インタビュー↓
<起業家としての経歴>
2000年:法政大学在学中に起業。
2005年:1社目のスタートアップを創業。モバイルマーケティング事業に従事し、10年後にM&A。M&A後は売却先の企業でCMOを務め、年間数十億円規模のマーケティングを担当。
2015年:2社目のスタートアップ、株式会社GINKANを創業。Web3グルメSNS「シンクロライフ(現ライブドアグルメ)」を運営。
2023年:ライブドア社に事業譲渡。香港を拠点に新たなWeb3プロジェクト「SyFu」を始動。
2024年:SyFuは10,000人以上のグローバルコミュニティを構築し、2024年中にローンチ予定。
Web3プロジェクト「SyFu」とは
SyFuは決済データをデジタル資産に変え、新しい消費体験を作るWeb3ウォレットです。神谷氏の言葉を引用すると「僕らが今やっているサイフプロジェクトというのは、クレジットカードなど、皆さんが普段キャッシュレスで日々お金を使って消費をしている、この決済データをWeb3のテクノロジーを使ってデジタルにした、いわゆるトークンとかNFTに変えてしまうという、ライフスタイルアプリです。どういうことなんだって、今は全く意味が分からないと思うんですが、一個だけ覚えておいてもらいたいのが、皆さんの決済データで、これが暗号資産とかNFTみたいな価値のあるデジタル資産に変わるという、そういったプロダクトを世界で作っています。なので、その少し前段として、プロジェクトを今やっている感じです。」
トークテーマ
セミナーでは、神谷氏が学生時代から20年にわたる起業家経験を通して学んだこと、そして20年後に辿り着いたWeb3業界とはどのような世界なのか、について語っていただきました。
トークテーマごとのポイントを以下にまとめます。
1.起業家経験20年の神谷氏が辿り着いた「Web3業界」
神谷氏は愛知県出身で、起業家としてのキャリアを23年間歩んできました。セミナーでは「今僕たちが便利に使っているものは、歴史上いろんな人類の中でいろんな人が発明して、どんどん人類が進化してきた。だから、何かしらそういうことを少しでもできればなという思いで起業家をやっている」と語り「死ぬまでに、未来の人類のライフスタイルに少しでも貢献できることをやりたい」というのが自分の中のテーマだと話してくださいました。
23年間の起業家人生の中で神谷氏が初めてインターネットと出会ったのは、
ネイルサロン事業を行っていた頃でした。神谷氏はネイルの技術を習得したい人々が多い一方で教育機関が少ないことに着目し、ビデオ教材を販売する通信教育を開始しました。この頃、世の中ではネット検索が始まったばかりのタイミングであったため、ネット検索のSEO対策を勉強したところ、ものすごい利益に繋がったそうです。この経験について神谷氏は、「ネットってすげえってなったんですよ。これが僕の最初のピークなんですよね。」と話されていました。また、これまでの起業家経験を振り返って神谷氏は「もともと20代の最初の頃は、すごいシンプルに世の中で成功者になりたい、お金を稼ぎたい、人から認められたい。でもやっぱり、社会的意義のあることやりたい…と。だんだん、現在だともう、一番今自分が楽しいことをやるというのが、今、一番大事にしていることで、自分の人生の楽しみの一つというか、仕事とプライベートという括りではなくて、自分の人生の中の刺激でもあり、ゲームでもあり、仕事でもあるという感じの、そういう感覚に価値観が変わっていったんですね。」と語り、Web3に辿り着いた経緯については「社会的な意義があることをやりたいというのは変わっていなくて、今、僕が42歳で、20年ちょっとビジネスをやってきて一番刺激があるというのがこれ(Web3)だったんですよ。インターネットビジネスを散々やってきて、Web3という全く違うインターネットの世界が、刺激しかないという。逆に言うと、僕も100%分かっている状態でやっているかというと、どんどん進化するし、法律も変わってくるし、新しいものがどんどん生まれるので、常に自分が分かっていない状態でやっていく世界って、一番楽しめるし、刺激になるので。それでWEB3っていうところに、僕の人生をフルコミットしてやろうとなって、現在に至ります。」
2.彼を魅了したWeb3とは
Web3を説明をする際、よく耳にするのが「分散化されたブロックチェーン技術」の話です。つまり、信頼性があり、オープンで透明性が高いという…これらはWeb3の特徴を表す言葉ではありますが、今回のセミナーでは、Web3の仕組みや技術そのものよりも「Web3を使って何ができるのか」という視点から、神谷氏にはその魅力を語っていただきました。
