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【起業家セミナー開催レポート】 前編 ~地域と未来をつなぐまちづくり~

皆さん、こんにちは!
今回は、2024年10月5日(土)に開催された起業家セミナーについて記事にまとめます。セミナーは二部構成で、第一部では株式会社GOODTIME 代表取締役 明山淳也氏をお迎えして『地域と未来をつなぐまちづくり』というテーマでお話していただきました。第二部では、和倉温泉 多田屋旅館 代表取締役社長 多田健太郎氏をゲストに迎え『まちづくり ✖ 能登復興』がテーマのパネルディスカッションを行いました。
前編では、第一部の様子をお伝えします。ぜひ最後までお読みください!


ゲスト紹介


明山淳也(あけやま・じゅんや)氏
株式会社GOODTIME 代表取締役。ホテル、オフィス、商業施設、住宅など、まちにおける様々な用途の事業企画、ディレクション、プロジェクトマネジメント、施設運営等を行い、デザイン性と事業性の両立を実現する業務に携わる。これまでの実績は、日本初のゼロエネルギーホテルである「ITOMACHI HOTEL 0」をはじめ、「GREEN SPRINGS/SORANO HOTEL」「白井屋ホテル」「GOOD NATURE STATION」「THE CAMPUS」など。グッドデザイン金賞、FRAME AWARDS2021、日本空間デザイン賞などを受賞。


トーク内容

第一部では、明山さんの起業の動機や経緯、これまで手掛けたプロジェクトをご紹介いただきました。
ここでは、トークテーマごとのポイントを以下にまとめます。

明山さんによるセミナーの様子

1. 会社の概要とビジョン

『株式会社GOODTIME』 は、今期で11期目を迎え、現在、20名のメンバーで構成されている小さな会社です。まず初めに、ビジョンについてお話すると、「場づくり」と「まちづくり」というコンセプトを大切にし、「ともに創る、いきつづける価値。」をビジョンとする会社です。このビジョンのもと、私たちは事業主の方々と協力しながら、経済的な観点からも支援を行っています。私たちの目指す「ともに創る」ということは、事業主だけでなく、設計者や施工会社など、さまざまな専門家との協力が不可欠です。当社では、プロデューサーとしての役割を果たすこともありますが、より重視しているのは全体のコーディネーションを図ることです。場づくりにおいては、すべての関係者がうまく連携できることが重要です。また、「いきつづける」という観点からも、私たちは事業が循環していくことを重視しています。大学時代に建築を学んだ私としては、優れた場ができても、それが持続可能な形で運営されなければ意味がないと考えているので、人が集まり、経済が回り、それによって場も活きていくという考えを持って、事業を進めています。

私たちは、事業コンセプトの立案からプロジェクトのディレクション、クリエイティブディレクションまで幅広く手掛けています。具体的には、プロジェクトにおける予算配分やお金の使い方についても考慮しながら、事業のマネジメントや開業後の施設コンサルティングなども行っています。
特に、ホテルの建設や運営においては、何部屋作るべきか、どのような付帯施設が魅力的になるかといったプロフェッショナルな視点を持って提案しています。一般的に、不動産の会社は特定の業界に特化しがちですが、私たちは専門性に偏らない柔軟な視点を大切にし、業界の常識に捉われないように多様なアセットを扱い、常に新しい視点で事業を考えるようにしています。


2. 起業の背景と思い

正直、私自身も大学を卒業した時には自分が起業するとは思っていませんでした。ただ、リーマンショックの影響で、前職の会社が民事再生を余儀なくされたことで、私はその再生の責任者として関わることになりました。この過程の中で、多くの先輩方が独立し、新たな道を切り開いていく姿を見て、自分も独立したいという思いが芽生えました。起業する際には、特別なビジネスプランがあったわけではなく、クリエイターとのコラボレーションを通じて、面白い場づくりがしたいという思いからスタートしました。資本金も100万円で、初めての挑戦だったわけですが、結果的に多くのクライアントとのご縁に恵まれ、今日に至ります。


