半年と少しぶりに瑞人を殺した

皆様、月がきれいですね。甜竺です。
現実で少し嫌なことがあり、瑞人の優しい声だけが甜竺を癒してくれると思って蝶毒を起動しました。夜色の髪を見るか、つがいの蝶にを見るか、とても迷いましたが甜竺が再三言っている「夜色の髪は別にハッピーエンドではない説」を思い出してしまいそれならば最初から悲しむ準備ができている後者を選びました。

案の定苦しくなってしまいました。

百合子が小桃の存在を知るシナリオあたりからやったのですが、やはり丸木さんに嫉妬する話を書かせたら死人が出ますね・・・。
さて、ここからはプレイしててツイッターなどで叫んでいた感想を時系列につらつらつなげていく記事です。

これはもしかして遊びなのか?

百合子が真島に使いを頼むとき、まあゲームのメタ的話になってしまうのですが別ルートで辿った結末である入水をしてしまうかもしれないという発言。
これ、丸木さんの遊び心なのでしょうか。それとも百合子が本当に瑞人は入水してしまうと思っていることを書いているのでしょうか。
本人の物語でさえ別の結末を仄めかされててちょっと哀れに思ってしまいました。
瑞人らしいといえば、瑞人らしいのですが。

私たちは瑞人を愛しきることができない

さてさて、瑞人と百合子が恋人として過ごした最中や直後、または日常の一部で百合子は瑞人の恋人にする行いのすべてが手慣れた様子であることを腹立たしく思ったり、よくない思いを抱いていたり、穏やかではない印象が見受けられます。
これ、すごくいいものですよね。百合子は「兄がようやく自分のものになった」を言っていたのにも関わらず、慣れた手つき=過去に経験がある=百合子の知らない瑞人の過去=百合子が知ったらショックである瑞人の過去=百合子に対して瑞人すらも後ろめたいと思っている過去ってことで。
ここからまた突然かつメタな話ですが、甜竺は百合子に自己投影しています(乙女ゲームプレイヤーとしては当たり前のことですが)。
そのため、瑞人の過去や過去の経験による手つきといったもう二度と手に入れられない瑞人のかけらを思って百合子は嘆くのだと思うと甜竺も同じ気持ちになります。
どう頑張っても、どう瑞人を攻略しようとも、どう瑞人を愛そうとも、愛されようとも、甜竺と百合子は瑞人のすべてを本当に手に入れることができない。
私たちは、瑞人のすべてを暴けない。

瑞人は自分の中の感情を整理しきれていない

さて、そんな瑞人は芸妓の女の子たちをよく思っているのでしょうが、それよりも百合子のことが大切なはずです。なので、
自分救いである花街を百合子が良く思っていない、そして百合子が良く思わない理由が至極真っ当筋が通っているということがまた瑞人を苦しめているのだなあ、と思います。


苦しむふたり、最高ですね。

次々に降りかかる、終わりと死

物語は終盤、父や母が死んでしまったことを思い出す百合子。
そしてその先に待ち構えているのは家令、園丁、兄、そして自分の死。

一番初めに父が死に、続いて母が死に、次に家令が死に、最後に瑞人と百合子が死ぬ、この救いようもない哀れさ・・・。
だんだん弱っていく野宮家。溶けた蝋が空に混ざって、目に見える蝋燭の火がじわじわと終わっていく様子のように思えて、儚いです。

家令の終わりを見届け、混乱のなか、やっとたどり着いた救いになるはずだった百合子の部屋からも抜け出すことができないと悟った二人。
色々な終わりが二人を苛んでいきますね。
そして瑞人の部屋でこのまま佇めばやがて炎に包まれて焼死、またメタな話ですが、BGMも心空というエンディング曲のピアノバージョン。また新たな終わりが二人を襲う。

そして最後に瑞人は、自分の望んでいた「終わり」を、白い粉を見せることで百合子にさらけ出します。

「悪夢はもう終わりなんだよ。もう、悲劇の舞台の幕は降りたんだ」

つがいの蝶に 終盤の瑞人の台詞

本当に、その通り、映画のスタッフロールが流れる時や、ミュージカルで役者たちが打って変わった笑顔や動きであいさつをする時のように、百合子と瑞人が体感できる終わりはこれがピークだったのでしょう。

「・・・さあ、次の世界に飛び立とう」

つがいの蝶に 終盤の瑞人の台詞

まるで舞台が終わってしまう寂しさを見せる百合子に次があることを教える瑞人。しかし、そんなものは夢物語。野宮家の宗旨はわかりませんが、科学的論としては死んでしまえばそこで終わり、生まれ変わるなんてことはオカルトチックな話で誰にも証明できないし、万が一生まれ変わることが出来ても、また同じ時代に、同じ星に、同じ国に、同じ場所に、同じ年代に、同じ思いで出会う確率はどれほどのものなのでしょうか。
今書いたことは夢物語ですから計算なんてできませんが、もし数字で表すことができたら、きっとその数字列を見ても絶望しかできないでしょう。

だから泣いているんでしょう、瑞人。来世も百合子を愛せるなんて誓うことができても証明できない。来世、百合子は別の誰かと身を寄せ合っているかもしれない。現世の百合子は、瑞人の百合子は、ここで終わり。

だから泣いているんでしょう。

平等に指す日の光は二人を照らさない

さて、二人の悲劇の舞台も終わりました。
それは夜明けのことですので、いくら野次馬がいるといってもたかが知れているのでは、と思います。
そして朝日が昇っていく、帝都東京。

何も変わらない、一日のはじまり。
皆に朝が来たことを知らせ、今日も楽しかったと思わせてくれるようにあたたかな日の光。

それは瑞人と百合子を永遠に照らさない。
なぜなら、二人に明日と呼ばれるものはないから。
あるのは二人の遺体と、そしてそれが焼かれたら骨になったもの。
骨壺に押し込まれて墓の中に入れば、二度と日の光を浴びることはない。

明日がない二人に、祝福と幸せの光はあたらない。



なんて考えてたら30分くらい辛くなってました。
しかし久しぶりにポエミーな恋文が書けて幸せです。

それではここまでご覧くださって、ありがとうございます。
社長の死体検案書、流すかもしれないです。

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