神谷氏がWeb3で特に面白いと感じているのは、NFT(Non-Fungible Token)の活用です。NFTはデジタル資産の一種で、唯一無二の存在として扱われるため、複製ができない特性を持っています。これにより、デジタルの世界で権利を所有し、売買することが可能になります。神谷氏の言葉で表すと、NFTとはゴルフの会員権のようなもので、例えば、ゴルフの会員権を購入すると、それはゴルフ場との契約書に基づいたものであり、その価値は保たれます。同様に、NFTを使うことでデジタル上で価値のある権利を持ち、さらにその権利を他者に譲渡することもできます。つまり、デジタル世界での「価値の移転」を可能にし、例えば、日本で所有するゴルフの会員権を即座にナイジェリアの人に売ることができるなど、インターネットを通じて権利の売買が行えるようになります。今までと何が違うのかというと、権利自体は今までデジタル上で機能しなかった、いわゆる証明ができないので「この権利は誰が持っています」「この権利をAさんからBさんに売りました」という場合、サービスを提供している側が会員情報をサーバーでいじらないとそもそも管理ができなかったのです。ゴルフ場であれば、ゴルフ場の顧客代表が会員情報を切り替えて、誰が権利を持っているかを運営側が把握していないとおかしくなってしまいます。これがNFTになると、シンプルに「それをやらなくても大丈夫ですよ」というとても簡単な話に切り替わります。契約の代わりをNFTが担保してくれることで、権利をメールで送った時点で契約が成立している状態が技術的に実現できたという話です。
他の例を挙げると、アイドルの握手券やゲーム内のアイテムなど、これらもすべてNFTとしてデジタル上で取引されることが可能です。握手券を持っている人が、それを欲しい他のファンに売ることもでき、これまで物理的にしか存在しなかった「権利」がデジタル上で流通できるようになったのです。これにより、デジタル資産の取引がこれまでよりもはるかに簡単になり、権利や価値の移転がスムーズに行えるようになりました。
3.Web3はリアルな社会にどのような影響を及ぼすのか
上のテーマで語られているように、Web3の技術によってこれまで物理的な書面で管理されていた権利の移転が、デジタル上で即座に行えるようになりました。これにより、企業や個人は権利をデジタル化し、迅速かつ効率的に管理、取引することが可能になりました。Web3は、日本だけでなく世界中の人々が同じインフラを使って取引することを可能にし、新しいビジネスチャンスを生み出しています。
4.Web3×リアル経済をテーマにしたSyfuプロジェクトが金沢に与えるもの
セミナーの最後には、「Web3の技術を使って金沢市で何ができるか」神谷氏の考えを伺いました。「僕は大好きな金沢で、自分でWeb3を使って何をやるかと言われたらこれしかないです。【金沢プレミアムNFT】っていうNFTを出します。めちゃくちゃシンプル。たとえば、世界で300枚だけ。NFTはグローバルなので世界で300人しか買えないです。これ1000人でもいいんですけど、何人しか買えないっていうのがこの前提ですね。そして、このNFTを持っている人が金沢に旅行に来た時は、最高にVIPの扱いをして、金沢を最も満喫できる、最もVIPな旅行を体験できるようにするんです。つまり、お金に糸目をつけない人たちが旅行するときの条件は、ストレスを1ミリも与えずに最高の体験することなんです。その代わりいくらでも払うというのが外国人のVIPの旅行の仕方なんですけど、僕は日本の価値ってすごくそこにあると思うんです。金沢や京都、北海道など、外国人から見ると日本の文化がすごく詰まっている場所やエリアは他の国ではできない体験ができる。でも自分で探すのも面倒だし金沢を最高に体験する旅は日本人でも難しい。しかも、これを皆にやろうとすると一般的なありふれた旅行になってしまうので、NFTを所有する300人に限定して、その代わり1回旅行すると300万や500万という費用がかかる、とにかく普通の旅行ではないものを提供します。この時一番大事なのは、NFTを持っている人たちを徹底的に満足させることです。金沢で良い体験ができれば、その人が定期的に金沢に来るのはもちろんですが、友達をいっぱい連れてきたくなるはずです。なので、一般的な旅行の話とはちょっと違う話なんですけど、やはり日本で足りないのは、このような富裕層向けのサービスだと思います。地方には外国人がすでに沢山来ていると思いますが、もっと外国人がお金を楽しく使って、自分たちが満足できるようなものをWeb3なら作れるんじゃないかと思っています。Web3なら売れなくても何もリスクは無くて、以上終わりなんですよ。これWeb3じゃなかったら、まずは会員登録から始めなければいけなくてめちゃくちゃ大変ですからね。さらに、NFTだからできることは、NFTを持っている人のスマホじゃないとこの鍵は開きませんとか、そういったサービスを追加することもできます。他にも、NFTを持っている人たちがどこでどんなふうにお金を使ったかということも可視化できるんです。」
このように、NFTを活用した富裕層向けのサービスを提供することで、金沢の魅力を最大限に引き出すことが期待されます。また、上記に加えてNFTが転売されるたびに発行者にロイヤリティが入る仕組みを活用することで、持続的な収益を確保できるという利点についてもお話しいただきました。
まとめ
今回のセミナーでは、Web3やNFTの可能性について分かりやすく教えていたくと共に、神谷氏の起業家としての経験を赤裸々に語っていただきました。
セミナーの中で、山あり谷ありの起業家人生のうち「今が一番楽しい!」と断言されていたのがとても印象的でした。失敗も糧として「楽しい」を追求し続けている神谷氏のお話は、本当におもしろかったです!
また、金沢×NFTのお話も観光都市の更なる魅力となりそうで、興味深い内容でした。まだまだWeb3やSyFuについて知りたいことが多いので、また機会を作れたらと考えています。楽しみにしていてくださいね!
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