【小学生からの英語で論語】学而第一・五 孔子流"国の治め方"

はじまめして!天神会、そして れいわ松下村塾公式キャラクターの、天神(あまがみ)ジェリーと申します!
もともとは塾長が九州の実家で溺愛していた、キジトラ去勢オスの飼い猫です。残念ながら猫としての命は終わってしまいましたが、飼い主だった塾長のために甦(よみがえ)ってきました。はじめまして、と言いましたが、実は結構前から皆さんの目の前にいたんですよ。YouTubeのチャンネルの、アイコンとチャンネルアートを見てみてくださいね。

今回は、飼い主の塾長に変わって私・ジェリーが、英語で論語の解説をしていきたいと思います。みなさん、ぜひご家族みんなで見てくださいね!

今日は学而第一・五です。
ちなみに、論語は全部で20章からなっていて、それぞれの章の最初の文の、「子曰く」の次の2文字と、その章の通し番号を組み合わせた名前で各章を呼ぶのが通例になっています。

Ex.
第1章:子曰、学而時習之、不亦説乎。…→ 学而第一(この章の呼び方)
第2章:子曰、為政以徳、…→ 為政第二(この章の呼び方)

それでは、まず英訳を読んでいきます。2回読みますので、内容を考えながら、できれば一緒に、声に出して読んでみてくださいね。

★(音読は最強の英語学習法です!)

論語 学而(がくじ)第一・五
【英訳】
The Master said, ‘In guiding a state of a thousand chariots, approach your duties with reverence and be trustworthy in what you say; avoid excesses in expenditure and love your fellow men; employ the labour of the common people only in the right seasons.’

もう一度いきますね。
【英訳】
The Master said, ‘In guiding a state of a thousand chariots, approach your duties with reverence and be trustworthy in what you say; avoid excesses in expenditure and love your fellow men; employ the labour of the common people only in the right seasons.’

それでは、解説を加えていきたいと思います。

 論語になじみのある方はお分かりの通り、論語は弟子が書き記した孔子の言行録の形をとっています。The MasterのMが大文字になっているのは、自分たちの先生である孔子という特定の師を指すからですね。キリスト教に関係した英文で、文中なのにHeのHが大文字になっているときは、神様あるいはキリストのことを指す、っていうのと同じですよ。

 In guiding a state of a thousand chariots, の部分は、In+(プラス)動名詞の形で、全体で副詞句ですね。

★in+動名詞:~することにおいて、~するときに

stateはthe United States of Americaのstateと一緒ですが、この場合は「州」ではなくて「国」と訳しましょう。ちなみにthe United States of Americaまたはthe U.S. のtheは、正式な国名に必要な冠詞なので、書き言葉では省略してはいけません。これは早稲田の間違い探し問題で出題されました。イギリスも全く同じで、the United Kingdomまたはthe U.K. のtheも本当は省略できません。口語ではしょっちゅう省略されますから、混乱しないでくださいね。

chariotは車のcarと同語源の単語で、「馬車」のことです。「ジョジョの奇妙な冒険」に、シルバーチャリオットっていうキャラクターが出てきますから、知っている人も多いかもしれませんね。この部分の直訳は、「千の馬車の国を導くことにおいて」、少しわかりやすく意訳すると、「強大な軍事力を持つ大きな国を治める場合は」くらいの訳になりますね。

 続く部分ですが、命令文が3つ、セミコロンでつながっています。まずapproach your duties with reverence and be trustworthy in what you say です。
approach Aは「Aに接近する」「Aに取り組む」ですが、今回は「取り組む」の方ですね。approachは自動詞ではなく他動詞なので、approach to Aとすると誤りですから注意してください。これは文法問題でよく出題されますね。ただし、名詞で「Aへの取り組み」という意味で使う場合には、an approach to Aになりますので、混乱しないようにしましょう。

★○approach A「Aに近づく、Aに取り組む」(他動詞) ×approach to A

★(an) approach to A「Aへの取り組み、接近」(名詞)

 ここのyourはジェネリック・ユー、いわゆる「一般論のyou」ですから、「あなたの」ではなく、「自分の」という風に考えましょう。dutiesは「義務」ですが、この場合は「責務」くらいにとらえた方が、雰囲気が出ますね。reverenceは見たようで見たことがない、という方が多いと思いますが、英検1級レベルの単語です。「崇敬」とか「敬愛」といった意味ですが、「崇敬する」っていう意味のrevereという動詞の名詞形ですね。語源的な話をすると、reは強意、vereはawareとかのwareと同じ系統で、「見る」とか「意識する」っていう意味です。「誰か、または何かのことを、敬愛の心をもって強く意識する」くらいのイメージでしょうね。

