【起業家セミナー開催レポート】~金沢から世界が認めるジンを創る~
皆さん、こんにちは!
今回は、2024年12月7日(土)に株式会社Alembic 代表取締役 中川 俊彦氏をゲスト講師に迎え『金沢から世界が認めるジンを創る』というテーマで開催されたセミナーについて記事にまとめました。
ぜひ最後までお読みください!
ゲスト紹介
中川俊彦(なかがわ・としひこ)氏
株式会社Alembic 代表取締役。
料理人の父と料理上手の母のもとで育ち、大学卒業後に伊藤忠ファッションシステム株式会社へ入社。30代で食の世界への思いが募り、40歳でクラフトビール作りを始める。その後、食と農の未来を考える会社に参画し、2018年に金沢市へ移住。
2019年に株式会社Alembicを設立し、2022年には酒類製造免許を取得。
同年、クラフトジン「Alembic Dry Gin HACHIBAN」の製造販売を開始。
翌年には国際品評会で最高金賞を受賞。
トーク内容
中川さんの事業を長年支えてきたCLL代表 宮田人司さんをファシリテーターに迎え、今まで語られてこなかったAlembicの起業秘話を深掘りしました。
ふたりの出会い
中川さんと宮田さんとの出会いは、2006年にさかのぼります。
エイベックス株式会社で、宮田さんはアニメーション制作、中川さんは制作やPRをサポートする仕事に携わっていました。
宮田さんは「当時の中川さんは、仕事の合間にオフィスで昼寝をしている姿が印象的で、仕事の記憶よりも人間味あふれる彼の姿が強く記憶に残っている」と懐かしく語っていました。
そこから、仕事を超えた家族ぐるみの付き合いが続いているそうです。
転職を重ねたキャリア
中川さんは、ファッションシステムやマーケティング会社など、さまざまな業界で経験を積み、40代にして長年温めていたクラフトビールの世界に飛び込みました。2012年にビール会社に転職し、普段はサービスの仕事をして休みの日に醸造所で仕込みをの手伝い、プラスアルファで独学を重ね、自分でビールを作れるまでになりました。
ビールからジンへ
2014年からビール作りを開始した中川さん。2018年に自作のビールを持参したのをきっかけに、宮田さんと次のステップについての話し合いが始まりました。当時、国内のクラフトビール市場が成熟しつつあり、中川さんの個性をどう打ち出すかが課題となっていました。中川さんは、「食」という文脈を大切にしており、食事をするときに飲むお酒として、香味のバリエーションが広がる「ジン」に可能性を見出しました。
また、当時のヨーロッパや北米でのクラフトジンブームにも触発され、ジン作りへの挑戦を決めたそうです。
蒸留所の設立
ジン作りの夢を実現するためには課題がたくさんありました。
酒造免許の取得には設備が必要不可欠でしたが、設備を整えても免許取得には最低6ヶ月かかります。設備を作ってしまってから免許が降りない可能性もありながらリスクを覚悟で借入を行い、金沢市大野町にあるまっさらな土地に蒸留所を建て始めました。
2020年はコロナの時期と重なり、「このままジンなんか作れないのでは」という声もありました。
しかし、中川さんはこの時期を逆手にとって、香りの試作をしたり、コンセプトを考えたりする時間に費やしました。
ホットドッグとノンアルコールのお店
Alembicの建物は、ちょっと洒落た倉庫のようなつくりが特徴です。建設当時、醤油のまちとして知られる大野に急遽ポンと現れた斬新な建物に「あそこに美味しいピザ屋ができるらしい」「教会ができた」とか、色々な噂になりました。そこで、建物ができてから何もしないわけにもいかないと思った中川さんは、ホットドッグを売り始めます。多くのお客さんが車で来る場所だったため、約2年間ホットドッグとノンアルコールドリンクのお店として営業していました。この時期に育まれた地域との絆は、今でも大切な財産となっています。
ハチバン誕生
場所探しから始まり、手続きや建設に至るまで、蒸留所設立の道のりは決して平坦ではありませんでしたが、2022年にようやくクラフトジンの製造販売がスタートしました。
「Alembic Dry Gin HACHIBAN」は、25種類ある試作品の中から、8番目が好評を得てブランド名として決定しました。
このブランド名は寿司屋での何気ない会話から宮田さんが命名し、すぐにロゴやステッカーが作られたそうです。
そして2023年「Alembic Dry Gin HACHIBAN」は、世界で最も権威ある酒類品評会「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(IWSC)」において、最高金賞と最高賞「Trophy」という二つの栄誉を手にします。さらに翌2024年には、Alembic蒸留所自体がIWSC最優秀生産者賞にノミネートされるという快挙を達成。
ロンドンでの授賞式に出席した中川さんは、「世界の舞台に立ち、歴史ある名門蒸留所と肩を並べた瞬間、初めて自分がジンを作る蒸留家なのだと実感しました」と、その感動を振り返っていました。
これからの展望
中川さんは今後、金沢から県外や海外へと市場を展開し、クラフトジンを食中酒として楽しむ文化を広めていきたいと語っていました。
金沢の食文化とジンの新しい可能性を世界に発信する、その挑戦は始まったばかりです。
まとめ
今回は、株式会社Alembic の中川俊彦さんに『金沢から世界が認めるジンを創る』というテーマでお話ししていただきました。
40代にして自らの情熱に従ってクラフトビールの世界に飛び込み、金沢でジンの製造販売を始め、たった2年の間にいくつもの国際的な賞を受賞した中川さんの活躍は、幅広い世代にチャレンジすることや夢を信じて諦めないことの大切さを教えてくれました。
金沢で生まれたクラフトジ「HACHIBAN」が、これからどのような物語を紡ぎ出していくのか、中川さんの挑戦に期待が高まります。
今後もTENJO KANAZAWAでは、皆様の創業や事業の発展に役立つイベントを開催しますので、ぜひご参加ください。
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