3. これまでに手掛けたプロジェクト

当社が手掛けた具体的なプロジェクトを紹介していきたいと思います。

まずは「ITOMACHI HOTEL 0」です。こちらは日本で初めてのゼロエネルギーホテルとして、昨年開業しました。当社が企画から携わり、現在運営まで担っています。「ITOMACHI HOTEL 0」の誕生は、地方の活性化や持続可能なエネルギーを用いた新しい観光の在り方を模索する試みから始まりました。当初、ホテルの建物が先行して作られたものの、具体的な事業計画が欠けていたため、企画を練り直す点から参加することになりました。このホテルがある西条市は、愛媛県の東側に位置しており、瀬戸内工業地帯としても知られる地域です。昔から水が豊富で、「うちぬき」と呼ばれる地下水が特徴的な地域ですが、観光地としてはあまり知られていない場所です。しかし、西条市は水や産業が豊かで、住みやすい街としても評価されて住みたい田舎ランキングで何度も上位を獲得するなど、住民の満足度も高い場所です。近年は人口減少や街の活気の低下が問題視されており、このホテルは、西条市を拠点とする会社が中心となり、街に活気を取り戻したいという願いから誕生しました。環境省の定める「ネットゼロエネルギービルディング(ZEB)」認証を取得し、エネルギーを自給自足することで日本初のゼロエネルギーホテルとなりました。具体的には、まず省エネに努め、一般的な建物に比べてエネルギー消費を50%削減し、残りの50%は太陽光発電で補うことで、エネルギー収支をゼロにしています。また、ホテルのある街区はマイクログリッドシステムを導入しており、災害時でも72時間800人分の電力供給が可能な構造となっています。ホテル運営においては、ゼロエネルギーのコンセプトに加えて、地元の魅力を発信することを重視しており、地産地消を意識した食材の提供や、地元工芸品の活用などを行っていますメディアへの配信も行っていて、非常にありがたいことに、ゼロエネルギーの理由もきちんと説明して発信することによって、140件を超える媒体に載らせていただきました。こうすることで、今まであまり光が当たってこなかった街に光を当て直すことができているので、引き続きこの街を盛り上げることに寄与できればと思っております。

次に、東京の立川にある「GREEN SPRINGS」「SORANO HOTEL」の複合開発について紹介します。
このプロジェクトは、もともとホテルの企画検討の依頼から始まりましたが、提案を進める中でプロジェクト全体のまちづくりのコンセプトも提案することになりました。事業主は、立川の25分の1の土地を所有しています。このプロジェクトでは「100年続く新しい幸せ」というビジョンを掲げ、立川を日本の最先端の郊外都市にすることを目指しました。街のコンセプトとしては、「Wellbeing」を取り入れ、単にホテルを建てるのではなく、街全体の健康と幸福を促進する環境を目指しました。具体的に街の開発は、贅沢に空間を使い、自然との共生を重視した設計になっています。
「SORANO HOTEL」は「Wellbeing」の象徴として、インフィニティスパを備え、自然豊かな昭和記念公園を見渡せる設計が特徴となっています。
オフィススペースも「Wellbeing」の考えを反映し、風通しの良い設計になっています。特にコロナ禍の影響で、健康的なオフィス環境が重要視された結果として、東京都も創業支援の施設を設置するなど、プロジェクトの成功に繋がりました。

最後に、群馬県の前橋市にある「SHIROIYA HOTEL」の事例を紹介します。
この事例において当社は、ホテルを作るという点で黒子の役割を担いましたが、「JINS」を展開するジンズホールディングスの田中仁さんの取り組みが参考になるので皆さんにも知っていただけたらという紹介になります。
このプロジェクトは、田中さんが街の古いホテルを買い取り、街の若者たちの要望に応える形でスタートしました。そして、ホテル作りと時を同じくして前橋市の道標となる「めぶく」というビジョンを立てて、街全体がそのビジョンに向かって進んだ結果、新しい活動が次々と生まれました。「SHIROIYA HOTEL」のプロジェクトでは、明確なビジョンが多くの人を巻き込み、街の活性化に繋がる様子が見られました。また、短期的な経済効率や利益にとらわれず、長期的な視野で街や企業を育てることがまちづくりの成功に繋がることを教えてくれました。


これらの事例から、まちづくりには、強いビジョンやリーダーシップ、長期的な視点が重要だと言うことがわかりました。街に個性を持たせ、短期的な利益ではなく未来につなげる活動が必要だと言えそうです。


まとめ

第一部では、株式会社GOODTIMEの明山淳也さんをお迎えして、起業の動機や経緯、これまでに手掛けたプロジェクトのご紹介をいただきつつ、「まちづくり」の話をしていただきました。明山さんの数々のお仕事のお話から、前例や専門性にとらわれることなく、常に柔軟に考えを巡らせながら続けていくことが「まちづくり」につながっているのだと感じました。明山さんの手掛けた街は、とても訪れたいと思わせる魅力に溢れていました。
ぜひ皆さまも愛媛の「ITOMACHI HOTEL 0」や、東京立川の「GREEN SPRINGS」「SORANO HOTEL」などへ足を運んでみてください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
後編では、第二部の様子をまとめていますので是非ご覧ください!


★後編はこちら↓




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