★ revere : re(強意)+vere(見る、意識する ※awareなどのwareと同系統)
→敬愛をもって強く意識する→崇敬する)

vとwは、おなじみ、グリムの法則で入れ替わってますね。
★グリムの法則…欧米人にとって発音が似ている文字は、どんどん入れ替わっていく法則、ぐらいの理解でOK

というわけで、approach your duties with reverence の部分をまとめると「自分の責務に敬愛をもって取り組みなさい」くらいの訳になります。

trustworthyは「信頼できる」ですが、trust「信頼」と、be worthy of ~ingのworthyの合体ですから、わかりやすいですね。in what you sayは前置詞プラス、いわゆる「疑問詞が導く名詞節」の形をしていますね。このyouも「一般論のyou」と考えていいですから、be trustworthy in what you sayは、「自分がやることにおいて信頼されるようにしなさい」くらいの訳になります。

 続いて、avoid excesses in expenditure and love your fellow menのところです。avoid excesses in expenditureの直訳は「費用における過剰を避けなさい」となります。「無駄な経費を使うな」ということですね。

★avoid:避ける excess:過剰、超過 expenditure:支出、費用、経費

expenditureはちょっと難しい単語ですが、大学入試でもよく出てきます。exは「外」を意味する接頭辞(接頭辞…単語の前につくもの)、pendのところはspendと同じで「お金、時間を使う」、tureはadventureのtureで名詞にする働きの接尾辞(接尾辞…単語の後ろにつくもの)ですから、「外に向けて使うお金」だと考えれば覚えやすいですね。

★expenditure:ex(外)+pend(使う)+ture(名詞化)→外にむけて使うお金→費用、支出、経費

love your fellow menは、「自分の仲間を愛しなさい」くらいの訳になります。余計な経費を避け、仲間を大切にしなさい、ということです。

 最後に、employ the labour of the common people only in the right seasons.です。employは、人を目的後にとると「雇用する」ですが、この場合はthe labour「労働」が目的語ですから、employ the labour of the common people 全体で「民衆を徴用して働かせる」という意味くらいに取ればOKです。ちなみにこのlabourはイギリス綴(つづ)りになっています。アメリカ綴りだとlaborとなって、uがありません。 only in the right seasonsとありますので、「民衆を働かせるときは季節を選べ」ってことだろうと分かれば十分だと思いますが、これは「農業が忙しい時に民衆を徴用してはならない」という意味だそうですよ。
 とにかく、為政者は(いせいしゃ)は民衆に対して誠実さと仁愛(じんあい)の心を持って国を治めることが大切だ、ということです。色んな国の、表のトップにも裏のトップにも、耳の穴かっぽじって聞いてもらいたいですね!

さて最後に、英文と書き下し文、現代語訳をまとめておきます。英語も易しい表現なので、ぜひ暗唱してみてください!

【英訳】
The Master said, ‘In guiding a state of a thousand chariots, approach your duties with reverence and be trustworthy in what you say; avoid excesses in expenditure and love your fellow men; employ the labour of the common people only in the right seasons.’

【書き下し文】
子曰はく、千乗の国を道むるに、事を敬して信。用を節して人を愛し、民を使ふに時を以てす。

【フリガナ有】
子(し)曰(い)はく、千乗(せんじょう)の国を道(おさ)むるに、事(こと)を敬(けい)して信(しん)。用(よう)を節(せっ)して人を愛し、民(たみ)を使ふ(つかう)に時(とき)を以て(もって)す。

【平仮名】
し・いわく、せんじょうのくにをおさむるに、ことをけいしてしん。ようをせっしてひとをあいし、たみをつかうにときをもってす。

【宇野哲人先生による解釈】
兵車(へいしゃ)千乗(せんじょう)を出すことの出来るほどの大諸侯(だいしょこう)の国を治めるには、国事を慎重に取り扱い、命令賞罰等終始一(いつ)のごとくにし、無駄の費用を節約し、国人(こくじん)に恩恵を施(ほどこ)し、国事に民を使役する場合には農業の妨害のならない時にする。この五箇条は治国(ちこく)の大本(たいほん)である。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!チャンネル登録と高評価、コメントをしてくださるととっても嬉しいです!

それでは、また次回お会いできるのを楽しみにしています!!



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